3月定例会の質問より➎…「不安定雇用を助長する市役所非常勤職員のパート化を質す」

 3月市議会定例会で行った質問より、最後の報告となります。だいぶ間が開いてしまいました。お許しを。

事務補助従事の嘱託・臨時職員をすべて一日あたり5時間45分間のパート勤務に

 昨年末、市の総務部長名で「非常勤職員の任用見直しについて」という通知が役所内の所属長宛に発せられました。
 「任用見直し通知」は、「効率的な行政運営、コスト縮減、適正な人事管理」を目的とするもので、「今後、事務補助に従事する非常勤職員の勤務形態を原則としてパート勤務、一日当たり5時間45分勤務に切り替える」というもので、事務 補助に従事する嘱託職員は今後3年間で、臨時職員は原則H27年度からパート勤務に変更し、今後2年間ですべてをパート勤務に切り替えるというものです。
 既に嘱託職員1,206人のうち、事務補助に従事する職員285人を対象に任用の見直しが進められ、新年度では38人がパート化に応諾し、今後5年間で157人を対象に切り替えを予定するとしています。

嘱託職員は年間70万円もの賃金引き下げ、社会保険も未加入に

 「パートでは続けられない」と3月末をもって退職せざるを得ない嘱託職員が既に出ています。子育て世代の職員にとっては死活問題となります。
 非常勤職員のパート化で雇用は極めて不安定なものになり、同一労働・同一賃金、均等待遇の原則に反し正規職員との格差を拡大するものとなります。
 総務部長通知によれば、社会保険が未加入となり、年間賃金は、月給制の嘱託職員では、名目賃金で181万4,400円から、112万1,956円と約70万円もの賃金引き下げとなります。手取りにおいても、174万8,059円から135万6,149円と約40万円近い引き下げとなります。

民間職場では許されない「不利益行為の強要」…任用制度の壁

 こうした一方的で大幅な賃金切り下げ、労働時間の短縮は、労働者に対する不利益行為の強要にあたり、民間の労使関係、雇用契約では許されないことです。
 「賃金カットの許容範囲は現給の10%以内」、これは判例で確立されているものです。民間における労働雇用契約の法理に反するもので、市役所という「公」が行うべきものではないといわなければなりません。

ダメもとで、任用から雇用契約への転換を促す

 ワーキングプアーを構造的に作り出し固定化させることを極めて憂慮します。
 「公務職場は任用制度だから、何でもあり」みたいな姿勢と手法は抜本的に改められなければなりません。
 地方公務員法の壁があることを承知しつつ、非常勤職員について任用から雇用契約に転換させ、職員の雇用安定を図ることを提唱、促しました。

 市側は、「非常勤職員の一部パート化は、賃金の切り下げを目的としたものではなく、効率的な行政運営、適正な人員配置を図るため」としたうえで、「地方公共団体の非常勤職員の任用は、地方公務員法に基づくものに限定されている。現行法制度のもとでは、民間の労働雇用契約によることはできない」とし、「任用にあたっては、労働基準法など関係法令の規定や総務省の『非常勤職員の任用等に関する通知』の趣旨を踏まえ適切に対応する」としました。

任用とは?
任用とは、任命権者が特定の人を特定の職につけることである。職員の任用は、地方公務員法の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基いて行わなければならない。職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。つまり、市長が「あなたの仕事はこれ」といって職務を任命する制度で、非常勤職員にも適用去される。地方公務員は労働契約法の適用除外とされている。

経過措置を周知し、本人に不利益にならないことを強く指摘

 総務部長通知は、2年から3年で全ての非常勤職員をパート化する原則を示しながらも、最長で10年間の経過措置を置いています。
 しかし、こうした経過措置が、現場では十分に周知されず、極めて乱暴で一方的な対応、あるいは間違った対応がなされていることを指摘し、➊本人同意確認の徹底と不同意の場合の雇用継続、➋パート化する職種の明確化、➌社会保険の加入などの3点について改善方を強く求めました。
 答弁のポイントを報告します。

「経過措置による雇用継続、適切に対応」

 賃金切り下げ・労働条件の変更は本人同意が不可欠です。通知を根拠に本人同意をないがしろにし、当事者が辞めざるを得ない状況に追い込まれるケースがあるとすれば、それは退職強要にあたる違法行為となってしまいます。本人が不同意の場合は、生活がかかっている問題ですから、経過措置に照らして、嘱託職員として身分を保証し雇用継続を図ることを求めました。

 総務部長は「今回のパート勤務の拡大は、再度の任用期間が終了し、新たな職員を雇用する業務から切り替えを進めるもの。任用継続の終期を迎えていない場合は、雇用を継続しつつ、今後3年程度の期間をかけて相談しながら切り替えを進める。職員の家庭状況等がそれぞれ異なることから、本人に十分説明し、職員の状況等も聞いた上でも雇用継続等について適切に対応する」と答弁しました。

「調理業務や相談業務など専門的業務は対象外」

 今回の総務部長通知によって、例えば学校給食センターの調理業務にあたる嘱託職員に対し、「調理業務は誰でもできる仕事。新年度は雇用継続するが、H28年度以降は雇用継続を保障するものではない」と間違った対応がなされ、深刻な雇用不安を広げました。
 パート化する職種が事務補助であることを明確にし、職員の間に雇用不安と混乱を広げないことが重要です。今回の対応は事務補助職員を対象にするものとされながら、専門的な業務にあたる職員に対しても、雇用打ち切りを示唆するような対応がなされています。専門的業務にあたる職種をすべて列記し、間違った対応が生まれないよう徹底を図ることを要請しました。

 市は「今回の見直しは、文書搬送など一般的な事務処理業務や支所等の窓口受付業務を対象とするもの。通知においても、特定の資格を有する職務や施設管理業務など、業務の性質上、通年フルタイムで勤務することが適当なものは除いている。調理業務や福祉関係の相談業務などの専門的業務は、対象としていない」と答弁。
 また、誤解を招く対応があったとの指摘に対しては、「対象とした業務を明確にし、誤解の生じないよう徹底を図る」と明言しました。

「社会保険加入は、職員の意向を踏まえ柔軟に対応する」

 社会保険の加入について、社会保険加入の事業主負担を免れるよう勤務時間が設定されているのではないか。すなわち週40時間の4分の3、30時間を超えないように制度設計されているのではないかとの疑念が残ります。安定した雇用を保証する観点から、労働条件の同意にあたり、社会保険の加入をはじめ、当事者の意向を尊重し、柔軟で適正な対応を図ることを求めました。

 これに対しては、「事業主負担を免れるためではない」とした上で、「社会保険加入については、職員の意向も踏まえ柔軟に対応する」としました。
なお、健康保険法の一部改正により、「H28年10月から、週20時間以上勤務する短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大」が予定されていることから、「パート勤務も加入対象となるため、適切に運用する」と答弁しました。

所属長の適正な対応を監視

 今回の見直しでは、支所等の窓口業務にあたる非常勤職員の間にも雇用不安が広がりました。
 「ユニオン」的な労働組合を結成できないものか、市職労とも相談しましたが、なかなか労働組合が非常勤職員の皆さんの” 駆け込み寺”にならず、実現には至っていません。

 本来であれば、非常勤職員の正規職員化を求める立場に私は立っています。しかし、原則的な対応よりも、非常勤職員の雇用が常態化している実態を踏まえ、より不安定になる非常勤職員の労働環境の改善、雇用の継続を重視し、「経過措置に照らした雇用継続の徹底」に質問の重きを置きました。

 今後も、「事務補助」という仕事の概念や適用について厳格に処するとともに、非常勤職員の不利益とならないよう、監視を続けていきたいと思います。