9月定例会始まる…物価高対策で18歳までの子どもに1万円給付

先週9月1日、市議会9月定例会が始まりました。28日までの会期で、7日から一般質問となります。この議会は本会議質問には立ちません。

初日、市側からは36億4,700万円余の一般会計補正予算案や条例改定案などの議案22件、R3年度一般会計・特別会計・企業会計等の認定議案2件、報告案件10件が提出されました。

補正予算案のポイント

36億円超の9月補正予算は原油価格・物価高騰対策に約12億円新型コロナ対策に4回目のワクチン接種経費など約11億円5月来の大雨災害の復旧費などに約11億円を盛り込むものです。地方創生臨時交付金を約10億円投入します。約30億円交付されている地方創生臨時交付金はほぼ消化することになります。

原油価格・物価高騰対策に約12億円

➊物価高対策で子ども一人当たり1万円を給付

ながの子育て世帯臨時特別給付金として6億300万円。

18歳以下の子ども58,499人(35,500世帯)を対象に、子ども一人当たり1万円を給付。所得制限はありません。10月の児童手当受給者(0歳から中学生)は申請不要、高校生は申請により随時給付となります。新生児は12月31日生まれまでを対象とするとのこと。地方創生臨時交付金を1/2、一般財源1/2を充当します。市独自の取り組みです。

➋市民税非課税世帯に光熱費5,000円を助成

2億7,750万円(臨時交付金を充当)

冬季暖房費への支援策。市民税非課税世帯等を対象に1世帯当たり5,000円を助成。受付は11月下旬からR5年2月28日まで。

➌学校給食の食材費高騰分を市が補填

地方創生臨時交付金を活用して6,400万円を盛り込みます。

食材の価格高騰分を市が負担し、栄養バランス、質・量を保った給食を提供しようとするもの。食材費は1食あたり12円値上がりしているとして、その分を補填するものです。

➍電気自動車(EV)充電器を4カ所に追加設置

この事業も、地方創生臨時交付金から2,940万円充当します。

原油価格の高騰を克服するため、観光地等の市有施設にEV用充電器を設置。戸隠キャンプ場・松代荘・真田宝物館・道の駅鬼無里の4ヵ所。戸隠キャンプ場・松代荘は普通充電器、真田宝物館・道の駅鬼無里は急速充電器になるとのこと。

長野市ではこれまでに緑町立体駐車場(普通充電器2台)と道の駅中条(急速充電器1台)に設置しています。株式会社 e-Mobility Power が発行している「充電認証カード」= e-Mobility Power カード(旧NCSカード)を使用することになります。

➎キノコ施設栽培の燃料や果樹・防霜ファン設置を支援…1,550万円(臨時交付金)

新型コロナ対策に約11億円

➊公共交通維持に鉄道・バス・タクシーを支援…1億7,300万円

コロナで疲弊する地域公共交通を維持するため、地域鉄道運行支援として、しなの鉄道・長野電鉄に5,320万円(臨時交付金)を支援。また路線バス・タクシー運行支援として、アルピコ交通・長電バス、タクシー事業者(17法人・57個人事業主)を対象に臨時交付金で1億7,330万円を支援。継続的な支援となっています。

➋4回目のワクチン接種体制確保…6億4,445万円(国庫全額)

6月から始まった4回目の追加接種で、集団接種会場の運営費、医療従事者謝礼、ワクチン移送・接種委託料、コールセンター運営費などを盛り込むもの。

➌高齢者施設等従業員のコロナ自主検査費用の補助…1,620万円(臨時交付金)

➍県が行う高齢者施設等における簡易抗原検査キットによる集中検査に対する市負担金…2,450万円(国1/2)

➎外国人観光客の市内ツアー商品の造成や旅行事業者の市内誘客に対する地域クーポン発行など…1億2,600万円(臨時交付金)

➏小中学校の校外学習におけるバス増配車の経費…1,840万円

大雨災害の復旧費などに約11億円

➊豪雨災害関連で、5月~8月までの豪雨災害における農業・林業施設・道路河川の復旧費…11億500万円

➋8月6日豪雨災害による災害死認定の遺族に対する弔慰金…250万円

放課後子ども総合プラン運営新法人設立に向け補助金…8,600万円

市は市社会福祉協議会などを指定管理者として運営する放課後子ども総合プラン=児童センター・こどもプラザを新しい法人を設立し受け皿とする方針を決めています。R5年2月に設立予定の運営新法人への出捐金及び法人設立後の運営費等に要する経費に対する補助金を盛り込むものです。

R6年4月に新法人に移行する計画で、徐々に体制整備が進みます。肝心な問題はマンパワーの確保です。支援員の皆さんに継続して、プラン事業に参加していただくことが不可欠です。

すでに現在の支援員の皆さんへの説明会が始まっていますが、新たな就労、賃金について、少なからず戸惑いと不安が広がっています。子どもたちにとって最善で有意義な放課後の居場所が確保できるよう、問題点・課題を整理し、法人設立に臨みたいと考えます。

南長野運動公園フットボール場整備…まずは7,660万円

市はR10年(2028年)に県内で開く第82回国民スポーツ大会(国体)に向けて、南長野運動公園総合球技場(長野Uスタジアム、篠ノ井東福寺)の東側に新たにフットボール場3面を整備する方針を明らかにしてきています。今回の補正予算で現地測量・基本設計の経費を盛り込みました。

地元の篠ノ井住民自治協議会や、競技団体からのフットボール場整備の要望等を踏まえ、国民スポーツ大会に備えた競技施設として整備するもので、Uスタジアムとの一体利用を図ることになります。

事業費は37億4,500万円。内16億8,000万は国庫補助を想定、18億5,700万円を起債(借金)、一般財源から2億円を見込みます。

R10年の国民スポーツ大会に向けた施設整備では、老朽化している長野運動公園総合体育館の建て替えに88億円を見込んでいます。

スポーツを軸としたまちづくりを進める長野市にとって、大規模なスポーツ施設の維持管理は公共施設マネジメントの観点から、五輪施設を含めて長期的な視点で考える必要があり、国民スポーツ大会を機に一定の施設整備の必要性は理解するものの、勤労者施設の体育館の廃止・統廃合の問題もあり、地域プロスポーツの振興に比重を置き、市民の健康増進のためのスポーツ施設の整備・拡充が後回しにならないよう、厳しいチェックが必要でしょう。

9月定例会の焦点・論点

長野市政全般にわたり課題山積ですが、以下の点が論点だと考えています。本会議質問はありませんが、議員の質問事項に学ぶとともに、委員会での議案等の審査に向け、各部局からの聞き取り調査をしっかり行いたいと思います。

  • 荻原市政における施策事業のアップデートの効果、荻原市長の旧統一教会への関与に関わる問題、安倍元首相の国葬に対する市の対応。
  • 県の医療非常事態宣言・BA.5対策強化宣言下におけるコロナ対策、全数把握見直し問題への対応と課題
  • 物価高に対する生活困窮世帯への支援、市民税課税ギリギリ世帯への等、制度の「隙間」支援
  • 放課後子ども総合プラン運営の法人設立における課題(特に職員の雇用・条件)
  • 同性パートナーシップ宣誓制度の導入
  • R10年国民スポーツ大会に向けた施設整備125億円(長野運動公園体育館の改修・サッカー場の整備など)の課題
  • 子ども総合支援センターの状況と課題
  • 信州大学新情報学部の誘致
  • スマートシティ、脱炭素社会に向けた課題
  • 水道広域化検討の現状と十分な住民説明の取り組みetc.

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