戦後80年…松代大本営地下壕跡から考える戦争と平和

戦後80年・被爆80年の8月は猛暑が続きます。どうかご自愛ください。久々のブログ更新です。

松代大本営朝鮮人犠牲者追悼碑…建立30年

戦後80年の「敗戦の日」を前にした8月10日、旧日本軍による太平洋戦争敗戦末期の松代大本営地下壕工事で犠牲となった朝鮮人労働者を追悼し平和を祈念する集いが象山地下壕入口に建立された追悼碑の前で開かれました。追悼碑は戦後50年の1995年に建立、2025年は追悼碑建立30年の節目です。

主催団体である松代大本営追悼碑を守る会の会員や在日団体の代表ら70人が集い、犠牲者に祈りを捧げました。

地下壕の工事には朝鮮半島からおよそ6,000人が動員され、発破事故や栄養失調などによる死者は300人以上ともされていますが、当時の正確な状況は解明されていません。

守る会の表秀孝会長(長野大学名誉教授)は、追悼碑に犠牲者の実名も実数も刻めていない事実に触れながら「歴史を直視し、歴史に学び、再び誤ることのない今日を生きなければならない」と強調し、「ただ単に戦跡を見学するということだけでなく、見学をしながらこの碑があることで工事の実態を少しでも感じてもらうことにつながればと思う。戦後80年の節目にあたり、追悼碑を守り続ける中で、平和を希求し続けたい」と力を込めて訴えました。

戦後80年企画…「松代大本営から考える戦争と平和」公開講座

10日午後には、戦後80年・4追悼碑建立30年の節目の企画として、大本営研究など軍事史に詳しい明治大学文学部の山田朗教授を招き、「戦後80年 公開講座 松代大本営から考える戦争と平和」をサンホールマツシロで催し、115人の市民が傾聴しました。

戦争体験者が少なくなるなか、戦争の記憶が風化し、昨今、世界中での紛争の多発や軍事的緊張が増大するなか、非戦、反戦の誓いが揺らいでいかないか危惧される中、戦後80年という節目の年に、改めて松代大本営工事の実相に触れて、日本は過去とどう向き合って、未来にのぞめばいいのかを考える機会としたいとの想いから企画したものです。長野市及び長野市教育委員会から後援をいただきました。

山田教授は、満州事変から日中戦争、アジア太平洋戦争へと戦禍を拡大した侵略と植民地支配の加害の歴史は、新たな植民地・占領地支配、暴力の連鎖であり、戦争動員体制のために国内はもとより朝鮮半島からの朝鮮人の強制連行・強制労働が行われたと指摘、「本土決戦」遺跡である松代大本営地下壕跡は、「80年前の無謀な戦争の記憶の継承地であり、戦争・植民地支配・暴力=強制労働の記憶継承の発信地である。戦後における差別・貧困・格差を考える場にしていくことが重要」と訴えました。

過去の戦争を学び、現在の軍拡・戦争の危険性を知ること、現在の軍拡・戦争を知り、過去の戦争を掘り下げること、現在と過去を行き来しながら、格差・差別・貧困といった構造的な暴力支配をなくしていく取り組みを通じ平和を創造していくことが大切であるとの指摘をしっかり共有していきたいと考えます。

戦後80年の節目にあたり、戦争遺跡である松代大本営地下壕を、加害の歴史を直視し平和な未来を創っていく「記憶継承の発信地」「生きた教科書」にしていくことを改めて心に刻む一日でした。

【信濃毎日新聞の報道より転載】

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