同一労働同一賃金の観点から会計年度任用職員制度の適切な運用を【代表質問より➏】

 市役所では4月から会計年度任用職員制度がスタートします。

 私はこれまで、嘱託や臨時の非常勤職員の新しい制度となる会計年度任用職員制度への移行にあたり、同一労働同一賃金、職務給の原則に基づき、常勤職員との均等待遇が進むことを強調し、パートタイム任用職員の増加ではなく、勤務実態や職務内容に応じ、より積極的にフルタイムでの任用を図るべきと質してきました。

 総務部長は「国の事務処理マニュアルの趣旨に沿って、正規職員と同一の勤務時間が必要な場合はフルタイムの会計年度任用職員とすることを検討している。同一労働同一賃金の考え方、人材の確保などの観点から、単にパートタイムの職員を増大させるといった考えではなく、業務量や働き方の状況を踏まえ、適切に制度移行を図っていきたい」と答弁してきました。

2016年に実施した総務省調査によると、自治体で働く臨時・非常勤職員は全国で約64万人とされ、いまや自治体職員の3人に1人が臨時・非常勤職員...

フルタイム嘱託職員の77%がパートタイムに移行

 しかし、新年度では嘱託職員約1,100名の内、フルタイム職員となるのは保育士や看護師、保健師など専門職の約280名で極めて限定的であり、7時間15分のパートタイムに移行する職員は850名、割合で77%に上ります。

 嘱託職員からパートタイムに移行する職員の賃金は月給制から時給制に移行し、月ごとの勤務日の違いによって月収が変動し、しかも一般事務職以外の窓口専門員、図書館司書等の専門職の職員は年間所得も減少します。

 制度移行直前のこうした実態を踏まえ、会計年度任用職員制度の適切な運用について質しました。

フルタイム勤務への見直しを図るべきと考えるが

制度の趣旨である同一労働同一賃金・職務給の原則に照らし、適切な制度移行となっているのか。本来、フルタイムでの勤務が必要とされる職種、職場において、業務実態を踏まえパートタイム勤務からフルタイム勤務へと見直し、安定した雇用の実現に資することが必要ではないか。

本市はこれまでも職務内容や正規職員の給料額を踏まえ、保育士や看護師らが適正額となるよう必要な見直しを行ってきている。今回の制度改正でも、職務給の原則に基づき、職種ごとに業務量や責任の度合い、職員確保の観点から、民間企業・周辺自治体の同一職種や給料額について、関係所属長とのヒアリングや他職種のバランスなどを考慮した給料額を設定した。

 パートタイム勤務からフルタイム勤務への見直しについては、今後制度を運用していく中で、適時適正な勤務体系の見直しは必要であると考えている。

4月分給料の満額当月払いを工夫できないか

時給制に移行する中で、4月分の給料について、5月払いとなる現状に鑑み、4月1日から20日までの実績分を当月内に支払う救済措置が適用されると聞くが、十分な給料補償となりえるのか。みなし措置で必要満額の支払いを適用し、期末手当で調整するといった対応が取れないのか。

パートタイム職員の給料は、勤務実績に基づく翌月払いのため、制度移行毛との4月のみ給料が支給されない職員が発生する。(今回の救済措置は)給与規定上できる限りの対応を行うもので、みなし措置で必要満額の支払いを適用し、期末手当で調整するといった対応は困難。なお、希望調査の結果、対象者約850人の内131人からの申し出を受け、一人当たり10万円の支給に向け、通常の支払い事務に加え、この措置のための事務処理を進めているところである。

期末手当2.6カ月支給の早期実現を

Q期末手当は、週29時間以上勤務の職員は年間1.8カ月分支給となったが、国のマニュアルでは2.6カ月とされ、組合とも合意してきている。年間20日間の年次休暇等の労働条件を堅持することを前提としつつ、早期に2.6カ月支給を実現することが急務である。見通しを伺う。

国では初年度に年次休暇10日付与としていることに対し、本市は20日付与としていることから、激変緩和措置として当面、現行通り20日の年次休暇付与とした。期末手当は、周辺自治体等の動向を精査する必要性から初年度は1.8カ月支給とした。今後、国のマニュアルを基本としつつ、他市の状況も十分に踏まえ、年次休暇と期末手当も含めた制度全体の整理・調整を行っていく。

職員労働組合との十分な協議・連携を

Q会計年度任用職員制度の導入にあたり、職員労働組合とも協議が行われてきているところであるが、制度移行に伴うさらなる課題解決について、引き続き、職員労働組合との誠実な協議を継続し労使合意を図っていくことを求めるがいかがか。

新制度がスタートする中で、現時点で指摘している課題に加え、今後も様々な調整事項が見えてくるものと考えている。これまでと同様、職員労働組合と十分な協議・連携を行い、本市政運営の一翼を担う会計年度任用職員の適切な勤務条件の確保、労働条件の向上に向けた取り組みを進めていく。

同一労働同一賃金に近づけるという新制度本来の目的に照らし、4月からの制度移行の中で見えてくる新たな課題にも注視し、解決に向けて取り組みたいと思います。

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