避難行動や避難所運営を重点テーマに…災害対策等特別委スタート

災害関連死、新たに4名認定…計12名に

長野市は11月2日、台風19号災害における「災害関連死」として新たに4名を認定したと公表、長野市内の災害関連死者数は12名になりました。関連死認定にかかる経過や原因の情報公開は決して十分とは言えませんが、施設入所の方で、救助されるまでの時間や介護環境の激変が要因とされている点に注目し、福祉避難所の早期開設に災害関連死の教訓を生かしていくことが喫緊に問われていると考えます。


さて、9月定例会で新たに設置され所属している「災害対策等調査研究特別委員会」の初会合が10月29日開かれ、市から台風19号災害の復旧・復興に向けた取り組み状況の報告を受けるとともに、今後の調査研究のテーマについて、避難行動及び避難場の開設運営、情報伝達を重点にしていくことを確認しました。

台風19号災害の復旧・復興におけるハード整備も重要な課題ですが、復興局・危機管理・消防等を所管する総務委員会とのすみ分けも考慮し、ソフト面での調査研究に重きを置くことになったものです。

➡令和元年東日本台風災害からの復旧・復興に向けた取り組み状況について

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7月に公表された「台風19号災害対応検証報告書」にまとめられた改善策の進捗と課題について、9月議会の質問で取り上げてきたところですが、特に災害の種類(洪水・土砂災害・地震等)に応じた避難行動の周知、避難所の開設・運営、要支援者避難等の専門チームの発足による実践的な対応・備えが問われています。

今日、異常な気候変動による自然災害に加え、新型コロナウイルスによる感染症リスク・ウイルス災害という二重の災害・リスクの被害を如何に制御するか...

令和元年東日本台風災害検証報告書のページ(長野市HP)はこちら

調査研究の重点テーマの設定は、委員相互の共通認識です。

今後の調査研究にあたり、長野市地域防災計画、災害対応検証報告書等を改めて吟味し、再検証・補強すべき課題、災害対応シミュレーションの課題、マニュアルの見直しにおける課題等をしっかりと探っていきたいと考えます。

指定避難場所を追加し305カ所に、指定避難所は249カ所

市では、3月に指定避難所に「南長野運動公園」と「長野県立大学三輪キャンパス」を追加するとともに、9月~10月には指定緊急避難場所に「清泉女学院大学・短大の長野駅東口キャンパス(1階テラス及び2階ロビー)」と中央通りの「セントラルスクゥエア」を新たに指定しました。

中央通り沿いの「セントラルスクゥエア」、新たに指定避難場所に

清泉女学院東口キャンバスは、地震・土砂災害・洪水時の避難場所で、最大で100人余の収容力とされます。洪水時は2階のみ。

市が公園として再整備したセントラルスクゥエアは、地震と土砂災害時の避難場所として最大2,000人の収容を想定しています。洪水時の避難場所としては指定されていません。

【メモ=避難場所と避難所の違い】

避難場所は、洪水や地震等の災害が発生したときに迅速に逃げる場所です。一時避難場所、公園等の広域避難場所等などがこれにあたります。

避難所は、災害が発生した時に、居住の場所を確保することが困難な市民に、その場所を提供する施設です。一次避難所、緊急避難所などです。避難所と避難場所を兼ねている場合もあります。

避難生活をする「避難所」は一次と二次に分かれ、二次避難所は高齢者や障害者などの災害時要援護者が避難する施設で福祉避難所といわれています。二次避難所は発災後直ちに開設されることはないため、まずは一次避難所で避難生活をすることになります。

問われる福祉避難所の開設・運営

福祉避難所は現在、保健センターや老人福祉センターなど58施設を予定しています。

台風19号災害で開設された福祉避難所は北部保健センターの1カ所のみでした。災害関連死の原因として避難生活における生活環境・介護環境の激変等が挙げられていることを踏まえ、福祉避難所の十分な開設と運営への備えが求められています。

また、二次避難所として、更北地区の浄土宗寺院(7寺院)とホテル・旅館13施設で、災害時連携協定が結ばれています。

防災行政無線のデジタル化…7割完了、新たな課題も

H30年度からR2年度の整備予定で進められる防災行政無線のデジタル化は、屋外スピーカーの62基増設を含め、約490基の更新が図られることになります。約7割で更新が完了したとされます。

デジタル化及びスピーカーの更新により、音声が届く音達距離が300mから600mに拡大され、聞こえづらい状況が改善されるとしてきているのですが、地元の10月の防災訓練では、ストレートホーンに更新されたことで、逆にスピーカー近くの住民には聞こえづらくなったとの声が上がっています。

安茂里小市の安茂里体育館敷地内の防砂う行政無線スピーカー、ストレートホーンに更新されましたが…。

現状認識と今後の対応について質したところ、危機管理防災課は、「近くで聞こえづらい状況があることは認識しており、広く調査し対応策を検討したい」としました。

防災行政無線のデジタル化は約22億円をかけている事業です。今年度末までには、スマートフォンで利用できる防災アプリの導入を含めて事業完了が予定されていますが、デジタル化の効果のほどについて、しっかりとしたチェックが必要です。

また、市では自然災害等に強い地域を作るため、国土強靭化基本法に基づく国土強靭化地域計画を今年度末までに策定することになっています。併せてチェックしなければなりません。

わが家の避難行動確認シートの活用を

広報ながの8月号に「わが家の避難行動確認シート」が掲載されました。

避難に関するアンケートで「どのタイミングで、どこに避難すればよいかわからなかった」との回答が多いことから、予めハザードマップで危険な場所や安全な避難場所を確認し、避難のタイミング・避難場所などを記入し、発災時に備えるものです。

災害時のマイタイムラインとなるものです。

活用されていますでしょうか?

市では区長等へのマイタイムラインの研修会や市民対象の出前講座に取り組んでいるとします。危機管理防災課の取り組みは是とするものの、周知度・活用度はまだまだ課題が残る現状にあるといえます。周知と活用を徹底させたいものです。

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