2015/12月市議会の論点[その3]…「戦争法の廃止を求める請願」の否決に反対する

 12月15日、12月市議会定例会の最終日、安全保障関連法の廃止を求める4団体の請願が否決されることに対し、反対討論を行いました。
 戦争法の廃止を求める請願4件はいずれも、新友会(17人)及び公明党(5人)の賛同を得られず、賛成少数で否決されました。
 「戦争法廃止」に賛成した会派・議員は、改革ながの市民ネット(7人)、共産党(6人・欠席1人)、無所属(2人)です。
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 討論の内容は次の通りです。第一庁舎議場での最後の討論です。

「戦争法の廃止を求める請願」の否決に反対する

 27番 改革ながの市民ネットの布目裕喜雄です。

 請願第32号「安全保障関連法案の採決強行に抗議し法の廃止を求める請願」をはじめ、同趣旨の請願第29号、第30号及び第31号を不採択すべきものとした総務委員会委員長報告に反対の立場で討論します。

 9月19日、参議院本会議において、安全保障関連法案の採決が強行されました。
 不採択すべきとされた請願は、いずれも、安全保障関連法の強行可決という国民主権と民主主義を踏みにじる暴挙を受けて、「憲法の専門家や元内閣法制局長官、元最高裁判所長官らが違憲である断じていることに長野市議会は真摯に向き合い、非戦の国であり続けるために、市民の平和的生存のために、国に異議申し立てを行ってもらいたい。だれの子どもも殺させない、命を生み育てる母親の切実な望みを聞き入れてもらいたい」、そんな、まさに切実な願いが込められたものです。

 請願を不採択とした委員からは、真剣に訴えられた請願者の意見陳述に対し、「自衛隊は合憲と考えるか、国の存立についてどう考えるか」などといった意図不明、意味不明な質問を行い、揚句には「期待通りの答弁ではない」、「願いはわかるがいったん成立した法律の廃止を求めるというのは現実的ではない」などとして、請願者の真剣な願意が顧みられることはありませんでした。
 極めて残念としか言いようがりません。

 法の成立後にあっても、各種世論調査では、「安保法に反対、評価しない」が過半数を超え、「政府・与党の説明は不十分だ」とする世論が8割を超えています。
 法成立から3カ月を経ようとしている今日にあっても、なお、世論の状況は変わってはいません。

 私は、この間、再三にわたって、「戦争法」ともいうべき安保関連法案の制定に反対を表明してきました。
 改めて、反対する主な理由・論点を指摘したいと思います。

 まず第1に、新安保法が、「存立危機事態」の名のもとに集団的自衛権の行使を容認し、わが国が攻撃を受けていないにもかかわらず、自衛隊が海外で戦闘行為・武力行使を行うことになるからです。

 第2に、「重要影響事態」「国際平和支援」の名のもとに、自衛隊が世界中どこでも地理的制限なしに広範に米国軍その他の外国軍の「後方支援」を行うことができるようにするものであって、いかなる事態に対しても「切れ目のない」対応を可能にするとして、なし崩し的に自衛隊が戦闘行為に参加することを認めるものであり、自衛隊の武力行使や集団的自衛権行使への道を一層広げるものになっているからです。
 これらは、いずれも憲法の定める恒久平和主義に反すると言わなければなりません。

 そして、第三に、安保関連法の国会審議が始まって以来、国民の多数はもとより、多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁長官を含む最高裁判事経験者からも、安保関連法案の違憲性が指摘されているにもかかわらず、政府による十分な説明が全くなされず、国民の理解も深まらないままに、国会での議席が多数であることに依拠し、安保関連法を成立させることは、国民の意思に反するものであって、「多数者の専制」とも言うべき暴挙と言わなければならないからです。

 十分な審議も尽くさないまま、国会が採決を強行したことは、立憲民主主義国家として許されないことです。

 しかし、忘れてはならないことがあります。安保関連法は、可決成立したとしても、いずれも憲法違反であって、日本国憲法98条の規定、すなわち、国の最高法規である憲法に反する法律、命令、条例、国務に関するその他の行為は、効力を有しないということです。

 今後、政府が安保関連法を施行し、法律に基づく様々な措置を実行すれば、それらは全て憲法に反する無効な行為であり、国民、市民に重大な人権侵害を及ぼすおそれがあるということです。

 来年3月末までに法が施行されることになっています。法の施行と同時に、南スーダンにPKOとして派遣されている自衛隊・施設部隊350人の自衛隊員には「駆けつけ警護」という新しい任務が生じ、戦闘行為に巻き込まれ、殺し、殺される危険が現実のものとなります。

 また、今、世界は「テロとの戦い」に向おうとしています。テロは憎むべき犯罪行為であることは言うまでもありません。しかし、「テロとの戦い」に我が国が加わった途端に、集団的自衛権の行使が現実味を帯びるとともに、日本国民が「テロ」のターゲットとなり国民の生命が脅かされる危険がより強まります。

 これらのことは、仕方がないことなのでしょうか。自衛隊員の命が奪われるかもしれない。尊き命が絶たれてしまう厳しい現実に、私たちはもっとリアリティを持つべきなのではないでしょうか。

 「テロとの戦い」が「憎悪と報復、更なる暴力を連鎖させてしまうこと」を直視しようではありませんか。
 軍事力の行使からは、真の平和的秩序を創造する解決策を導き出すことはできません。

 私たちのこの国が「これまで中東で手を汚していない大国である」という貴重な立ち位置を活かし、非軍事の経済的・人道的支援に徹し、和平を実現することこそが、私たちの国際的責務であると考えます。

 戦後70年の節目において、「新たな戦前」ともいうべき時代を、将来を生きることになるであろう子どもや孫たちの世代から、そして新たに生み出されかねない戦争遺族者から、「あの時、どうして止められなかったのか、仕方がなかったことなのか」と問われた時に、きちんと答えられるようにしたいとは思われませんか。

 法の施行を前に、皆さんの間で募っている大いなる疑問と不安に、正直になろうではありませんか。

 今からでも決して遅くはありません。
 「仕方がない」で終わらせないことです。

 憲法違反である戦争法なる安保関連法を廃止するために、法の発動を止めるために、ぜひとも、市民の切実な請願に賛同されることを訴え、反対討論とします。

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