県交通政策課長を招き、私鉄協力議員団で研修会

1週間前になりますが、8月11日午後、私鉄協力議員団会議の研修会を県自治会館で催しました。私は私鉄組織内議員として団長を務めています。

私鉄総連本部の推薦議員である杉尾秀哉参議院議員、県内私鉄各単組が推薦する県議会議員、市町村議員ら20人のほか、各単組の役員も22人参加しました。

主催者としてあいさつ。左は私鉄県連の濵委員長(アルピコ)

300人収容のホールで、コロナ感染対策を講じ開催

コロナ禍で深刻化する交通崩壊の危機をいかに乗り越えるか、人口減少・超高齢社会を支える地域公共交通網をいかに再構築していくのかが研修テーマです。

県…コロナ支援の継続、持続可能な公共交通の再構築へ

メインは県の小林伸行・交通政策課長による「公共交通の現状と県の取り組み」の報告を受けた意見交換です。

交通政策課長は、県下の公共交通の現状とコロナ禍における支援について、コロナの影響により公共交通機関の利用者が激減し、旅客収入が大幅に減少する一方、指定地方公共機関として、社会機能の維持のため運行継続が求められていることから、R2年度で約9.5億円、R3年度で路線バスや地域鉄道を対象に約10億円のコロナ対策支援、運行継続支援を行ってきているとしたうえで、「コロナ禍はバス事業者の構造的問題(路線バスの赤字を高速バスや貸切バスの黒字で内部補填する構造にあることに加え、運転者不足を抱える問題)を加速化させており、持続可能で最適な地域公共交通の再構築が必要」との認識を提起。

長野県交通政策課の資料より

さらに、R3年度の県交通政策について、既存のインフラ整備とともに、広域的な交通システムの構築に取り組むとし、県内10圏域での路線データの収集を踏まえ、カルテを作成し、市町村が作成する地域公共交通計画の策定を支援するとともに、県も参画し複数市町村による同計画づくりを進めたい考えを強調、「地域公共交通への投資を戦略的に検討し、県としての方向性を打ち出したい」としました。

長野県交通政策課の資料より

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

地域間幹線バス路線への支援では、飯田~松本~長野間の高速バス「みすずハイウェイバス」を含め、県独自の支援策も検討したいとしました。

地域公共交通活性化再生法が昨年5月、改定されました。

人口減少社会の本格化、高齢者の免許返納、運転手不足、地方バス路線事業の厳しさの激化、都道府県レベルの広域的な計画が進まないなど新たな課題が顕在化する中、地方自治体にマスタープランとなる「地域公共交通計画」(従来の地域公共交通網形成計画)の策定を努力義務(原則としてすべての自治体が策定)とし、地域の多様な輸送資源(自家用有償旅客輸送、福祉輸送、スクールバス等)も計画に位置付けることとした点がポイントで、広域的な公共交通ネットワークの重要性がより重点化されました。

市レベルでは、改正前の地域公共交通活性化再生法に基づき、「地域公共交通網形成計画」が策定されています。法改定により「地域公共交通計画」へのブラッシュアップが求められている段階です。長野市は法定協議会で同計画策定に着手しています。

➡県が主体となって、市町村の計画づくりを支援することはもとより、県独自の法定協議会を立ち上げ、市町村をまたがる面的な地域公共交通計画の策定をすすめ、圏域などを単位とした公共交通ネットワークの整備を促進することが問われるところです。

松本市…バス路線の公設民営化へ検討着手

松本市では、「公共交通の公設民営化」を公約に掲げた臥雲市長のもとで、7月には、路線バスの車両を市が保有し、運行をバス事業者が担う公設民営型公共交通の導入に向けた検討会議がスタートしました。2022年秋の導入を目指すとされています。新制度の検討には、コンサルタントとして「経営共創基盤」が参加します。

アルピコ交通労組から報告してもらいました。

アルピコ交通では、利用者の大幅な減少で30億円をホールディングスから借り入れ、460台保有する高速バス・貸切バス車両の11%、50台を売却、鉄道車両の更新延期、雇用調整助成金の活用等で凌いできているものの、赤字基調が続き、厳しい経営を強いられています。

公設民営の検討では、松本市内のアルピコ自主路線・コミバスなどの市運行路線、30路線を「幹線」「支線」に類別し、ルートやダイヤを効率よく見直すとされています。ICカードの導入などキャシュレス化も検討されます。

公共交通の公設民営化は、鉄軌道の廃線対策などとして支援の仕組みが制度化されていますが、路線バスでは前例がないと思います(調査中ですが…)。茨城県石岡市・小美玉市が鹿島鉄道の跡地活用で、行政が鉄道敷をバス専用道に整備し、民間バス事業者が運行を担う公設民営方式を採用した事例はあります。

➡路線バスの公設民営化の検討は、私自身も長野市に提案してきた経過がありますが、長野市内では2事業者により運行されていることもあり、なかなか具体的な検討に踏み込むことができてきませんでした。

➡松本市の取り組みには大いに注目しています。市民の利便性を高めるバス交通ネットワークがどのように再編されるのか、市とバス事業者がどのように必要経費を分担するのか、地域公共交通再生維持の新しいモデルになるよう見極めたいと思います。

路線バスの減便・廃止、深刻に

長電バス、アルピコ交通長野支社、千曲バスから、コロナ禍による路線バスの減便・廃止状況を報告してもらいました。

これまでにも、日中便・土休日便の減便や最終便の繰り上げがされてきていますが、朝夕の通勤・通学時間帯での減便にまで及ばざるをえない状況で、市民の足の確保が深刻化しています。

長電バスでは、三才線・マユミダ三才線・運動公園線などで38便が減に、朝夕の通勤通学時間帯ダイヤも減少しています。また、電鉄では駅の無人化、運行のワンマン化がといった合理化が進められています。コロナでやむを得ないとしても、市民・利用者サービスの低下につながっています。

アルピコ交通では、不採算路線の小市団地線・犀北団地線・北屋島線の廃止を申し出、市が補助する赤字廃止代替バス路線として存続されることに。市内路線バス781便(片道換算)のうち135便が減便されています。

新型コロナ感染警戒レベルが全県で「1」に引き下げられ、ワクチン接種が医療従事者を対象に先行して県内一部で始まりました。長野市におけるワクチン...

千曲バスでは、自主運行路線17路線のうち、佐久市内の自主路線等が既に4路線廃止となり、9月末で佐久市内循環バスや佐久~上田間の佐久上田線など新たに3路線が廃止となります。

佐久市は廃止路線の朝夕のスクールバス運行やデマンドタクシー・ジャンボタクシーへの移行で対策を講じています。

➡コロナ禍の終息が見えない中、バス事業者からの不採算路線の廃止対応協議、あるいは届け出による減便実施が続くことが想定されます。

自治体が主役となって市民・利用者、交通事業者と連携し、市民の移動を確保するバス・ネットワークの再構築に向け、先手を講じていく必要性を痛感します。まずは国の支援が求められるところです。

東京五輪の輸送従事者のPCR検査、ワクチン接種行き届かず

東京五輪にあたり、選手団や大会関係者の輸送に全国からバスが動員され、県内からは14社約100人の運転手が任にあたりました。

4月以来、輸送業務を担う運転手の優先的PCR検査、ワクチン接種を課題にして、国会議員や県会議員と連携し、行政関係機関に迅速な実施を求めてきました。

大会組織委員会の「プレイブック」では「輸送従事者は4日に一度のPCR検査の実施」が明記されているものの、行き届きませんでした。

海外選手団の事前合宿を受け入れた自治体でも、ホテルから練習会場の移動を担当するバス運転手にも同様の対応が求められていましたが、自治体とバス事業者、輸送業務を一括受託した近畿ツーリストとの間の連携が取れず、PCR検査が実施されない事態も発生しました。

ワクチン接種では、県バス協会の県への働きかけもあり、県が設置した集団接種会場でのワクチン接種が実現しましたが、1回目の接種のみで業務にあたらざるを得ない状況も生まれました。

「安全・安心な大会運営」の掛け声とは裏腹に、交通労働者にとっては危険・不安と隣り合わせの業務遂行となりました。

「公共交通は交通労働者の犠牲の上に成り立っている」との訴えを重く受け止めたいと思います。

パラリンピックは「無観客」で行うことになりましたが、同じ轍を踏まない対応が求められます。

実りある研修会に(自画自賛でしょうか…)

研修会を通して、コロナ禍で厳しさが加速している公共交通の現状を共有し、県の問題意識・政策展開を踏まえつつ、各自治体における公共交通政策の重要性、とりわけ「地域公共交通計画」策定に向けた課題を学び合う良い機会になったと思います。

まとめの挨拶で私からは、県に対し、コロナ対策の継続的支援の実施、地域公共交通計画の策定にあたり市町村(特に町村)への包括的な支援の実施、地域間幹線を中心に広域交通ネットワークづくりに資するよう、県としての法定協議会の設置などを要望するとともに、参加された議員の皆さんには、当該自治体の「地域公共交通計画」策定に向け、法定協議会に労働者代表として参加する単組役員と連携し、カーボンゼロの取り組みと合わせ、人口減少社会における持続可能な公共交通の新しいスキームづくりに知恵を出し合っていくことをお願いしました。

「地域公共交通計画」の策定に着手する長野市の取り組みに対し、実効性のある施策が盛り込めるよう提案をしていきたいと考えます。

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