アレルギー対応食、学校給食でH29年度から順次提供へ

 長野市教育委員会・保健給食課は、学校給食センターにおける食物アレルギー対応食の提供をH29年度から順次開始する方針を7日の会派説明で示しました。
 文部科学省が3月にまとめた「学校給食における食物アレルギー対応指針」に基づく対応です。
 取り組み方針は基本的に評価しますが、課題も残ります。説明資料・抜粋を掲載しました。(5月12日補強)

新設・第四給食センター、改修・第二給食センターから先行実施

 学校給食センターの再整備に伴い、アレルギー対応食専用調理室の整備が完了した施設から、運営体制を構築したうえで順次開始していくというもの。
 新設される(仮称)第四学校給食センター及び専用調理室を新設する第二学校給食センターではH29年度から、解体・新設する第一学校給食センターはH31年度から実施する計画です。
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「除去食」を基本に

 対応食は、アレルギー食材を取り除く「除去食」を基本にしたいとする一方で、対象品目は安全性を最優先し、使用頻度や対象者数を考慮して決定するとし、完全対応が可能か否かはまだ不透明な段階といえそうです。
 市は当初、第四学校給食センターにアレルギー対応の専用調理室を整備し、「代替食」によるアレルギー対応食の提供を開始したいとしていました。
 今後、長野県が作成する「市町村の手引き」を参考に、「代替食」の可否についても検討するとしています。
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1,684人…増加する食物アレルギー保有の児童生徒

 食物アレルギーを持つ児童・生徒は年々増加し、H26年度調査で1,684人、全児童・生徒数30,668人の5.49%を占めます。
 生命の危険を伴う重症なアレルギー症状であるアナフィラキシーと診断され、「エビペン」という医薬品を常時保持している児童数は、現在把握しているもので40人だそうです。

 食物アレルギーを持つ児童・生徒への対応の現状は、事前に献立の配合材料票を配布し、アレルギー食材がある場合に、➊弁当持参、➋喫食できないものの代わりを一部弁当で持参、➌喫食できないものを各自または担任が除去する3つの対応をしているとのことです。
 基本的に保護者・家庭の判断に委ねられているのが現状です。

文科省の指針が転換点

 学校給食におけるアレルギー対応食の提供は、私自身もこれまでも求めてきた課題ですが、市は現在の給食センターの施設が老朽化し狭隘であるため、通常食と完全分離した専用調理室が用意できず「困難」としてきました。
 第四学校給食センターの整備にあたり、専用調理室を設けアレルギー対応食の提供を部分的に開始する考えを示してきていましたが、すべての給食センターで実施していく方針に転換した理由は、文科省の指針の提示が大きいようです。

 今後、H27年度に「食物アレルギー対応研究会」を設置しも食物アレルギー対応指針を策定、実施要項やマニュアル等を整備するとともに栄養士等の研修をすすめ、H28年度では、保護者への説明、提供希望者の個別プランを作成したうえで、H29年度実施を予定しています。

思いつく課題として…

 国の指針では、安全性を最優先し食物アレルギー保有する児童生徒にも給食を提供すること、原因食物の完全除去対応すること等を大原則とするとともに、医師の診断による「学校生活管理指導表」の提出を必須としています。

 7日の説明では、今年度に設置する「食物アレルギー対応研究会」の構成で医師(医師会から)や保護者(市PTA連合会)をオブザーバーとしている点について、家庭、医師、学校、給食センターの緊密な連携が求められ、専門性が必要であることを考えると、医師・保護者を必須メンバーとして構成すべきではないのか、再検討することを求めました。
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 食物アレルギー対応食の提供が進むことは大歓迎すべきことです。

 ただ、一方で、食物アレルギーを持つすべての児童生徒への提供に2年間の差異が生じてしまうこと、すなわち、必要な施設整備が間に合わないとはいえ、給食センターの管轄学校ごとに均等なサービス提供とならないことは不公平感が否めないのではないでしょうか。
 H29年度に新設・改修される第四と第二の給食センターで、必要なすべての児童生徒に対応できないものか、考えたいと思います。

全ての児童生徒に給食の楽しみを提供…食育の推進へ

 学校給食は、必要な栄養を摂取する手段であるばかりでなく、児童生徒が「食の大切さ」「食事の楽しさ」を理解する「食育」の役割も担っています。その意味で、食物アレルギーを持つ児童生徒が他の児童生徒と同じように給食を楽しめる環境をつくることは重要です。

 一方でH24年12月には、調布市の小学校で、食物アレルギーを有する児童が、アナフィラキシーショックにより亡くなるという悲しい事故も起きています。
 対応食の提供にあたり、給食センターや学校において整えるべき体制の課題は大きいものがあります。

 1万食を超える大規模な学校給食センター方式より、自校給食方式の方がメリットがあると考えている一人ではありますが、それはそれとして、アレルギー対応食の提供の施策展開を考えたいと思います。
 今後、学校や家庭における現状での課題をもっと詳細に把握し、県が示す市町村の手引き、市が策定する対応指針等についてチェックしていきたいと思います。

 *下図は新設される第四学校給食センター調理上の平面図。小学校と中学校の調理コースを分離するとともに、アレルギー対応の専用調理室が中央に整備されます。
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