がん検診の受診料見直し、工夫の跡は見えるのだが…

 節分が終わり、暦の上では立春を迎えましたが、厳しい寒さが続きます。県北部での豪雪による雪崩災害が心配されます。

 さて、2月3日の合同会派総会(市側からの報告・説明)で、「がん検診等の利用者負担の見直し」の方向性が示されました。

 内容は、従来のがん検診にかかる総コストに対する負担割合で算出した受診料の考えに対し、①「人件費等は本来税金で負担すべきものである」、②「診療報酬を参考に設定している医療機関に対する検診委託料に負担割合25%を乗じた額とする」、「H24年度から実施する」と見直し、まとめられたもので、関係医師会と合意したとのことです。

 具体的には、胃がん検診(35歳以上を対象。集団、問診+胃部エックス線撮影)が自己負担900円から1000円に。子宮がん検診(20歳以上の女性対象)は《個別・頸部検診》が1200円から1700円、《個別・頸部+体部検診》かぜ2000円から2500円にアップします。子宮がん検診の場合、負担増が大きいため、2段階に分けて(H24年度は300円アップ、3年後に200円から300円アップ)実施するというものです。

 一方、乳がん検診では、《個別で問診+視触診+超音波》が1500円から1200円に、《集団で問診+マンモ検査》が2000円から1600円に、それぞれ300円から400円の負担減となります。また前立腺がん検診は2000円から1600円に減額されます。
また、肺がん・結核検診(40歳以上)の内、集団検診(胸部X線撮影)は現行通り無料、大腸がん検診(現行420円)や歯周疾患検診(現行500円)は現状据え置きとなります。

市側から示された「がん検診等の受診料見直し]の一覧表


 利用者負担分を「検診委託料の25%」としたことから、基本的に負担が軽減されるものの、胃がんと子宮がんの検診では負担増になるというもので、約400万円、市の負担額が減少すると試算されています。

 この問題については、兼ねてから一般質問のテーマにし、「がん検診の受診率向上を最優先させ、受診料の値上げは凍結すべき」と主張してきた問題です。
当初、H23年4月から受診料値上げを計画していましたが、長野市保健所運営協議会での検討・協議で関係医師会から「負担増に伴う受診率の低下が懸念される」との指摘を受け、これを見送り、昨秋来、再検討してきた結果です。

 言うまでもなく、「がん」は日本人の死因の第1位、3人に1人が「がん」が原因で亡くなっています。早期発見と予防に「がん検診」が果たす役割は大変大きなものがあります。受診料が値下げになる部分は歓迎しますが、胃がんや子宮がんの検診受診料の値上げはいただけません。180万円の経費がかかっている肺がんの精密検査については、公費負担を廃止し保険診療とすることはやむを得ないと思います。それを差し引けば、市の負担額は220万円の減に止まります。受診率の現状を考慮し、受診率向上の動向を見極めて見直しするという発想が問われていると思います。市民の健康を第一とする市政の基本が問われる問題でしょう。

 では、受診率をどのようにして向上させるか。行政側も頭を悩ませている課題です。医療機関にポースターを掲示して受診啓発するとの案があるようです。できることは即実施すべきです。「市民の健康第一」を考えれば、個別に通知し受診を促進するという方法を試行してみてはどうだろうか。子宮頸がんや乳がんでは無料クーポン券が個別に配布されているものの、受診率が大きく向上していない現状を考えると、効果の程は予測できないのだが、試行して効果を見極め判断する取り組みが必要ではないかと考えます。

 市民サービス・利用料の見直しにあたり、がん検診の受診料については、総コストから市役所の人件費等を除き算出することになった点は注目です。
 
 納税者の視点から考えれば、市役所の人件費は税金で賄われているわけですから、人件費分も含めて利用者負担に転嫁することは二重負担を強いることにつながります。財政構造改革プログラムの一環として進められている「利用料・使用料の見直し」を検証・再考する糸口にしたいものです。

 また、この日には、「(行政)組織・機構の見直し」「長野市エムウェーブ次世代エネルギーパークの整備について」などが報告されました。
 
 約3億円と見込まれる次世代エネルギーパーク整備は、「ポスト震災時代のエネルギーのすがた」とされるメインテーマに始まり(震災時代という時代認識が理解できない!原発事故による放射能時代というならば一つの時代認識だと思いますが…)、何故エムウェーブで整備なのか、冬季ナガノ五輪の記念展示コーナーをどのように活かすか、観光資源と環境教育施設の連携の効果をどのように見極めるのか、多くの疑問が指摘されました。サッカースタジアムの整備と合わせ、3月議会の焦点の一つになります。追々、問題点を整理したいと思います。

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