(仮称)長野市公契約等基本条例制定の意義と課題を質す【9月議会の質問より➋】

9月定例会の一般質問で、一つの論点となった「(仮称)長野市公契約等基本条例」の制定問題。

理念条例としてまとめられた条例制定の意義を再確認する視点からの質問・意見が大勢的であったことに対し、私は、条例制定への意欲を評価しつつ、市独自の賃金下限額の設定を求めるとともに、少なくとも、条例の運用を検証する中で、2年から3年のスパンで条例のステップアップを図る必要性を質しました。

賃金型条例へのステップアップの方向性は、条例検討委員会の三浦正士委員長(長野県立大学助教授)が、予定される5回の検討委員会では十分な議論ができないことから、「まずは理念型でスタートし、賃金下限額の設定等について継続的に検討し、さらなるステップアップの方向性を示すことが重要」と意見集約し問題提起したことが、全く顧みられていないが故に、取り上げたものです。

これに対し、市長は「条例検討委員会は意見聴取や意見交換を行う場であり、意見集約はしていない」と、いわば開き直る姿勢を強調しました。そうだとしても、委員長の問題提起を真摯に受け止める姿勢が欠落していることは重大な問題でしょう。

再質問でさらに質しましたが、平行線のままといった感じです。現在行われているパブリックコメントの意見等を踏まえ、誠実に対応することを強く求めました。

12月議会には条例案が提案されます。今の議会では、原案通り議決される見通しが強いものと受け止めてはいますが、議会側で十分な協議のもと、条例をより実効性のあるものにしていく観点から、付帯決議なり条例の見直しに一定の縛りをかけることができないか、さらに追求していきたいと考えます。

【参考記事】公契約条例制定に関し、これまでブログにアップしてきた記事です。

長野市が4月に設置した「公契約条例検討委員会」(委員長・三浦正士長野県立大助教)は、7月までに5回の委員会を開き、このほど市は委員会の検討論...

4点の質問と答弁のポイントです。

市独自の賃金下限額の設定を求める

1点目。発注者責任において、公共工事設計労務単価等を基準とする市独自の賃金下限額を盛り込み、建設工事等における適正な賃金の支払い、労働環境の向上を図ることが重要であると考えるがいかがか。

財政部長=条例検討委員会では、それぞれの立場から貴重な意見をいただいた。具体的には「公共工事設計労務単価の一定割合のような市独自の賃金下限額を定めるべき」との意見のほか「公共工事設計労務単価の一定割合では、その根拠が曖昧ではないか」との意見があった。このほか「労働環境全般の向上を図るべき」「労使間の問題に市が介入すべきではない」との意見のほか「公契約と民間契約の賃金の差が生じる」などの意見もあり、市独自の賃金下限額を定めることには課題が多いと感じた。

委員会での議論を十分に踏まえ、本条例には本市独自の賃金下限額の規定は盛り込まないこととしたが、実効性を担保し、特に労働環境全般の向上を図るため、「労働環境の報告」や「労働者からの申出制度」など5つの新たな仕組みを設けた。

賃金額は、労働環境の中でも重要な要素の一つであることから「労働環境報告書」には、その契約に関わる労働者の最も低い賃金額等を記入してもらうことにより、報告書を作成する事業者にも賃金水準を客観的に認識してもらいたいと考える。

条例のステップアップの方向性を明確にすべき

2点目。賃金条項について、検討委員会の議論では賛否両論がある中で、委員長は「賃金型にするのであれば、下限額の設定など非常に精緻な議論が求められる。まずは理念型でスタートしながら、下限額の設定等について継続的に検討していく市としての責務の書き込み、さらなる公契約条例のステップアップの方向性を示すことができるのではないか」と意見集約、問題提起されてきました。ステップアップの方向性についてどのように考えるか、条例の見直し規定の明記を含め、見解を伺う。

市長=条例検討委員会の意見等を十分に受け止めた上で、独自の賃金下限額を定めないこととしたもので、現時点では、いわゆる賃金型の条例へステップアップしていくことは想定していない。したがって、条例の附則などに見直しする旨を規定することも考えていない。

今後、社会情勢が大きく変化するなど、考慮すべき課題が生じた場合には、条例の見直しを検討していくこともあるかと考える

委員長の意見集約・問題提起という私の指摘に対し、市長は「検討委員会は意見聴取や意見交換を行う場であり、意見集約はしてないので、理解してもらいたい」と強調。引用した委員会の中での委員長発言は、賃金下限額の設定を巡り賛否両論がある中で、委員長としてのまとめ的な意見として提起されたものです。不都合な意見・問題提起を捨象してしまうもので、結論ありきの恣意的な意見集約に他ならないのではないでしょうか。

だからこそ、条例運用の検証も任意の委員会ではなく、一定の拘束力を持った審議会として設置される必要があると強調するものです。

長野市議会インターネット中継(録画配信)で、私の質問時間45分15秒あたりから市長の答弁、私の再質問を視聴することができますので、ご覧ください。

再質問のやり取りは後日、議事録(粗だし)で紹介します。

労働環境報告書の提出義務対象の拡大を

3点目。労働環境報告書の提出義務の対象は、予定価格1億円以上の建設工事請負契約(H30年度で28件・3.5%)、1千万以上の業務委託契約では指定管理協定を含めて(H30年度で122件・13.3%)で、極めて限定的です。対象予定価格を引き下げ、より多くの契約で労働環境報告書が提出され、検証されることが必要であると考えるがいかがか。

財政部長=本来であればすべての公契約の受注者とすべての下請負者に提出をお願いし、検証していくことが望ましいと考えるが、事業者の事務負担に配慮し、一定金額以上の契約を対象とすることにした。

条例運用の検証は(仮称)「公契約審議会」で

4点目。条例の運用状況を検証するため、必要に応じ「協議の場」を設けるとされている点について、任意の委員会等で、果たして十分な検証となりうるのでしょうか。市の附属機関となる、例えば「公契約審議会」等を設置し、一定の拘束力を持ちながら、条例の運用や効果を継続的に検証することが必要であると考えるがいかがか。

財政部長=条例の検証は、担当部署などの詩の既存の組織を最大限活用することとし、常設の付属機関は設置しないことにしたもの。今後は、必要に応じ、外部の学識経験者や事業者等関係団体から意見を聞きつつ、担当部署を中心に責任をもって検証していく。

パブコメに意見を

(仮称)長野市公契約等基本条例(案)骨子に対し、9月23日までパブリックコメントが行われています。

ぜひ、意見をたくさん出していきましょう。

8月25日付のブログで「長野市公契約等基本条例の制定…意義と課題」を長々とまとめたところですが、市民意見の募集にあたり、意見・提案を呼びかけ...