陸自ヘリ墜落の重大事故の中、松本・自衛隊祭で模擬戦闘訓練

統一自治体選挙後半戦の投票日、4月23日(日)に陸上自衛隊松本駐屯地で創設73周年の記念祭(自衛隊祭)が行われ、県護憲連合や松本地区自衛隊祭反対連絡会議などのメンバーが駐屯地正門前で抗議行動を展開しました。

去る6日の沖縄県・宮古島周辺での陸自ヘリUH-60(通称ブラックホーク)墜落の重大事故から日も浅く、搭乗者の犠牲が確認され、いまだ行方が判明しない隊員もいらっしゃる中、「祭」をやってていいんですか?!と指摘せざるを得ません。しかも、墜落原因は全く解明されていません。模擬戦闘訓練では、墜落機(現在、運用停止中とのこと)と同機種ではないものの、群馬県の相馬原駐屯地のCH47輸送ヘリが市街地上空を飛行します。市民の生命・財産の安全が本当に守れるのでしょうか。

昨年秋に行われた自衛隊祭での模擬戦闘訓練。沖縄で墜落したUH-60ブラックホークが使用されました。

護憲連合では従前より、「駐屯地祭」は軍備増強の風潮をあおるものであり、あくまでも自衛隊組織内部における式典とし、武器・兵器の展示、操作の教示、模擬戦闘訓練の展示等について、社会的見地、教育的見地からこれらを中止するよう駐屯地に申し入れるとともに、県行政ならびに県教育委員会に対して、実態調査等を実施し、自衛隊に対して創設記念祭の在り方について是正等を勧告されるよう求めるとともに、模擬戦闘訓練展示など「軍隊」としての活動を披露する「駐屯地祭」の問題の重大さに鑑み、県知事等が出席されないよう求めてきました。

私たちの取り組みで、参加した子どもたちが銃器に触れ引き金を引くような行為は中止され、武器・銃器の展示ではロープを張り触れないようにする是正措置が取られていますが、戦車の上に乗ったりする行為は是正されていません。

常設展示されている戦車やヘリの前で

「駐屯地祭」にはまだ十分な判断力がない子どもたちが多く参加します。私たちは、戦争を賛美し軍備増大を鼓舞する「駐屯地祭」の企画内容が、子どもたちに好戦的な感覚を植えつけてしまうのではないかと危惧します。戦争・戦闘行為は人間の尊厳である命を奪う愚かな行為です。人の命を大切にし、平和な社会を維持していくことの大切さを教えなければならない大人の責任こそが問われるのではないでしょうか。

ましてや、岸田政権のもとで、ウクライナ戦争、中国・朝鮮との安全保障上の緊張の高まりを理由に、安全保障政策の見直しを加速させ、「敵基地攻撃能力」の保有や、今後5年間で43兆円を超える防衛費の確保をめざすとする安保3文書を閣議決定、専守防衛がないがしろにされ、「戦う自衛隊」への転換と変貌が強行されている中にあっては尚更です。

専守防衛に徹せよ!軍備増強・軍事大国化にNO!の声を粘り強く上げ続けていきたいと思います。

自衛隊祭りに先立ち、駐屯地や松本市、県に申し入れをしました。

松本駐屯地への申し入れ 長野県への申し売れ

県では、これまで「災害派遣や災害時の連携にお礼を述べる」ためとし、県代表が出席してきています。今年は知事と危機管理部長が出席しました。模擬戦闘訓練や武器展示の実情を把握し、今後の対応を見なおしてもらいたいものです。

また、県が検討する武力攻撃事態を想定した国民保護実働訓練の実施については、隣県など広域実施を含め国と協議中と述べるにとどまり、実施時期も未確定としました。

ウクライナ戦争や北朝鮮によるミサイル実験、米中対立を背景とした台湾情勢の緊迫化など厳しい国際情勢のもとで県民の不安が強まっていることは事実ですが、「軍事力には軍事力で対抗する」といった論理では、真の平和を構築することができないのは自明です。地方自治体は県民の生命と安全を守り抜くために国の軍備拡大に警鐘を鳴らし、「武力攻撃」を回避するために対話と外交努力を徹底することを進言すべきでしょう。実効性そのものに根拠が希薄な「武力攻撃事態」を想定した訓練は、県民の不安をあおり、「戦時=有事体制」を日常化させるものであり、また私権制限を伴うことから人権侵害も危惧されるものであり、容認することはできません。県の動向を厳しくチェックしていきたいと思います。

4月24日付の信濃毎日新聞・中南信版より

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