先週5日、長野市生涯学習センターで長野県バス協会の松井道夫専務理事を招き、私鉄県連協力議員団会議を開き、新型コロナ感染症の拡大による公共交通の厳しい現状と課題について意見交換しました。
県内交通事業者の労働組合で組織される私鉄県連が取り組む交通政策の実現に協力する自治体議員の勉強会で、県下から県議をはじめ市議ら20人と各単組の役員が参加しました。
私は私鉄組織内議員として、協力議員団会議の団長を務めています。
中央で私鉄交通政策推進国会議員懇談会に参画している杉尾秀哉参議院議員も出席しました。
勉強会では、長野県が作成しYouTubeに公開している「コロナに負けない!新たな日常のすゝめ【公共交通編】」を上映後、県内73社が加盟する長野県バス協会の松井専務から、「県内のバスの現状とコロナ対策」と題し現状報告していただきました。
私は既に「交通崩壊の危機を乗り越えるために【その1】」で、長野県バス協会の取り組みを紹介してきていますが、改めて事態の深刻さを再認識したところです。
バス協・松井専務からの提起のポイント…
★4月から3カ月で乗合バスは半減、貸切バスは94%減
4月~6月の対前年度比較(指定公共機関対象11社)
4月 | 5月 | 6月 | 平均 | |
乗合バス | 49%減 | 64%減 | 38%減 | 51%減 |
高速乗合バス | 89%減 | 96%減 | 82%減 | 89%減 |
貸切バス | 93%減 | 95%減 | 94%減 | 94%減 |
★指定公共機関11社で28億円の減収、加盟者全体で42億円の減収
このまま交通需要の回復がなければ、百億円単位の減収となり、事業継続が困難になるとの厳しい指摘。
★バス事業者の課題と対策
➊雇用と会社を守り、安心して利用できる交通インフラの存続
➋自粛モード解除からGoto誘客へシフト段階で第2波への備え
➌徹底的な感染予防対策や3密の回避策をとりながら、特に貸切バスの需要回復の取り組みが課題
しかしながら、先が見えない状況…。
★貸切バス適正化の負担金が重くのしかかる
バス会社においては、雇用調整助成金や持続化給付金、融資等を活用するとともに、事業用自動車の休車扱いを進めているが、貸付・融資は返済が必要であり、急場しのぎにしかならない厳しい実態も指摘されました。
協会では会費の負担減(3カ月で25%、750万円減)、日本バス協会会費の負担減など加盟社の負担減を図り、協会の維持に努めているとされますが、軽井沢のバス事故以降、貸切バスの適正化を図るため、巡回指導を行っているが、すべて国費ではなく、貸切バス事業者からの負担金約800万円により運営されており、必要な制度としながらも負担が大きいと指摘します。国における改善と対処が必要です。
★補助メニューのない高速バス、貸切バス
乗合バス(生活路線・観光路線)は、既存の補助メニューによるコロナの影響支援拡大が求められるところであるが、高速乗合バスや貸切バスは既存の事業継続に向けた補助メニューがなく、国における支援対策が必要。
★県への要望でバス1台10万円の支援が実現
★地方創生臨時交付金を活用した支援の働きかけを全市町村に行い、複数の市町村で支援策が実現しているものの、温度差がある。
★国交省のコロナ感染防止対策補正予算138億円は、運輸局で集約されているが、県内だけで要望額は約7億円に、補助率2分の1が実現するかは未確定。予算拡大が求められる。
★高速・貸切の利益の一部を路線バスの赤字の補填に充てる構図が一層浮き彫りとなり、この赤字補填が困難な状況がより深刻化している。移動の制約が拡大しつつある中、9月をどう乗り切るかが喫緊の課題。
まさに交通崩壊の危機、市民の暮らしの足の危機に直面しているということです。
参加者からは、バス事業者への支援の拡大、グループ補助金の活用の手立て、運転手に必要なPCR検査の実施、高速道路サービスエリアの使用料の免除などの意見や要望が相次ぎました。
国・県につなぎながら、長野市における支援の拡充の方途を探りたいと考えます。