台風19号災害・長野市復旧・復興方針に思うこと

長野市は災害発生から1カ月となった11月13日、「台風19号災害…長野市復旧・復興方針」を策定発表しました。

建設が進む仮設住宅、若槻団地運動広場で。14日に議会で視察

この方針は「被災された市民に、本市としての復旧に向けた当面の取り組みや復興に際しての基本的な考え方を示すため」、「『県の復旧・復興方針』を踏まえ策定するもの」とされ、中長期的な復興については、「今後の復興に向けた考え方」に基づき、今後、復興計画の策定を含め具体的に検討を進める」とします。

➡長野市の復旧・復興方針【11月13日策定】

➡長野県の復旧・復興方針【10月31日策定-11月12日1次改訂】

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気がかりな点【その1】

被災者の生活再建への支援をはじめ、産業への支援、インフラ等の地域の復旧に向けた取り組みなど、極めて簡潔に解決すべき課題がまとめられていると受け止めてはいます。いろんな具体的な支援策は「復旧・復興方針」に関連し紐づけされることになっているのでしょう。

県がまとめた「復旧・復興方針」(10月31日策定・11月12日第1次改訂)は44ページに及びますが、市の方針は4ページです。

「県の方針を踏まえ」とありますから、合わせて読み解くことが求められるのでしょうが、市の方針は課題の網羅的羅列にとどまり、被災者の皆さんの当面の生活再建課題と心情に響く内容になっているかという視点からみると物足りなさを禁じえません。(不眠不休で対応にあたっている市職員の皆さんには申し訳ありませんが…)

被災者・避難者の喫緊の心情・ニーズに寄り添い応えるには、より具体的な指針が必要ではないかということです。

例えば、当面の住まいの確保・提供で、市営住宅をはじめ民間アパートの借上げ方式、新たに建設する仮設住宅などの提供は明示されていますが、新たな仮住まいに必要な寝具や電気製品、日用生活品の提供は触れられていません。

県が発表した家電4製品の提供も、対象が住民税非課税世帯に限定されていますから、そのほかの被災世帯への提供をどうするのか、寒さが本格化する中、生活必需品の提供・支給の仕組みは待ったなしです。

例えば、私がピンポイントで入っている避難所・豊野北公民館の8世帯に対し、引っ越しが決まりつつある世帯の皆さんの「無いもの(必要なもの)一覧」を聞き取りし対応を図っているところですが、ニーズに100%応えられる状況にありません。

市段階でどこまで検討が進んでいるのか定かではありませんが(今週中にプレス発表したいとの意向があるようですが)、仮住まいに必要な物品の提供について、関係する業界・業者団体の支援やボランティアによる物資の収集・提供の仕組みが喫緊に求められます。

気がかりな点【その2】

もう一点、気がかりな点があります。

「ボランティアによる支援、連携」の視点が希薄ではないかということです。

市の方針では「基本的な考え方」の項で、「ボランティアをはじめ多くの皆様のご協力を得て、最善・最速での復旧に努めます」と記されているものの、被災者への具体的な支援課題の中に「ボランティアとの連携」が打ち出されていないことです。市にしてみれば「言わずもがな」のことなのかもしれません。

災害ごみの処理では、官民一体の「One Nagano(ワン・ナガノ)」の取り組みが記載されていますが、日常的な生活再建への支援に関しは、ボランティアとの連携が具体的に打ち出されていないことです。

仮住まいの中で日常生活を取り戻していくためにも、引っ越しに始まり生活必需品の確保など、継続的なボランティアの支援は欠かせません。

様々なボランティア団体で構成され、県が取りまとめている「長野県災害時支援ネットワーク情報共有会議」では、「長野市の中で横(各担当課)の連携がない」「情報共有会議に長野市も参加してもらいたい」「市職員がボランティアに対し上から目線」といった声が寄せられているとのことです。

被災者のみならずボランティアの皆さんの声にも真摯に耳を傾け、民間・NPO・市民と固く連携した「オール・ナガノ」、「オール・ジャパン」の復旧・復興にしていきたいものです。

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