おでかけパスポート利用者負担…最低110円で、距離制運賃導入へ

 17日・18日と2日間にわたり、市側から3月市議会定例会に提案される新年度予算案や議案等の説明がありました。

 H27年度長野市一般会計当初予算は、1,513.4億円で、大規模プロジェクトの施設建設事業の半分が完了することから、H26年度当初予算に比べ約200億円余り縮小する規模となっています。
 「人口減少の克服のための事業を優先施策とし、予算の重点配分を行った」とされています。
 詳細は、19日の記者会見後に報告したいと思います。

喜ばれているお出かけパスポート

 さて、70歳以上の高齢者の健康・生きがいづくり、外出支援による積極的な社会参加を促すとともに公共交通機関のバスの利用促進を図る目的で、H13年度から定額100円でスタートした事業が「おでかけパスポート」です。市街地の高齢者はもとより、合併した旧町村地域でも「合併の利点」として喜ばれてきた事業です。
 発行枚数は4万4,709枚(内カード利用者数2万7,502人)で利用率は61%、1日あたりの平均利用回数は2,896回、1回当たりの平均運賃は327円とされています。
 ICカード化によりポイントが付くようになりました。
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4年越しの見直し、ついに実施?!

 見直しは、H22年から、利用者負担の見直し対象として俎上に上ってきていたもので、H25年4月からのICカード導入により利用状況がかなり正確に把握されたこと等を踏まえ、「あんしんいきいきプラン21」(H27年度~H29年度の第7次高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画)の策定にあたり、社会福祉審議会で検討されてきたものです。
 このたび、審議会は「今後も安定した事業を運営するため、100円定額制から乗車距離に応じた利用者負担に移行する等、3者(利用者・バス事業者・市)の運賃負担のあり方を見直すとともに、高齢者に対して効果的な社会参加支援となるようパスポートの発行者数の増加及び使用率の向上を図る」と答申しました。

利用者負担は運賃の30%、最低110円に

 この答申に基づき、市側が検討しまとめた案の柱は次の通りです。
➊おでかけパスポートの利用者負担は従量制とし乗車運賃の30%とする。
➋平均運賃を300円とし、最低負担額を110円とする。
➌乗車運賃380円までは最低の110円とする。390円以上の運賃の場合は30%負担とする。
➍路線バス事業の経営の厳しさに加え、高齢者人口の増加を見据え安定的な事業とするため、バス事業者の負担割合を乗車運賃の30%から20%に軽減する。
➎利用者負担の見直しは周知期間を置き今秋10月から実施する。事業者負担の変更は4月から実施する。
➏H27年度予算では、利用者負担1億2,400万円、事業者負担7,500万円、市負担1億7,600万円を見込む。

110円均一運賃となる「運賃380円区間」は?

 最低運賃110円区間は、運賃380円の区間となります。例えば、長野駅から信州新町方面では、安茂里の「小市上町」・「小市団地」バス停までが110円に。若槻方面では「宇木・浅川農協」バス停まで、松代方面では「野池」バス停ということになります。
 利用率が70%という区間で設定されているようです。

長野~戸隠中社は100円から370円に

 一方、距離の長い区間、例えば長野駅から「戸隠中社」(22.1㎞)までは運賃が1,250円で、100円が370円に、「鬼無里」(23.8㎞)までは運賃1,200円で360円に、「信州新町」(23.2㎞)までは1,400円で420円に、「松代」(11.9㎞)までは650円で190円に、という格好です。
 通常運賃に比べれば安いのですが…。

距離制運賃はやむなし…しかし、基準など制度設計全体の検証が必要

 1回定額100円運賃で乗り放題という制度は高齢者にとっては魅力的です。「100円で存続を」との声が根強いことは承知していますが、「距離制運賃の導入そのもの」には「仕方ないでしょう」との声も聴いています。私としては、距離制運賃の導入はやむを得ないと考えています。
 しかしながら、一律30%の利用者負担という考え方の合理性については、検証が必要です。平均運賃300円の算出根拠、バス路線ごとのおでかけパスポートの利用状況(特に中山間地域)を見極める必要があります。

 ICカードの導入により、100円=ワンコインの利便性が希薄になる一方、10円刻みで運賃が設定できるようになったとはいえ、100円で乗れるという安心感・便利感・お得感は代え難いものがあります。私としては、最低運賃100円を維持しつつ、上限を300円とする距離制運賃を考えていたのですが、市の案に対抗するには、これを裏打ちできる基準を考える必要がありそうです。

 また、バス事業者の負担割合についても、20%から更に負担を軽減していくことが必要です。

 おでかけパスポート事業の見直しは、予算案の審議の対象となります。ご意見をいただければありがたいです。

特別交付税の措置対象とする道は?

 さらに、地域公共交通の維持存続・利用促進の施策で、市営バスや廃止代替バス、乗り合いタクシー、地域循環コミュニティバスなどのバス交通については、その経費の80%が特別交付税で措置されています。
 おでかけパスポート事業は福祉施策で特別交付税の対象となっていないようです。総体的な市の負担を軽減していくという意味で、公共交通の利用促進という観点から施策を位置づけなおして、特別交付税の対象とする知恵はないのか、この点も検討したいと思います。行政側は検討済みかもしれませんが…。
 公共交通ビジョン素案を検討・協議する20日の「公共交通対策特別委員会」で取り上げたいと思います。