「野党共闘」以外に日本は救えない…憲法学者・小林節氏、松本で講演

6月7日、慶応大学名誉教授で憲法学者の小林節氏を招き、松本市内で「小林節さんと市民、野党の討論会」が催されました。

改憲に反対する県内市民グルーブでつくる「信州市民アクション」と「本気で止める戦争!中信市民連合」が主催したもの。信州市民アクションでは、2015年から毎年この時期に2,000人を超える規模で「安倍改憲に反対する県民大集会」等を開催してきましたが、今年は新型コロナ感染防止のため、大幅に規模を縮小し、感染防止策を講じたうえで各市民団体代表による室内討論会として取り組むことになったものです。

県護憲連合の事務局長を務める私は、信州市民アクション事務局団体の一員として参画しています。

小林節氏は、改憲論者として自民党のブレーン役を務め自民党の「憲法改正運動」をけん引してきた憲法学者の一人ですが、安倍政権による解釈改憲に異議を唱え、集団的自衛権の行使容認、新安保法制は違憲であるとの立場を表明、立憲主義の危機を訴え、共産党を含めた野党共闘を支援しています。

余談ですが、氏は新宿生まれ(現在は横浜市在住)と称されているのですが、長野市中条出身だそうです。

この日も、小林氏は『「野党共闘」以外に日本は救えない』と題し問題提起。

「自民党と公明党より、野党政権の方がまし。自民党がやってきたのは憲法を破壊することだけ。憲法は押しつけだが、いいものを押し付けられてよかったと評価すべき。自民党は三権分立をぶっ壊した。10兆円の予備費は財政民主主義の破綻。法の支配による立憲主義、民主主義がデタラメにされている。政権交代して立憲主義を回復する、反安倍だけでも十分な共通政策となる。弱肉強食の新自由主義を変えなければならない。非武装中立は理想としては有りだが、現実的には、専守防衛をきちんと行えば他国の日本への侵略から守ることができるとの平和主義に立つことが必要」「安倍政権を終わらせないと日本が終わってしまうとの共通認識を野党が確立し、国民に明確なメッセージを送ることが不可欠だ」と強調しました。

続いて信州市民アクションの又坂常人共同代表(信州大学名誉教授)と会場を加えてのセッションが行われました。【中川ひろじ県議のページより紹介】

又坂「これまでの連立政権には共産党が入っていない。どう考えるのか」

小林「野党間や国民の共産党への偏見を越えなければならない。」

又坂「自衛隊の合憲性は整理されている。13項目では安倍内閣の下では改憲しないとしているが、野党連合政権のもとでは改憲ありか」

小林「戦争法をたたんで、海外へ自衛隊を出さないことをやろう、現実政治の中で、立憲的改憲ということの意味はない」

又坂「逆に改憲の流れにもっていかれる危険がある」

又坂「中国やアメリカとどうつきあうのか」

小林「アメリカとの関係は見直さなければならない。ジャパンハンドラーと付き合うべきではない。正論を堂々と言うべき。在日米軍についてもフェアにあつかうべき。日本の立ち位置を明確にすべき。沖縄の米軍はグアムに移動している。冷静に考えれば沖縄に米軍はいらない。政権を取ったら、アメリカの上院議員と話しをすればいい」

平和主義に関しては、「自衛隊は違憲である」との原理主義的主張は、国民の支持を得られる状況にないことを自覚し認め合い、「専守防衛の自衛隊を是認する。集団的自衛権の行使、海外派兵は認めない」を最大公約数にした共通政策が必要との指摘です。

日米関係については、日米安保条約に基づく「日米同盟」は維持しつつも、不平等な日米地位協定の見直しは不可欠。沖縄基地問題は米国政府ではなく米国議会へのロビー活動で活路を開くことが必要と述べました。

立憲、国民、共産、社民の県内4野党の県会議員も出席し、野党共闘を進める立場を表明しました。

私は、「自社さ」連立政権誕生の折に、当時の社会党が政党固有の理念と連立政権の基本政策をごちゃまぜにし、「日米安保容認、自衛隊容認」の連立政権基本政策をもって、党の恒久平和主義の理想理念、基本固有政策までもを変更したことに、今日の社会党・社民党の衰退の大きな要因があると考えている一人です。

連立政権なのですから、党固有の理念・理想は尊重しあい、政治の転換に求められる基本政策で合意し、国民の審判を問うことが重要であると考えます。

安倍自公政権に替わる野党連立政権の平和外交政策の基本は、「日米安保に基づく外交を基本にしつつ、アジアにおける日本の役割を重視。自衛隊は専守防衛に徹し、集団的自衛権は行使しない」といったトーンで良いのでは?と考えます。私見ですが…。

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