平和憲法を未来へ…戦後80年の憲法記念日

戦後80年、被爆80年…施行78回目の憲法記念日の5月3日、獅子舞フェスティバルや善行寺花回廊でにぎわう善光寺表参道の新田町交差点で護憲連合としてスタンディング・リレートークを実施、午後には信州護憲ネット主催の「市民の憲法講座」が催されました。

平和憲法を未来へ…街頭スタンディング

街頭では、選択的夫婦別姓の賛否を問うシールアンケートも展開。若い皆さんが参加してくれました。

戦争の爪痕を未来につなぐ…憲法講座

憲法講座は「戦後80年…戦争の爪痕を未来につなぐ」をテーマに、飯田下伊那地域の戦争遺跡調査の報告や「中国侵略の現場から」「アウシュビッツ訪問」の報告に耳を傾けました。

I女性会議の木下容子さんは、満蒙開拓団の国策をはじめ朝鮮人や中国人が強制労働を強いられた平岡ダム(天龍村)の建設工事や登戸研究所平和資料館(駒ヶ根市)など地元の飯田市など南信地域の戦争遺跡を巡り学んだことを報告、「地域に残る多くの戦争遺跡を次世代につなげないといけない。日本人として加害の歴史を忘れてはならない」と訴えました。

護憲ネット代表委員の松澤佳子さんは、ユダヤ人が大量虐殺されたアウシュビッツへの旅を振り返り、「二度と戦争をしないためにどう行動するかを考えることの大切さを心に刻んだ」と語りました。

武力で平和はつくれません

日本国憲法は「戦争の放棄」を高らかに宣言しましたが、今年度の政府予算で防衛費は8兆7千億円と史上最高額を更新しました。「中国の脅威」「北朝鮮の脅威」を口実とした軍事拡大は全国に広がり、住宅街にも弾薬庫が作られる事態となっています。それでもトランプ米大統領は「これでも少ない。もっと防衛費を増額しろ」と日本政府に迫っています。

「戦争の放棄」は理想論なのでしょうか

そんなことはありません。防衛省は3月末に「台湾有事」に際して沖縄・先島諸島住民ら12万人を九州各県や山口県に避難させる計画を明らかにしました。それによると12万人を6日間程度で自衛隊や海上保安庁の船舶、民間のフェリー、航空機を使って避難させ、その後、貸し切りバスなどで滞在地のホテルなどに宿泊してもらうとしています。

机上の空論とはこのことです。12万人には嘉手納基地や普天間基地がある沖縄県で最も住民の多い沖縄本島は含まれていません。また運転手不足が叫ばれているなかで12万人もの人々を一気に輸送することなど到底不可能です。飼育している牛や馬、そして畑はどうなるのでしょうか。

沖縄戦で「対馬丸事件」という悲劇が起こりました。対馬丸は幼い子どもたちが疎開をするために長崎へ向かっていましたが、米海軍の潜水艦の魚雷攻撃を受け、約1,500人が死亡しました。こうした「有事」の際の住民避難は原発事故についても避難計画が作成されようとしていますが、実行不可能な計画しか示されていません。

対話による平和外交の確立こそ戦争回避の道 

沖縄県民は地上戦で当時の県民の4分の1にあたる12万人余りが死亡した経験から「ヌチドゥタカラ(命こそ宝)」「軍隊は住民を守らない」を教訓に戦争につながるあらゆる動きに反対し、平和を求めてきました。

日本は島国です。海上が封鎖されれば食料、エネルギーの輸入はできなくなり、国民は餓死の恐怖に直ちに直面します。食料自給率38%の日本で唯一自給が可能といわれていたコメが品不足となり、高騰しています。対話による平和外交の確立こそ戦争回避の道です。

私たちは訴えます。平和憲法の理念を空洞化し、改「正」をも狙う勢力の拡大を許さず、生活といのちが最優先される平和国家への道をめざしましょう。

大軍拡・軍事増税NO!

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