公共交通の利便性向上と利用促進を【3月議会の質問より➏】

久々に「3月議会の質問より」の更新です。
地域公共交通の利便性の向上と利用促進について、具体的な提案を含め質問しました。

利用しやすい公共交通の構築…まちづくりアンケートで1位に

先ごろ速報でまとめられたH29年度まちづくりアンケートの結果では、「住みよい長野市をつくるため、特に力を入れるべきだと思う施策」に、「バス・鉄道など利用しやすい公共交通の構築」が33.6%でトップに浮上しました。

地域公共交通の利便性の向上と利用促進は喫緊の課題と言えます。

バスロケーションシステム導入を弾みに

新年度、スマホによるバスロケーションシステムの導入が県との共同事業で実現する運びとなりました。長年の提案がようやく実りました。もっとも、県の導入判断が大きい処ではありますが…。

路線バスやコミバスの乗換案内として機能する「信州ナビ」と連動して利便性の向上につながることを大いに期待するものです。

長野市公共交通ビジョンを踏まえた「地域公共交通網形成計画」の具体化に向けて4点質問しました。

長野市公共交通ビジョンより

➡【参考】長野市地域公共交通網形成計画【概要版】

利便性の高いバス路線網へ…共同運行方式広げられないか

市内のバス路線はアルピコ交通と長電バスの二つの事業者の自主路線として維持されています。より利便性の高いバス路線網の再構築にあたり、廃止路線代替バスとして「大豆島保科温泉線」がバス事業者2社による共同運行で実現しました。
ほとんどのバス路線が赤字の中、それぞれに数少ない黒字路線を持つことから、一挙に共同運行の拡大は難しいのかもしれませんが、中心市街地ぐるりん号も共同運行であることから、効率的なバス路線網の再構築に向け、重なる路線部分等において、共同運行方式を取り入れ拡大できないかを質しました。【以下の図表は地域公共交通網形成計画概要版より】

「事業者と具体的に研究」

都市整備部長は、「大豆島保科温泉線の共同運行は、事業者として経費を削減でき、利用者にとっては路線維持につながるというメリットが双方に生じ実現できたもの」としたうえで、「2つのバス事業者で一部重複する路線があり、利用車、事業者の双方にメリットが生じるケースがあるかどうか、事業者とともに研究していきたい」と答弁しました。

店舗駐車場を活用したパーク&バスライドの具体化を

公共交通への乗り換えを図る基盤整備として「パークアンドライド」が有効とされています。しかし、具体化が一向に進みません。バス停に近く駐車場が広いスーパーや量販店などと連携し、商品券の購入による駐車スペースの確保といったウィンウィンの関係となる仕組みを模索していくことを改めて提案しました。

候補となる店舗と相談し実現可能性を検討

「金沢市や松本市の先行事例を研究中。議員の指摘通り、ウィンウィンの関係を構築できるところがポイント。こんご、長野市版の仕組みの詳細や適地等の検討を進め、実際に候補となる店舗と相談する中で、実現可能性や課題等を明らかにしていきたい」と、ようやく前向きな答弁となりました。

ノーマイカー運動の再構築を

昨年9月に実施された県下一斉ノーマイカー通勤ウィークの取り組みに長野市として参加しました。9月議会での私の質問に、「バス事業者から一過性のノーマイカー通勤では効果が薄く、いかに継続的にバスに乗ってもらうかが重要との指摘があり、来年度以降は市内の事業者にも呼び掛けながら、全市的な取組となるよう拡大する」と答弁しました。

しかし、具体化の道筋が見えてこないため、改めて質問に取り上げました。

地域公共交通網形成計画には 「公共交通の日」の設定が盛り込まれています。こうしたことを踏まえ、「もう2回バス乗車運動」(同じく網形成計画に明記)の具体化と合わせ、例えば、9月を「公共交通利用促進月間」と位置づけ、県のノーマイカー運動と連携しつつ、事業者だけでなく市民参画を促す取り組みに広げることを提案しました。

具体的な手法を検討する

「一定の期間を設け利用促進を行うことは大変有効的。バスロケーションシステムの導入に合わせ、公共交通の日やもう2回バス乗車運動の趣旨を実現すべく、具体的な手法について関係者と相談・検討する」との答弁でした。

一歩前進の答弁ですが、さらに提案を続け、具体化をチェックしていきたいと考えます。

全国で利用可能な交通ICカードの導入

長野市は地域独自の交通ICカード「くるる」を運用し、須坂市や高山村などに利用拡大が図られています。しかし、全国で利用可能な「スイカ」等の10カードは利用できない状況にあります。観光都市としてさらに発展していくためにも10カード利用の導入を図ることが重要です。

県では、「できるだけ早期に実現したい」と前向きですが、くるるシステムの更新をにらみながら、くるるを母体とした10カード片利用の導入を県や松本市に積極的に売り込み、働きかけることが必要ではないかと提案しました。

県の動向を注視

都市整備部長は「くるるを母体とした10カードの片利用を導入できないか、県や松本市に積極的に働きかけてきたが、JRとしなの鉄道が乗り入れる長野駅の改札でスイカが使えない現状において、鉄道事業者等との調整に行き詰まり、片利用の導入の検討は進んでいない」としたうえで、「県に10カードそのものを導入する相互利用を含めて検討する意向があることから、この動向を注視していきたい」としました。

県は「数年後導入をめざし検討」と報道

3月21日付の信濃毎日新聞によると、県が開いた「地域における移動手段の確保・保管に関する検討会」で「県全域で利用できる独自の交通系ICカードの作成に乗り出す」考えを明らかにしたとされます。

県では1月に、交通事業者らとともに、西鉄の「ニモカ」カードの研修会を開いています。かなり具体的な検討段階を迎えているようです。要チェックです。

H31年に予定する「くるる」システムの更新問題(2億円の経費が費用とされる)と合わせ、改めて調査し、意義と課題をまとめたいと思います。

➡【参考】信濃毎日新聞報道より

全県共通の交通系ICカード 県、数年後導入目指し検討 既存主要カードを基本に相互利用も

県は20日、人口減少社会を踏まえた移動手段の確保などを考える「地域における移動手段の確保・補完に関する検討会」で、県全域で利用できる独自の交通系ICカードの作成に乗り出すと説明した。数年後の導入を目指し、同検討会に導入に向けたワーキンググループ(WG)を2018年度に設ける。JR東日本の「Suica(スイカ)」など既存の主要な交通系ICカードを基本にし、独自の機能などを付け、相互利用できるようにするという。

バスやタクシー、鉄道などでの利用を想定し、県内交通機関にカードリーダーを設置する。県交通政策課は独自の機能を持ったカードとすることで、高齢者を対象にした割引サービスなども提供できるほか、交通事業者は利用者の乗降場所を把握しやすくなり、経営改善に生かせるといった利点があるとした。18年度は基本にするカードや、先行導入する地域や事業者についての検討を進めていくという。

この日の検討会では、交通系ICカードのWGのほか、「バスユーザー拡大」「タクシー利活用促進」「ヒト・モノ混載促進」の各WGを設けることも決めた。行政や事業者、有識者らが課題解決に向けて話し合う。

幻の質問…バス・タクシーの貨客混載の導入検討を

この質問・提案は、時間がなくできませんでしたが、質問趣旨と市の考え方をまとめてみました。

運転手の担い手不足の解消などを目的に、昨年9月から路線バスやタクシーの貨客混載が制度的に可能となり、人だけでなくモノも運べるようになりました。既に長電バスでは飯綱牟礼線でヤマト運輸と連携し取り組まれています。過疎地の交通空白地域や交通不便地域で、住民の足の確保とあわせ、モノの提供サービス(例えば買い物、図書館の本)による利便性の向上など、課題解決の糸口になると考えます。

それぞれ事業者が主体的に検討すべき課題ではありますが、市行政として問題意識をもって検討・対応することを求める趣旨です。

物流事業者との確認踏まえ、コーディネートしたいとの意向

市では、昨年、大手物流事業者から貨客混載に対する基本的な考え方等を確認し、検討に値する具体的な路線をバス事業者に伝えているようです。

物流・旅客双方の事業者にとってメリットがあるケースで貨客混載は実現可能であると判断し、行政が両社のマッチングをコーディネートする役割分担で進めていきたい意向のようです。

県の動向を含め、関係者への調査をしたうえで、改めてまとめたいと思います。

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