9月市議会の質問より➍…公共交通利用促進策の具体化を質す

 「9月市議会の質問より」シリーズ4回目(最終回)です。
 「公共交通利用促進策の具体化を質す」です。
 最近の状況を含めてまとめました。
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地域公共交通網形成計画の策定へ…NPO法人SCOPに委託

 地域公共交通網形成計画及び再編実施計画の策定にあたり、委託事業者はこれまで長く委託してきたパシフィックコンサルタンツに変わり、松本市の特定非営利活動法人「SCOP」に決定しています。
 私的には、公共交通ビジョンの策定に関わったパシフィックコンサルタンツが引き続き担当するものと想定していましたが、あにはからんや、新しい事業者となりました。
 具体的な提案が優れていたとのこと、県内のNPO法人でもありますから、今後に期待したいと思います。
 
 ➡NPO法人SCOPのページ
 
 「SCOP」は、北陸信越運輸局の「地域公共交通確保維持改善に関する情報発信業務」の受託(H24)や長野県「地域交通システム再構築促進業務」の受託(H25)をはじめ、松本市や木曽町、飛騨市などの地域公共交通再編計画等に携わっています。

 いずれにしても、公共交通ビジョンで描いた将来設計図の早急なる具現化を求めたいところです。

 さて、9月市議会の質問では、半年前の3月市議会で、「公共交通ビジョンの早期具体化」を質したことを踏まえ、公共交通の利用促進を図る観点から、4点質問しました。

【関連】160330公共交通ビジョンの施策展開を急げ【3月議会の質問より➍】

県下一斉ノーマイカー通勤ウィークと連携した市独自の取り組みを求める

 9月16日から30日の期間で計画されていた県のH28年度県下一斉ノーマイカー通勤ウィークと連携した市独自のノーマイカー運動の具体化を求めました。
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 ノーマイカー通勤ウィークは、マイカー利用を見直して、公共交通機関や自転車の利用、徒歩といった「環境にやさしい通勤手段への切り換え」と、「日常生活において体を動かす」きっかけづくりを進めることを目的にした取り組みです。長野県地球温暖化防止活動推進センターに委託されている事業ですが、ここ数年、参加事業者は減少しています。

 昨年は県下で80事業所4338人の参加で、21トンのCO2が削減されたします。これは1426世帯の1日分のCO2排出量に相当するとのことです。

 今年の3月議会では、公共交通ビジョンに基づく利用促進策について、世界的にカーフリーデーとされている9月22日を「長野市民公共交通の日」として定め、県のノーマイカー通勤ウィークの期間設定も考慮しつつ、「長野市民ノーマイカーウィーク」を設定し、「もう2回バス乗車運動」を試みとして市民に提起、利用促進を図り、その期間は、くるる利用ポイントを倍増するなどして利用誘導を図ることを提案し、当時の企画政策部長は、「もう2回バス乗車運動」は「具体的な仕組みを検討しているところ」とし「県のノーマイカーウィークとの連携やくるるポイント付与の増加を含めて考える」との答弁がされたところです。
 しかしながら、特段のアナウンスが聞こえてこないことから取り上げたものです。

 企画政策部長の答弁は予想通りでした。いわく「もう2回バス乗車運動やノーマイカー通勤ウィークとの連携は、作成中の公共交通網形成計画の中で考えていきたい」とするものでした。何か、先送り感は否めません。

 現状の取り組みとして、秋の交通安全運動(9/21~9/30)に合わせ公共交通利用を促す啓発チラシの配布、フリーペーパーや新聞等への広告掲載を予定していること、小学校6校でバスの乗り方教室を実施することなどが報告されました。

 バスの乗り方教室の実施は新たな取り組みで効果を期待したいと思いますが、あとは啓発事業のみです。
 啓発だけでは利用転換や利用促進を図れないことはすでにわかっているでしょう!と言いたくなってしまいます。

 地域公共交通網形成計画の策定に織り込むと先送りするのではなく、できるところから始める姿勢が問われているのだと強く指摘し、市の不作為を指摘しなくて済むような積極的な取り組みを強く求めました。

くるるのポイント制…ポイント失効期限の解消を求める

 交通ICカードくるるは、利用するごとにポイントが付き、チャージ料金に還元されますが、有効期限が2年間となっています。
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 ➡KURURU(くるる)のHP

 ポイントの失効状況について調べたところ、失効したH26年11月から今年の7月までに35,192,824ポイント、お金にして3,500万円、月平均170万円に上ります。失効率は37.1%です。

 ポイント制は公共交通利用促進のインセンティブとなるものですが、本来、利用者が活用できる利益が消えてしまっていることになります。

 2年間で失効という制限を無効にし、確実に還元できる方法に変えることはできないのか、ポイントの失効状況を利用者に周知し、確実に還元できる仕組みにシステムアップできないのか、2点質問しました。

 企画政策部長は、ポイント還元は1,000ポイント単位であるため、「3,500万ポイントの失効分のうち、還元対象でない1,000ポイント未満が9割以上を占めており、1,000ポイント以上ありながらポイントを失効した割合は1割程度と推測している」とし、この割合を小さくしていくためには「利用者にポイント残高を確認してもらうことが必要」と答弁。
 KURURUのホームページで、ポイント残高や失効予定ポイントが簡単に確認できることから、「KURURUの窓口での案内をはじめ、広報ながのやホームページでの周知を図る」との答弁に留まりました。
 
 バス利用者でKURURUのホームページを確認できる層がどのくらいいるのか、確認できる窓口はそんなに多くないことを考えると、もっと簡便な仕組みにならないのかと考えます。

 ポイント制度については、「一定期間内に一定額以上の乗車をした利用者にのみ恩典を提供することが利用促進に結びつく趣旨で運用しているもの」と述べた上で、「失効期限を長期にした場合、あるいは還元対象を1000ポイントより下げた場合に、それぞれ利用促進につながるのか、費用対効果はどうかなどを中心にして、制度の見直しを含めてバス事業者等とともに検討したい」と答弁しました。

 当面、検討の成り行きを見守りたいと思います。

 因みに、KURURUホームページで、私のポイント状況確認したところ、1000ポイント未満で還元に達していませんでした。もっと利用しなくては!です。

住自協が取り組む通学費支援…地域間格差を生みはしないか

 若穂地区住民自治協議会では、路線バスの利用促進を目的に、ICカードくるる3000円分のうち1500円を独自に住自協で補助する取り組みと、地区内3つの路線バスを通学手段とする地元の小学生から高校生までを対象に通学定期券の1割を補助する取り組みを始めます。
 屋代線が廃止され、路線バスも廃止される中で、地域の公共交通網を何とか存続させたいとの切迫した危機感に裏打ちされた取り組みです。画期的なものです。

 また、鬼無里地区では、住民の定住促進の観点から高校生を対象に住自協が独自に通学費補助を行っています。

 地域の熱意ある英知に心からエールを送るものですが、その一方で、住民自治組織である住自協の取り組みに甘んじ、教育の機会均等、負担の軽減・緩和の観点から行政としての責任が放棄されかねないことを大変危惧します。
 
 高校生等への遠距離通学費補助については、これまでも議会で取り上げられてきた課題です。

 そこで改めて、中山間地域に居住する高校生等の通学費援助について、自治協の取り組みが先行する中、結果、地域間格差が生じてしまうことを行政としてどのように評価し、地域間格差を是正する対策をどのように講じるのかについて質しました。

 市民生活部長は、「高校生を対象とした通学費の負担軽減制度としては、県の奨学金の中にある高等学校等遠距離通学費を活用してもらいたい」と述べるにとどまり、「若穂や鬼無里の住自協の取り組みは、目的がそれぞれ異なっている。地域課題の解決を図るために、自主的に取り組む特色ある活動にさらに支援を行うとともに、大きな地域間格差が生じないよう、住自協の活動を注視していく」と答弁。

 地域間格差を「見て見ぬ振り」みたいな答弁です。

 もっとも、住自協支援を担当する市民生活部長の答弁では、自ずと限界があります。今後、教育委員会を含め、問題提起を続けたいと思います。

公共交通分野における障害者差別解消法の徹底と「車いす乗降可能なバス停マップの作製」を

 4月から障害者差別解消法が施行される中で、電動車イスを使用する障がい者の方の希望するバス停での乗降利用の意思表示をめぐり、解消法が求める「差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」について、車いす障がい者の路線バス利用にいかに利便性と安全性を確保していくのか、真剣に考え直す機会を得ました。

 ➡160713車いす使用の障がい者の路線バス利用で実地調査【その2】
 ➡160608車いす使用の障がい者の路線バス利用で実地調査【その1】

 国土交通省は、交通事業者に対し「対応指針」を示していますが、すべての事業者に法の趣旨が理解され徹底されている状況にはありません。

 市として交通事業者に対し「差別的取り扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」について、徹底する機会を設け、個別案件にしっかり対応できるよう提案しました。

 また、バリアフリーの現状と課題を明らかにしながら、高齢者・障碍者の皆さんの路線バス利用を促進する観点から、「車いす乗降可能なバス停マップ」の作製を提案しました。
 市が作成している「バスガイドブック」を更新し、車いす利用の可否を落とし込むこと、障がい者用トイレ・多目的トイレの配置もわかるような工夫を求めました。

 保健福祉部長は、「障害者差別解消法の推進には、障がい者の声が事業者に伝わることが重要であり、障害福祉課、交通政策課で長野運輸支局と関係する機関と連携し、生の声を事業者に伝え、啓発を進める」答弁。

 車いす利用可能なバス停マップについては、「バスガイドブック更新の際に施設管理者や運行事業者などと検討し掲載を考えたい」とする答弁がありました。

 まぁ、一歩前進といったところでしょうか。
 進捗状況をチェックしていきたいと思います。