公共施設マネジメント【豊中市編】…特別委の視察より➌

 特別委員会の視察3日目、21日に訪問した大阪府豊中市の報告です。

豊中市

 大阪府の北西部に位置し、大阪市・吹田市・尼崎市東都隣接する中核市。千里ニュータウンをはじめ大阪都心近郊の住宅都市として発展。
 人口389,341人、面積36.39㎢、人口密度10,868人/㎢。

 豊中市の視察テーマは、「複合化・多機能化・戦略的配置についての方針」、市有施設有効活用計画、複合施設として整備された千里文化センターの機能と特徴など。
 豊中市もいち早く公共施設マネジメントに取り組んでいる自治体である。

 資産活用部施設活用課、千里ニュータウン再生推進課、千里文化センター「コラボ」施設長の皆さんから説明をいただく。
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豊中市の公共施設マネジメントの推進セクションと体制

 ➊庁内会議として、市長をトップとする「市有施設有効活用本部」が統括本部。そのもとに施設所管課長で構成する「市有施設有効活用推進会議」が置かれている。諮問機関として「市有施設有効活用委員会」(審議会)を置く。事務局は資産活用部施設活用課。

 ➋資産活用部のもとで、市有財産(市が保有する土地、建物、その他の資産)を市民の共有財産であると同時に市政運営の貴重な資源ととらえ、「資産の価値の維持向上」「資産の活用による利便性、収益の最大化」「資産の質および量の最適化」「資産管理にかかる負担の公平性の実現」の4つの観点から、市民満足度、持続可能な行財政運営に資するとする。

 ➌資産活用部は、資産管理課(総務・管財)、施設活用課(企画・調整)、土地活用課(市有地の活用・地籍調査等)、施設整備課(学校や市営住宅を含む市有施設の維持・改修にかかる設計・施行)の4つの課を置く。市有施設・市有地を横断的に束ねて、企画・調整・管理・工事を行うもので、縦割りから横割りに移行させている。

 ➍公共施設マネジメントの取り組みとしては、H22年度から「市有施設有効活用指針」を策定し、H23年度に資産活用部施設活用推進室・ファシリティマネジメントチームを立ち上げ、「市有施設有効活用計画」を策定。
H27年度からは資産活用部施設活用課に格上げし、具体的取り組みが推進されている。「公共施設等総合管理計画」はH28年度に策定予定。

 建物を含め資産と位置づけ、資産を活用するといった発想の中に公共施設マネジメントが位置付けられている。焼津市の「資産管理から資産経営へ」と同様の発想である。

市有施設有効活用計画(H23年7月策定)

 市有施設有効活用システム(統合型データベース)を活用した施設カルテにより市有施設(約500)の現状を把握し、課題のある施設を「特定施設」として選定、個々の特定施設について「有効活用アクションプラン」を策定し、事業化を図る基本的な方針を定めた計画。

 ➡「豊中市市有施設有効活用計画」
 ➡「豊中市市有施設有効活用計画」改訂版

 公共施設白書と公共施設マネジメント指針に相当する計画の位置づけである。

 有効活用の方向性では、「施設分野別」の方向性だけでなく、「地域別」の方向性を検討する基本を打ち出している。施設の適正な規模や配置、統廃合を検討するとし、統廃合や建て替えに当たっては、地域のシンボル的な役割と新たな市民との協働の場となる「複合化」施設を前提に進めるとする。

 具体はこれからのようであるが、後述する千里文化センター「コラボ」を先駆的な取り組みと位置づける。

 豊中市は、大きく3地区に分けられ、公共交通の便も良いことから、地域別方向性を確立しやすいとも思われるが、地域別の施設再編方針は必須である。そのカギは複合化・多機能化ということになるのであろう。

複合化・多機能化・戦略的配置についての方針(H24年12月策定)

 「市有施設有効活用計画」のより詳細な施設再編の考え方をまとめた方針である。
 ➡「複合化・多機能化・戦略的配置についての方針」

 「市有施設の単純な廃止などでは、施設を利用する市民の利便性に十分配慮しながら、また地域の拠点づくりの観点から、全市的な施設配置において、その施設が地域において果たす役割などを俯瞰的に見て評価を行い、総合計画基本構想を実現するという視点から、市のまちづくりの方向性に沿った形で戦略的に方向付けを行うべきである」とされ、「戦略的配置」「複合化・多機能化」について基本的な考え方・進め方をまとめたものである。
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 施設の集約化、複合化、多機能化を考える際の視点・ポイントがまとめられたもので、「相乗効果の創出」をはじめ、「地域特性の検討」や「運営のルールづくり」などの視点も整理され、なかなか参考になるものである。

千里文化センター「コラボ」

 千里ニュータウンの中心に位置する公共施設で、千里中央地区再整備事業の一環として建設整備されたもので、旧千里文化センター(公民館・図書館・老人福祉センター)と近隣にあった市役所出張所と保健センターを一体化した複合施設である。
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 地上1階部分はバスパースで、施設整備費は再整備事業の中で利用しない容積率を他の民間施設に売却することで、市の負担なく建て替えができた施設である。

市民実行委員会が運営する多目的スペース内のカフェ

市民実行委員会が運営する多目的スペース内のカフェ

 この施設の特徴は、複合化はもとよりであるが、施設整備の構想段階から、現在の運営に至るまで、行政と市民が参画した組織において協働が図られている点である。

 構想段階においては、屋上庭園の整備やセンター長の設置などが市民意見として具体化し、現在では、市民運営会議及び市民実行委員会が、多目的スペース「コラボ広場」の運営、屋上庭園の活用などの事業を担うとともに、事業評価も独自に行っている。

 公募市民による構想段階からの施設整備の検討という手法と市民との協働の理念の具現化は学びたいところである。
 ➡市民実行委員会のブログページ

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屋上庭園では、市民ボランティアの皆さんが植栽の手入れ中でした 屋上庭園では、市民ボランティアの皆さんが植栽の手入れ中でした

視察全体から長野市に活かしたい点

 改めて総括的にまとめたいと思います。