地方独法化…長野市民病院評価委員会と初の意見交換

 3月市議会において、長野市民病院を地方独立行政法人化するにあたり、「定款」や、市民病院が提供する医療サービスや経営状況を評価する「地方独立行政法人長野市民病院評価委員会」の設置を議決しました。

強まる議会の責任

 地方独立行政法人化によって病院経営の自由度が高まることから、権限が強まる病院理事長の独断専行を監視するために議会の関与をいかに強めるかが焦点となりました。
 最終的に、評価委員会と市議会の福祉環境委員会の意見交換を行い、議会側の意見を斟酌することを「評価委員会運営要綱」に盛り込むことになりました。
 私自身は、意見交換と議会意見の反映について「条例に書き込む」ことを求めてきましたが、執行部側の諮問機関の設置条例に議会関与を盛り込むことはなじまないとされました。この点はやむを得ないと思いますが、「議会意見の斟酌」が書き込まれたことから、ベターな方法に納まったと考えています。

【関連】150510長野市民病院の地方独立行政法人化を考える[その1]
 [その2…そもそも地方独法化とは?]をまとめていません。お許しを。

 14日、評価委員会(小池健一委員長:信州大学副学長/小児科医)が案としてまとめた「中期目標」について、市議会福祉環境委員会との初めての意見交換会が開かれました。1時間という限定でしたが、初めてとしては”まずまず”だったと思います。

 「中期目標」とは、地方独立行政法人法に基づき、『目標による管理と評価の仕組み(PDCAサイクル)』による業務運営体制が義務付けられていることから策定されるもので、『地方独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標』のことをいいます。
 長野市が設置した評価委員会の意見を聴くとともに議会の議決を経て市長が法人に指示することになっています。法人側は『中期目標』を踏まえ『中期計画』、『年度実施計画』を策定します。
 現在、パブリックコメントの募集中です。

【参考】長野市ホームページ「地方独立行政法人 長野市民病院 中期目標(案) への市民意見の募集(パブリック・コメント)について」
    中期目標(案)がアップされています。

国の医療政策への対応・病病連携・指標の設定など要望

 意見交換で私は、これまで公立病院として市民病院が果たしてきた役割を基本的に継承する「中期目標(案)」を”是”としつつ、3点について評価委員会での検討の議論状況を質すとともに、今後の善処方を要望しました。
 
 一つは、国の医療政策の見直しへの対応についてです。中期目標はH28年4月からの3ヶ年計画で策定されていますが、この間に国の医療政策、医療制度改革が大きく変化します。県においても新しい地域医療ビジョンを策定することになり、長野保健医療圏における病床数の見直しが進められることになります。これまで、市民病院は「医療制度改革にスピーディに対応する」としてきているが、中期目標においても、国の制度改革(改悪?)に患者視点で的確に対応し、公立病院としての役割を全うする基本的な方向性は示すべきではないかということです。

 二つは、病病連携、役割分担についてです。市民病院は「高度急性期医療において生き残りをかける」としてきていますが、長野医療圏・北信医療圏において、日赤や厚生連などの公的病院、あるいは民間総合病院を含め、連携と役割分担が重要となります。急性期のみならず、回復期・慢性期の医療における市民病院の役割について、どんな検討がされたのか、という点です。
 専門性を競い合い、患者獲得競争に陥ってはなりません。

 三つは、指標の設定です。中期目標には数値目標が設定されていません。最初の中期目標において、応えるべき医療ニーズ、健全経営の視点から、入院数、外来患者数、経営収支改善など数値的な指標を設定することが重要であると考えていますが、指標の設定についていかなる検討がされたのか、という点です。

「今後検討」…ソツの無い答弁?

 1点目については、国の医療政策が大きく変わりつつある現況にあることを認識しているが、県がH28年度に策定する地域医療ビジョンを見据えることも必要なため、「次期の中期目標に盛り込む」とする一方、委員の一人である小口壽夫・諏訪赤十字病院名誉院長は、「最初の中期目標に問題意識として盛り込む必要があると考える」と答弁。評価委員会における検討の深まりを期待したいと思います。

 2点目については、「医療提供体制整備」の中の「地域医療機関等との機能分担と連携強化」に相当する課題であるとし、「今後、検討することになる」と述べるにとどまりました。
 病・病競争を抑制し、市民が必要とする医療サービスが適正・適切に提供される役割分担は避けて通れない課題です。長野日赤病院が全面改築を構想している中にあって、これからの最大の課題といっても過言ではありません。

 3点目は、評価委員長は「検討していない」とし、「今後、中期目標に沿って病院=法人側が策定する『中期計画』に盛り込まれることになるだろう」と述べました。委員の畠山悦子・県看護協会理事は、「事業計画において自ずと数値的目標は設定されることになる」と補強されました。
 『中期目標』は病院設置者である市が策定する目標です。病院側が策定する『中期計画』と一体のものになると考えられるとはいえ、市側が目標管理する訳ですから、「指標」は必要だと考えます。

患者視点での掘り下げを求めたい

 意見交換では事務方が応える場面が多く、評価委員会の専門家の皆さんの”生”の発言が少なかった点が気がかりな点です。

 行政側が段取りし追認する諮問機関に陥らないよう、評価委員の皆さんの専門的知見が患者視点でしっかりと活かされる検討審議が望まれるところです。
 議会意見の「斟酌」のほどを見極めたいと思います。
 「中期目標」は議会の議決案件となります。医療サービスの充実は市民の強い願いです。議会としての責任を果たせるよう、しっかりと調査研究し、今後に臨みたいと思います。

 まずは、初めての評価委員会との意見交換会の感想でした。