まちづくり・公共交通対策特別委の行政視察➊…松山市編

 2月7日~9日、まちづくり・公共交通対策特別委員会で松山市・高松市・神戸市を視察してきました。まずは第一報でエッセンスを報告します。

松山市の中心市街地を運行する路面電車

  初日の松山市はそうでもありませんでしたが、高松市、神戸市は雪が舞い寒かったです。風が強く、体感的には長野よりも冷たく感じました。
 初日、羽田空港では天候不順で滑走路が大渋滞、松山空港着は1時間遅れ、松山市にはご迷惑をおかけすることに、それでも調整いただきありがとうございました、です。
 二日目、松山から高松の移動途中では、JR線の妹尾駅(岡山県)の電線火災で瀬戸大橋が不通状態とのニュースが飛び込んでくる始末…、四国から脱出できずか!?と慌てたものの、高松到着頃に無事開通に。安堵しての高松市視察となりました。
 三日目は、米原・関ヶ原辺りでの大雪が心配されましたが、ほぼ定刻通り、帰長することができました。随行の議会事務局・M氏には冷や冷やものだったと思います。ご苦労様でした。

 失敗談…。初日はホテルにバッグを置いてから市役所に向かったのですが、名刺をバッグに入れっぱなしで、委員長として名刺交換ができませんでした。何と二日目も、迎えてもらった高松市議会のバスに置き忘れ。慌てて取りに戻って事なきに…。「5年間は言われるね」とは先輩議員のお言葉…、自覚不足ですみません。

 個人的には、松山市役所に勤務する大学時代からの友人S氏に28年ぶりの再会を果たすことができたこと、大きな収穫でした。委員会メンバーでの夕食会後に落合い、旧交を温めることができました。Sは学生時代とほとんど変わらず。再会でのSの第一声、「布目、おでこが広くなったなぁ」には、少しへこみましたが…。

 さて、愛媛県松山市は「公共交通を活用したまちづくり」がテーマで、松山市総合交通戦略、路面電車を活かしたまちづくり、ICカードサービスがポイント。

特別委員会委員長として挨拶。向う側が松山市都市整備部・総合交通課の皆さん

 松山市は四国で初の人口50万都市。面積は429㎢で長野市の約半分、人口密度は1200人/㎢で長野市の約3倍。市役所を中心に5キロ~7キロ圏内に人口の8割が集中し、もともと地勢的にコンパクトシティを形成しています。
 JR予讃線が南北に走り、伊予鉄道が松山市駅を交通結節点に、高浜線・横河原線・郡中線の3路線が郊外線として延び、市街地では路面電車が松山城を囲む環状線を運行、松山市最大の観光地である道後温泉も結んでいます。そして路線バスが、松山市駅を起点に放射線状に運行されています。

 松山市の地域公共交通の特徴は、グループ企業である伊予鉄道が一手に担い、鉄軌道とバス路線で松山都市圏をカバーしていることです。150円の均一運賃である市街地路面電車は若干赤字、鉄道が黒字、バスは赤字とされますが、グループ全体で交通事業を支える構造のようです。

 H17年には全国で12番目の「オムニバスタウン」の指定を受け、ICカードやバスロケーションシステムを導入し、バス交通の利便性と鉄道とのフィーダー性を高めてきました。

 松山市総合交通戦略に基づく交通計画は、自動車計画、歩行者・自転車計画、公共交通計画、交通需要管理計画を4本柱とし、自動車・徒歩・自転車・公共交通などの複合的な利用により、既存の交通基盤を有効活用した交通施策を推進するとしています。
 公共交通計画では、オムニバスタウン計画の推進、交通結節機能の強化、電車・バス共通のICカードによる利便性向上を柱とします。
 ICカードは発行枚数が26万枚で人口の半分に相当、ICカード利用で運賃の約10%割引となります。

10輌導入されているLRV。1輌1億8千万円です。ラッピングの「ことば」が光ります。

 「坊っちゃん列車」で有名な路面電車では、H13年からLRVを順次導入し、現在10両が運行。ラッピングに「ことばのちから」イベントで市民から応募された「ことば」が掲載されています。LRVは1両あたり1.8億円(随分高い乗り物です)で、伊予鉄道が1億円、国が4千万円、県と市が2千万円ずつ負担。JR予讃線の高架計画に合わせJR松山駅から西地域に700m延伸させる計画が進んでいます。将来的には松山空港への乗り入れも展望したいとします。

市役所から委員全員で道後温泉駅までLRVで現地視察。途中から下校する小学生らが乗り込み、満員です。

ICカードでの運賃決済端末機。路面電車は150円の均一運賃のため、下車時にカードをかざして精算します。

 松山市での課題は、中山間地域の公共交通網の整備、既存の公共交通網の維持、高齢者の交通事故対策とされます。中山間地域では伊予鉄が住民と協議して路線等の見直しを図っているそうですが、伊予鉄=民間事業者の路線バス運行が基本で、市が関与する地域コミュニティバス等の運行を行っていないところが特徴、しかしながら、伊予鉄側も年3~4億円の赤字を抱える路線バス運行を縮小せざるを得ない状況になっているそうです。この辺りがこれからの問題として浮上することになります。

 松山市では、1月20日から2月20日までの期間で「自転車の車道左側走行」の社会実験が行われていました。「自転車は車道左側を」「歩道は車道側をゆっくりと」「歩道を逆走しない」を呼びかけるものです。監視員が立ち指導していました。効果の程を改めてチェックしたいと思います。

自転車走行・社会実験の看板。見てる限りでは、ほとんどが歩道を走行していました…。

道後温泉駅に停車していた「坊っちゃん列車」、ディーゼルで動く蒸気機関車です。2輌導入されています。視察の折にも汽笛が聴こえ、あったかくなります。、

 松山市には2008年4月に「オムニバスタウン計画」の調査で訪問しています。その際の報告書は次のページです。4年前なのですが、当時の取り組みが現在につながっていて、自分で言うのも変ですが、読み返すと面白いです。それなりにまとまっている報告書です。参考までに。

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