集団的自衛権行使の安保法制推進に反対討論

 3月定例会には、集団的自衛権の行使容認をめぐり、2つの請願が提出されていました。

 一つは、長野地区憲法擁護連合が提出した「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を撤回し、関連法律の制定を行わないことを求める請願」。
 二つは「アジアと日本の平和と安全を守る長野県東北信フォーラム」なる団体から提出された「国の存立を全うし国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備についてとの閣議決定とそれに基づく法制化を支持する請願」です。二つ目の団体は日本会議系の団体と思われますが不明です。統一教会系という情報もありますが確かではありません。

 いずれにせよ、集団的自衛権を行使する安保法制に反対するか、安保法制を支持し推進するか、二つに一つが問われたわけです。付託された総務委員会では、安保法制に反対する請願を賛成少数で不採択すべきとし、安保法制を推進する請願を賛成多数で採択すべきと決しました。

 本会議には、閣議決定に基づく安保法制推進の意見書が本会議に議案として提案され、新友会・公明党が賛成、市民ネット・共産党・改革ながの・無所属議員が反対しました。

 市民世論そっちのけの数の暴力です。

 私は、長野地区憲法擁護連合が提出した請願を不採択すべきとした総務委員会委員長報告に反対討論し、合わせて、安保法制推進の請願に反対する意見を主張しました。

 33番、市民ネット、布目裕喜雄です。

 請願第1号「集団的自衛権行使を容認する閣議決定を撤回し、関連法律の制定を行わないことを求める請願」を不採択とすべきとした総務委員会委員長報告に反対の立場で討論します。

 総務委員会は、かかる「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を撤回し安保法制の制定に反対する請願」を不採択とするばかりか、「アジアと日本の平和と安全を守る長野県東北信フォーラム」なる団体から提出された請願第2号「国の存立を全うし国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備についてとの閣議決定とそれに基づく法制化を支持する請願」を賛成多数で採択すべきものとしました。

 かかる委員会の審査と姿勢は、閣議決定そのものの危うさに対する市民世論、市民感情と余りにもかい離し、市民の平和への希求に背を向けるものであることを深く自覚すべきでしょう。

 自民・公明両党は3月20日、安全保障法制に関する与党協議会で、大筋で法整備の方向性に正式合意しました。これを受けて、政府は具体的な法案作成に着手し、5月連休明けには国会に関連法制の「改正」案を提出する予定とされています。

 我が国の平和主義の根本に係わる重大な問題が、国民不在のまま与党間の不透明な検討作業によって進められることは、極めて遺憾であり、憂慮に堪えないと言わなければなりません。

 そもそも集団的自衛権の行使容認の閣議決定は、立憲主義を否定し平和憲法の原則を踏みにじるもので、市民の多くが強く抗議し、撤回を求めてきたところです。

 委員会審査では「閣議決定は集団的自衛権を行使するものではない」との意見が出されています。
 であるならば、何故に法曹界・文化人をはじめ多くの国民から反対の声が上がり、県内の自治体議会において反対の意見書が可決され国に送付されているのでしょうか。

 閣議決定における武力行使の新3要件は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、この事態により、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」武力行使を行うと定めたものです。
 いわゆる「存立危険事態」といった新しい理屈、曖昧な装いで、憲法が禁ずる集団的自衛権の行使を正当化しようとするものに他ならないのです。

 この不当な閣議決定を踏まえた安保法制の整備自体が、憲法上の疑義をはらむ大問題であると指摘しなければなりません。

 与党合意は、➀武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」への対処 、➁日本周辺にとどまらず地理的な制約をなくし米軍などへの後方支援を可能とする周辺事態法 「改正」、➂海外で戦争する米軍や多国籍軍を自衛隊が後方支援できるようにする海外派遣の「恒久法」制定、国連平和維持活動(PKO)以外でも自衛隊の海外派遣を可能にするPKO協力法「改正」、➃集団的自衛権を行使できるようにする武力攻撃事態法などの「改正」、➄邦人救出や船舶検査など自衛隊法などの「改正」 という 5分野で法整備の方向性を示したものです。

 日本の安全保障法制は、戦後、日本国憲法の9条や平和的生存権の規定により、自国への武力攻撃があった場合のみ自衛隊が武力行使できるという「専守防衛」を基本にしてきました。
 しかし、安倍首相が掲げる「積極的平和主義」の名のもと、他国への武力攻撃であっても、日本に重大な影響がある、国の存立を危うくすると、時の政府が判断すれば、自衛隊が武力行使できるという戦争・武力による安全保障政策を打ち出すものとなっています。

 従来の政府の防衛政策を根底から転換するものであり、海外で武力行使、戦争をする国となってしまうことに他なりません。また、戦争放棄、国の交戦権の否定を掲げる憲法9条を死文化させるものであり、断じて容認することはできません。

 また、周辺事態法から「周辺」の規定を削り取り、平時においても自衛隊が米軍や他国軍とともに 地球規模で活動できるようにする方向が打ち出されました。
 さらに、戦争をしている他国軍の「後方支援」 のために自衛隊をいつでも派遣できる「恒久法」の制定をめざすなど、海外での自衛隊の活動地域の拡大、武力行使と一体化が避けられない「後方支援」活動の拡大など、自衛隊の海外での活動を際限なく押し広げようとするものです。

 安倍総理は、「切れ目のない」安全保障法制が必要と強調しますが、平時の治安維持と武力行使との間には明確な「切れ目」を設けて、憲法に照らし慎重に判断することこそが求められているのです。
 自衛隊が武力で対応するのは最後の手段としてきたのが平和憲法の大原則であり、「切れ目」なしに軍事力行使が行なわれ、「歯止め無く」武力が行使されることには到底与することはできません。

 もし関連法案が国会を通れば、戦後の安全保障・防衛政策を根本から覆すこととなり、自衛隊が海外で戦争ができるように本格的な「軍隊」として再編成されていくことにつながります。

 折しも、今年は戦後70年。 曲がりなりにも戦争をしないで、巻き込まれないで日本は平和を維持してきました。与党が合意した安全保障法制の改悪案が成立すれば、もはや戦後ではなく「戦前」と呼ばれる時代に突入することとなってしまうのです。

 平和国家であり続ける道こそが、日本国民の世界に対する責任であり、未来への希望なのです。

 平和国家の根本にかかわる問題を、数に頼んで一会期の国会の拙速な議論で行なおうとすること、そのものが暴挙であり、長野市議会が求めた「慎重審議」とは相反する営みが国会において行われているといわなければなりません。

 長野市議会が、こうしたことに深く思いを寄せ、平和を願う市民の声に真剣に真摯に耳を傾け、今一度立ち止まり、良識と良心を発揮されることを強く願い、反対討論とします。