まちづくり対策特別委員会で行政視察…エッセンス

1月22日から24日、長野市議会まちづくり対策特別委員会で岐阜県岐阜市、滋賀県草津市、静岡県富士宮市を行政視察してきました。

委員長を務めています。

今回の特別委員会の視察は、都市整備部長、交通政策課長が全日程同行し、草津市には市街地整備課長が同行しました。理事者とともに学び、ともに考える視察です。

まずは第一報、かなりポイントを絞ってのエッセンス的な報告です。議会事務局から送ってもらった写真も交えました。

岐阜市…岐阜市型BRTの導入と19地区で運行するコミュニティバスの現状と課題

BRTは、130人乗りの連接バス4台により、朝夕のバス優先レーン(17㎞)とPTPS(公共交通優先信号システム)をセットにして定時性を確保しながら大量輸送を果たすものです。

後方の赤いバスが連接バス

水色のレーンがバス優先レーン

岐阜駅と岐阜大学及び附属病院を結ぶ路線を中心に、現在、3路線に導入されています。

導入後5年間で平日1日当たりの利用者数が30%増加し、岐阜駅前での浅野バス待ち時間は13分短縮されています。

乗り継ぎの利便性を高める取り組みでは、路線バス⇔路線バス、路線バス⇔コミバス、コミバス⇔コミバス間で、交通ICカード利用で40円の運賃割引が導入され、コミバス間のみ現金割引も可能となっています。

定時性が確保される中での大量輸送を可能とするBRTは、長野市においても、4月からスマホによるバスロケーションシステムが稼働することを機に、南北交通軸を中心に導入に向けた積極的かつ本格的な検討が問われるところです。

コミュニティバスは、現在19地区(受益人口比率84%)で導入され、22地区(受益人口比率100%)への拡大を目指しています。

大きな特徴は、地域自らがコミュニティバスを導入するシステムを確立している点です。高齢者等の地域内における日常生活の移動の確保のために、地域住民が主役となって、運賃やルート、ダイヤを自主的に決定しています。

市民協働の手作りコミュニティバスとしていることです。

市行政側は、地域の高齢者密度を基準にした補助上限額と基準収支率などの運行継続基準を示し、運行の継続は地域の努力次第といった姿勢で臨んでいます。運行に必要な経費の15%~40%を地域負担とし、行政は60%~85%を負担し、地域の努力を支える仕組みです。

2年間の試験運行の状況をチェックし本格運行に移行、その後は3年ごとに収支状況等をチェックし運行継続を判断することになっています。運賃の引き上げや広告収入の増などの地域の努力で、運行が中止になった地区はないとのことです。

岐阜市の場合、コミバスを運行する地区内でかかりつけ医への通院や買い物が完結できる地域的条件が整っていて、長野市の中山間地域とは単純に比較できないところがありますが、大変興味深い取り組みです。

岐阜市議会の委員会室で

長野市でも公共交通ビジョンや地域公共交通網形成計画において、路線バスが廃止された場合や交通ネットワークを維持・拡充していくうえで、地域住民が主体となって地域生活交通を守る観点から「維持基準」の検討を課題の一つにしていますが、岐阜市の取り組みも参考にしながら検討を進めたいものです。

岐阜市の地域公共交通条例(理念条例)の制定やモビリティ・マネジメントの取り組みは改めてとします。

視察の折に立ち寄った「ぎふメディア・コスモス”みんなの森”」。図書館をメインとする公共施設です。なかなかすごい施設でした。この施設の隣に新しい岐阜市庁舎が建設されるそうです。新庁舎の建設総事業費は何と269憶円!

富士宮市も公共交通がテーマ…「宮バス」&「宮タク」

富士宮市の市街地循環バス「宮バス」の運行と、路線バス撤退を受けた中山間地域の移動手段としてデマンド型乗り合いタクシー「宮タク」の運行がポイントで、全国的に先進事例とされる取り組みです。

宮バスで市役所に向かいました。200円の均一運賃です。

ドアツードアで運行される「宮タク」は、会員登録による完全予約制で、大きな特徴は、中山間地域のエリア内移動だけでなく、中心市街地への飛び地移動輸送を可能にしている点です。

タクシーを利用しながらタクシーの1/4程度の運賃設定で、バス運賃並みの定額料金を実現しているとします。

登録市民は約5,000人で、利用者数はH29年度で11,819人。乗り合い率は1.7人。基準運賃は500円だそうですが、エリアにより1乗車200円~1700円で運賃が設定されています。

完全フリー乗降ではなく、運行回数はエリアごとに一日6便から8便で、運行時間は午前7時10分から午後5時20分までの時刻表運行を基本しているとのことです。

富士宮市の担当者曰く、市民にとっては、乗降場所・利用時刻の限定・完全予約制・キャンセル料など利用の不便さがあり、タクシー事業者には一般タクシー事業との競合があり、行政は委託料の支出による財政負担があるという「三方一両損の精神」が宮タクの最大の特徴とされています。

路線バスの撤退に端を発したタクシーを活用した新しい運行形態であることから、バス事業者からの異論は特にないとされました。

長野市域においては、路線バスを運行するバス事業者との共存にも配慮が求められるところです。
しかしながら、飛び地のエリア間輸送で中心市街地の駅や病院を目的地として可能にしている点は、長野市版的なあり方を再検討したいものだと考えます。

市役所の中にも”富士山”

富士宮市役所の玄関で

草津市…アーバンデザインセンターの取り組み

草津市の視察テーマは、「アーバンデザインセンターびわこ・くさつ(UDCBK)」です。

アーバンデザインセンター(UDC)とは、地域の課題解決に向け、官・民・産・学の共同・連携により、まちづくりを推進する組織で、持続可能なまちづくりを推進する手法として注目を集めているもので、現在、19の自治体・地域で取り組まれています。

長野市の中心市街活性化プランの推進において、新田町交差点周辺のもんぜんぷら座や生涯学習センター「トィーゴ」の施設活用の在り方を見据えたグランドデザインの策定にあたり、アイデアや手法としてUDCの活用が模索されています。

長野市としては、長野県が新年度に発足させる「信州地域デザインセンター」(県単位では初めてとなるUDC)において、県都・長野市の中心市街地活性化のグランドデザインづくりを検討テーマに押し上げ、連携・活用を考えていることから、視察地としたものです。

説明いただいた「アーバンデザインセンターびわこ・くさつ」の参事と主査を囲んで。お二人とも市の職員です。

「アーバンデザインセンターびわこ・くさつ」は、市直営の官・民・学連携のプラットフォームで、H28年10月に設立され、現在、南草津駅前に開設したUDCBK施設を拠点に、市民誰もが気軽に集える居場所を提供するとともに、大学と連携した調査研究に取り組み、未来のまちづくりのための社会実験に取り組んでいます。官・学連携が基軸です。

官・民・産・学連携によるまちづくりグランドデザインづくりという観点からは、発展途上にある取り組みとの印象ではありますが、市直営で運営され、大学との連携によるまちづくりの試みは、市担当職員の情熱とともに、まちづくりプロパーの育成といった視点から学ぶところ大といえます。将来的にどのように発展させていくことができるのか、注目です。

会派で3年前に、千葉県柏市の「柏の葉アーバンデザインセンター」(UDCの先駆けとなった拠点)を視察しましたが、スマートシティを基調とする近未来都市構想によるまちづくりで、ちょっと長野市的にはハードルが高すぎるとの印象でした。しかしながら、官・民・産・学の連携によるまちづくりの発想という点では学ぶところが多かったと振り返っています。

詳細は改めてとします。

因みに草津市でも連接バスが運行されていました。立教大学の移転等により学生が1万5000人いるそうです。学生の通学移動手段です。

他の地域のUDCの取り組みも俯瞰しながら調査・研究を深めたいと考えます。

富士宮駅前から

予断ですが、富士宮市で富士山を眺めることができたのはラッキーでした。富士山の全貌が見えるのは3日に1回だそうです。やっぱり勇壮な富士山には心が洗われます。遠く見ているからなのですがね…。

来週は29日~31日、議会運営委員会の行政視察です。視察にばかり出かけているのか!といわれそうですが…、9月に議会人事を行っていることから、この時期に特別委と議運の視察が重なってしまいます。しっかり勉強し、長野市政・長野市議会に活かす所存です。

ということもあり、特別委の詳しい報告は2月になりそうです。