「脱原発求める請願」不採択の顛末

 今議会に長野地区原水禁が提出し、紹介議員となった「福島第一原発の事故対策の強化、原子力政策の転換、自然エネルギーの研究開発・普及に関する意見書の採択を求める請願」は、今日開かれた市議会福祉環境委員会で、賛成少数で不採択となってしまいました。

 請願の趣旨は、「福島第一原発事故で、核分裂のエネルギーは人間には制御できないことがはからずも実証された。今後の日本の原発やエネルギー政策のあり方について根源的な課題を投げかけている」との認識から、「原子力に頼るエネルギー構造を根本的に転換し、自然(再生可能)エネルギーの研究開発、普及を急速に進め、脱原発社会へと大きく舵を切るべき」とし、「当面、福島第一原発の大事故の一刻も早い収束を図るとともに、全国の原発の安全審査を根本からやり直すなどの対応とともに、新規原発の建設の中止、自然エネルギーの研究開発・普及、省エネルギー社会づくりなどの対応策が求められている。長野市議会において福島第一原発の事故対策の強化、原子力政策の転換、自然エネルギーの研究開発・普及に関する国あての意見書を採択してもらいたい」とするものです。原水禁は、「核と人類は共存できない」とし、核の平和利用とされる原子力発電に一貫して反対してきた平和団体です。

 福祉環境員会では、参考に添付された意見書案も含め審議され、「意見書案」で「浜岡原発の廃炉」「新規原発の建設中止」「原子力に偏重したエネルギーの研究開発の是正」「原子力政策の転換」を求めている点などに対し、「原発に対する国の方針が定まっていない。原子力政策の転換や原発の廃炉はもっと国民的議論が必要な課題。直ちに国に求めるのはいかがなものか」との反対意見が出され、採決では私と共産党議員の賛成少数で否決に。不採択とした新友会・公明・政信会の議員の皆さんの主張は、「請願趣旨は理解するが、意見書案の内容はハードルが高く見解を異にするので採択できない」とするものでした。

 紹介議員となった私からは、「福島原発事故を受け、原子力エネルギーに頼らず、再生可能な自然エネルギー等への転換を図ることはもはや国民多数の世論となっている。請願は直ちに原発の全面停止・廃炉を求めるものではなく、脱原発を目標として段階的に原子力エネルギーからの脱却を図るべきとするもの。願意を酌んで請願を採択し国に意見書を送るべき」と強く主張しましたが、かないませんでした。脱原発は長野市議会では未だ少数派ということなのでしょう。

 ところが、請願を否決した直後に、最大会派の新友会の議員が、新たに「新エネルギーの研究開発及び普及を求める意見書案」を発議。趣旨は「新エネルギーの研究開発及び普及に重点的に取り組み、電力供給体制の多様化をめざした新エネルギー政策を確立すること」がメインで、国にとっては至極当然、「痛くもかゆくもない」意見書です。

 私は、「請願を否決した議論の中でも、原子力エネルギーから自然エネルギーの転換は共通認識になっていたはず。従って、『原子力エネルギーに依存せず、再生可能な自然エネルギー等への転換を図る』など脱原発を目標とする文言を表題と記書きに補強し、市民世論に応えられる意見書にすべき。全会一致を目指すなら、補強修正を」と主張。こだわり続けた結果、休憩をはさんだ再開委員会で、提案者から原案に「将来的には可能な限り原子力への依存度を低くすること」を記書き部分に補強追加する提案が行われ、結果、全会一致の採択となりました。

 鷲沢市長は、本会議の答弁で「脱原発は理想であるが、代替エネルギーへの転換を考えると現実的ではない」と述べました。しかし、今、重要なことは、脱原発を現実の政策目標とし、段階的に自然エネルギー等への転換を図ることこそにあると考えます。原発推進の国策を根本的に見直し、脱原発への理想にいかに人類が近づいていくのか、そのために知恵を結集する時です。「レベル7」の福島原発事故を重大に受け止め、脱原発に転換する国際社会の動き、そして脱原発を求める国民世論を踏まえた、人類の未来に対する先見性ある議論が問われています。