新市民会館の入札不成立…巨額な随意契約に

 7月着工予定となっていた市役所第一庁舎・市民会館の建物本体工事が、入札不成立で揺れています。公共工事の入札不成立は、岡谷市市民病院の建設工事に始まり、全国でも多発しているようですが、適正な予定価格の設定に始まり、公契約における透明性・競争性・公正性が課題になっているといえます。

 庁舎と市民会館は地域経済への波及を考慮し工区を分けて条件付き一般競争入札を実施しましたが、5月31日の1回目の入札はどちらも予定価格(公表されてはいませんが)を上回り、不調に終わりました。
 
 【第1工区=市民会館の入札価格】
    ◎北野・守谷・鹿熊JV 58億5,000万円 ⇒2回目辞退
    ◎戸田・北信土建JV  63億5,500万円 ⇒2回目辞退
    ◎前田・飯島JV    52億7,500万円 ⇒2回目不成立、随意契約に
 【第2工区=第一庁舎の入札価格】
    ◎飯島・喬木JV    27億4,400万円
    ◎北野・千弘・鹿熊JV 27億3,000万円 ⇒2回目、22億6,500万円で落札
    ◎北信・松代・川浦JV 28億7,000万円
    ◎守谷・北條・野村JV 28億1,800万円
 そして6月7日の2回目の入札では、市民会館では2JVが辞退し、1回目に最低価格だった「前田・飯島JV」が入札額を3,000万円引き下げたものの、予定価格を上回り、入札が不成立となりました。今後、このJVの見積書を検討し、予定価格内での随意契約に移行することになります。

 第一庁舎の方は2回目も上記の4JVが参加し「北野・千弘・鹿熊JV」が22億6,500万円で落札しました。1回目より4億6,500万円も引き下げた結果です。落札したとはいえ、公共工事の品質確保は大丈夫なのか、人件費等への圧迫はないのか、懸念が募ります。

 建設事業費を134億円から151億円に見直すにあたり、落札ベースでの事業費を見積もってきたことに「適正な入札を行うことができるのか。公正な入札を阻害することになりはしないか」と3月議会で質しました。落札ベースから予算ベースへの見直しが、追加工事を含めても適正な予定価格の設定になるのか、はなはだ疑問だったからです。案の定というか、懸念が現実のものになってしまいました。

 震災による建設資材の高騰や設計労務単価の県平均18%の増などが背景にあると考えられますが、建設事務局では、「建築資材の高騰分は契約後にスライドさせる。労務単価等の見直し分は入札後の契約で補い反映させる」との発注仕様をまとめているそうですから、入札不成立の原因は違ったところにあると考えられます。
 すなわち、建物本体工事の行政側の見積もり=予定価格が適正なのかといった問題です。応札した事業者が「前回の最低価格を下回る価格での入札は難しいと判断」「資材費や人件費を含めると1回目の入札の最低価格以下では赤字になる」(いずれも信毎報道)とコメントしていることは重要でしょう。

 3月市議会で、落札ベースでの建設費見積もりについて、「市民の理解を得ようとする余り、事業費を小さく見せる意図があったのでないか」と指摘しましたが、今度は「事業費の膨大を避けたい余りに、適正な予定価格の設定に無理を生じさせているのでないか」と指摘せざるを得ません。

 更に問題は、151億円に事業費を見直す際に「入札を経て事業費は圧縮される」との見通しが全く立たないということです。それどころか、外的要因によるとはいえ、建設事業費は更に膨らみそうです。3月段階では既に建設資材の高騰はわかっていたはずですし、設計労務担当の見直しも予見できていたのではないでしょうか。

 設備工事などの5つの関連工事は入札が成立していますが、予定価格に対する入札額、最低制限価格、入札差金などしっかりと検証する必要があります。

 いずれにせよ、入札の不成立⇒巨額な随意契約⇒事業費の更なる増大という連鎖は、市民の信頼を揺るがすことになります。契約の遅れに伴う工期の問題も発生しそうです。
 6月議会の焦点の一つです。