9月議会の質問より➋…放課後子ども総合プランの有料化を質す

 今日29日、H28年度長野市戦没者追悼式が市芸術館で営まれました。
 戦後71年、「新たな戦争遺族をつくってはならない」と心に刻みながら、戦没者に深く哀悼の意を表し、黙とうと献花を捧げました。

 さて、「9月議会の質問より」…シリーズの2回目、「放課後子ども総合プランの有料化を質す」です。
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学童保育と放課後子ども教室を一体で運営…「長野市版」

 すべての就学児童が放課後を安全・安心に過ごすことができる居場所づくりとして、厚労省・放課後児童健全育成事業である「児童館・児童センター」、そして文科省・放課後子ども教室に位置付ける学校内施設を活用した「こどもプラザ」を一体化して展開している事業が長野市版の放課後子ども総合プラン事業です。いずれも登録型です。
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 H28年度4月で、全児童数20,378人に対し登録児童数は8,455人、登録率は41.5%です。
 有償ボランティアとして遊びや学習などを支援する「アドバイザー」(県の研修を受講)は1090人(一般813人・学生277人)登録され、障がい等のために特に支援を必要とする児童に対しては、配置基準とは別に補助員が加配されています。

 H27年度決算では、事業費が7億8,700万円余で、うち国等からの補助金は2億4,350万円です。H28年度当初予算では9億5,650万円を計上しています。10億円事業ということになります。
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 H28年度・今年度から54校すべての小学校区で放課後子ども総合プランが実施されたことから、「利用者負担の導入について再検討する」とし、6月2日の社会福祉審議会に諮問し、保護者アンケートを実施した上で来年2月頃までに答申を得て、利用者負担を導入する場合は、H29年度上半期で周知徹底し、H30年4月から実施する考えが示されています。
 有料化を定める「徴収条例」の議決は、来年の6月議会か9月議会に想定されています。
 
 ➡社会福祉審議会資料「放課後子ども総合プランの利用者負担について」

【関連記事】160512「いよいよ動き出す…児童館・児童センター等の有料化」

「有料化ありき」で検討が進む審議会

 社会福祉審議会には「放課後子ども総合プランの利用者負担について」諮問されていますが、審議会には、利用者負担の要否(必要か否か)を含めて検討をしてもらう、その上で利用者負担を導入する場合には、負担割合、激変緩和措置、低所得世帯等への配慮などを論点として協議してもらうと議会側に説明してきました。

 実際に社会福祉審議会の児童福祉専門分科会や放課後子ども総合プラン推進委員会を傍聴してきましたが、児童福祉専門分科会では、➊既にH21年に有料化答申が出されていること、➋保護者アンケートで61.8%の保護者が負担は「必要・やむを得ない」と答えていること、➌無料で実施している自治体は中核市・県内市において少数派であるとされる他市の状況調査などから、「有料化を前提」とするような議論が支配的になっていると言わざるを得ません。

 ➡長野市・社会福祉審議会児童福祉専門分科会のページ…会議録や資料が掲載されています。
 
 「有料化は前提なのか」との問いに、市側は「利用者負担の導入について諮問しているものだが、自由な協議・検討をお願いしたい」とし、有料ありきの姿勢を滲ませています。

 「将来を担う子どもたちという視点を忘れてはならない」、「長野市としての発信が大切」といった意見も出されています。

 また、「苦渋の決断で有料化やむなしとせざるを得ないのか」と「本当は無料で事業継続を求めたいのだが」との想いに苦渋を募らせるプラン推進委員もいらっしゃいます。

 審議会に提出された資料「運営委員長会議における主な意見」からは、無料で事業継続を求める意見も多数記載されています。しっかりと汲み取りたいものです。
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アンケート結果…61.8%が「負担への理解示した」とされるが

 小学生及び来入児の保護者5788人を対象に6月に実施されたアンケート結果(回答者4299人、回答率74.3%)では、46.3%が負担は「やむを得ない」と回答。負担が「必要」は15.5%。33.1%が「今までどおり無料とし行政で負担すべき」とのまとめです。
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 事業を利用している子どもの保護者(2341人)のうち、「行政で負担」を求める人は39.5%で、利用していない子どもの保護者(1934人)の25.4%に比べて14.1ポイントも高かったこと、一方、有料化された場合、利用を「やめる」とした人も13.4%いたことがポイントです。
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 また、有料化が「必要」「やむを得ない」とした保護者に対し、毎月の適当な負担額を聞いたところ、「1000~1999円」が最多の34.5%。「1000円未満」が28.4%、「2000~2999円」が21.7%と続きました。一方、有料化された場合、利用を「やめる」とした人も13.4%います。
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 ➡「放課後子ども総合プランの利用者負担に関するアンケート結果」

利用者の39.5%が「無料で実施」を求め、13.4%が「有料ならば利用しない」…ここに着目すべき

 私は、保護者アンケートにおいて、利用者のうち39.5%、約4割が「無料で実施」を望んでいること、「有料化されれば利用をやめる」と答える保護者が13.4%も存在すること、さらに「負担金額次第で考える」と答えている保護者を考えると利用をやめる割合は高まることに着目すべきだと考えます。

 また、「利用をやめる」と答えた人をプランの利用頻度別で見ると「週3日以上の利用者」が55.8%に上ります。つまり、週3日以上利用している子どもが、放課後、家で一人で過ごすことになってしまうのです。
 
 すべての希望児童に門戸を広げていくとしている放課後の安全で安心な居場所が1割を超える子どもたちが利用できなくなるという制度設計は間違っていると考えます。

 中山間地域ではより深刻な問題となることは必至です。

無料で事業継続を…市長の決断求める

 子どもの貧困が社会問題となり、また所得格差が広がり共働きせざるを得ない状況が強まる中、児童館・児童センター、プラザの利用ニーズが高まることは必至です。
 そして、子育て世代の強い要望が経済的支援にあることを忘れてはなりません。

 利用者が限られていることをもって、税負担の不公平さを強調するよりも、限られている利用者への支援があってこそ、子育て世帯全体の底上げが図られること、税金を優先的に使う政策的判断について、広く市民の理解と合意を求めていくことが重要であると考えます。

 放課後の子どもの「遊びの場」、「生活の場」として、無料で放課後子ども総合プランを実施している稀有な自治体として長野市の名を残してこそ、「子育て支援先進都市」として誇りうるのではないでしょうか。

 子どもの最善の利益を守るため、10億円かかるとしても、将来ある子どもへの投資だとする市長の決断を強く求めました。
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市長…社会福祉審議会の答申を尊重して決定する

 市長は「放課後子ども総合プランの施設整備や支援員の確保を計画的・持続的に進めるため、またプランの利用者と利用しない人との公平性の確保の観点からも、利用者負担の検討が必要であると判断し、社会福祉審議会に諮問したもの。子育て支援全体についてバランスよく持続的に事業を進めていくことが必要と考えるが、放課後子ども総合プランの利用者負担について、来年2月に予定される社会福祉審議会の答申を尊重して方針を決定していきたい」と答弁。

 残念ながら、予想通りの答弁に終始。子育て支援先進都市の市長としての英断、無料での事業継続・拡大を求めましたが、届きませんでした。

有料化の是非について真剣な審議を

 市長が審議会に諮問した事柄は「放課後子ども総合プランの利用者負担について」といったザックリとしたものですが、利用者負担の要否=是非から審議してもらうのだと説明してきました。

 市長に、「利用者負担の是非」、この大切な論点を確認しましたが、「利用者負担について検討が必要と判断して諮問したもの」との答弁を繰り返すばかりで、つまり「利用者負担の是非」の論点が十分に認識されていないこと、「負担ありき、有料化ありき」の姿勢が浮き彫りになりました。

 有料化の是非、この原点から議論してもらうということを忘れてはならないと強くクギを刺しました。

他市の状況調査…「無料実施は中核市で長野市のみ」の誤り

 市側は、「利用者負担に関する他市の状況」をまとめ、審議会に資料として提示しています。
 ➡審議会資料「他市の状況」
 中核市44市のうち、「無料」は長野市のみ、県内市でも「無料」は長野市・飯山市・千曲市の3市のみ、といった資料です。利用者負担=有料化は時代の趨勢でやむを得ないことを強調する資料となっています。
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 しかし、この状況調査は一面的で、誤りがあるといわなければなりません。

 私が調べたところによると、長野市で言うところの「児童館・児童センター」、すなわち放課後児童健全育成事業の範疇では有料化している自治体は確かに多いのですが、放課後子ども教室推進事業では無料で実施している自治体があります。

 例えば、秋田市です。利用者負担が5,000円から20,000円と報告されている秋田市では(審議委員の皆さんは負担額にビックリされていましたが)、これは民設民営の学童保育36施設、1,367人の利用者に対する負担額であって、放課後子ども教室として運営する「児童館・児童センター」は無料で実施されています。44施設、延べ利用児童数は56万7,619人。1施設平日の平均利用者数は50.6人に上る放課後の居場所事業です。

 民間との住み分けがされているものと思われますが、1日平均50人が利用する放課後子ども教室事業が無料で行われているという事実は、正確に資料提供されるべきでしょう。

 県内市でも、有料化されている自治体として示された佐久市では、民設民営の二つの児童クラブの状況で、小学校区単位にある児童館19は公設公営。平均40.6人の利用。無料で自由参加方式となっています。
 松本市も放課後子ども教室推進事業は無料で実施されています。

 つまり、公設の施設での事業は「無料」で実施されているということなのです。

 また、政令市である川崎市は、すべての児童を対象に、学童保育を包摂した「わくわくプラザ」事業を無料で実施しています。おやつ代1日110円の実費負担。保険加入ありといった制度設計です。

 私は、こうした一面的な資料は、審議会における判断材料として適正な資料とはならないこと、審議会の議論をミスリードすることを強く指摘しました。

改めて「有料化の是非からゼロベースの検討」を求める

 審議会分科会は、10月に予定される第3回目の会合で方向性を出し、来年2月には答申をまとめるというスケジュールです。果たして十分な審議となるのか、疑問を禁じえません。

 私は、他市の状況を精査しなおし、現場である児童センターや子どもプラザの運営委員会等の意見もしっかり聞きながら、審議会における検討を有料化の是非からゼロベースで仕切り直すべきだと質しました。

部長…「利用者負担の要否から審議をお願いする」

 これに対し、こども未来部長は、「今後も運営委員会の意見を十分に聞きながら、分科会に提供し審議の材料にしてもらう。他市の状況調査は、中核市・県内市の全体傾向を示すことを目的にしたものだが、ある程度代表的な市、あるいはある程度パターン化できるのであればパターン化したうえで必要に応じて具体的な事例として説明していきたい。分科会には、利用者負担の導入の要否から審議をいただくところからお願いする。その後、導入の方向となった場合には、導入時の負担割合とか減免制度とか、次の段階に移っていくというふうにしたい」と答弁しました。

 一歩前進と思える答弁は得られたものの、有料化ありきで審議が進む懸念は消えません。

 10月に予定される第3回目の分科会が注目です。

留守家庭児童に重きをおき、施設整備、支援員等の処遇改善を図るべき

 長野市のプランは、放課後児童健全育成事業と放課後子ども教室推進事業を一体的に運営し、上乗せ・横出しのサービスを提供しているとします。
 留守家庭の児童を対象とする学童保育は国の施策として小学6年生まで拡大されています。しかし、受け皿の整備は十分ではありません。

 そこで、国の施策に沿って学童保育と全児童対策を一体化させるよりも、留守家庭児童に重きを置き、小学6年生までの希望児童すべてに十分な施設・設備を整備し、支援員・アドバイザーなど処遇を改善し十分な支援体制を再構築すべきと質しました。

 これに対し、こども未来部長は「H29年度までには、すべての小学校で6年生まで留守家庭児童の受け入れができる見込み」とし、「耐震改修やトイレの男女別化工事など必要な施設整備を進める」「支援員等の処遇も順次改善に努めている。県の資格研修への参加に加え市独自の研修会を開催する」と述べた上で、「引き続き、希望する全ての児童の受け入れができるよう計画的に受け入れ態勢を整え、ハード、ソフト両面からさらに充実した支援体制を構築していきたい」と答弁しました。

 この点については、「児童センター」の運営、学校施設を利用する「こどもプラザ」の運営をより詳しく調査し、論点をさらに整理するとともに、施設整備や支援員等の処遇改善について厳しくチェックしていきたいと考えます。

 改めて、有料化ありきではなく、経済格差の現実、放課後子ども総合プランを利用する保護者の実態、ニーズ、児童館・児童センターの施設・環境整備、おやつの実費提供のあり方、アドバイザー・支援員の処遇改善、そして、財源の確保、そして市長が打ち出す子育て先進都市を目指す政策的整合性などなど、総合的・多角的に検討されるようチェックと提案を強めていきたいと考えます。