交通政策フォーラム2018 in花巻

18日~19日、岩手県花巻市内で催された私鉄総連・交通政策フォーラム2018に私鉄自治体議員団の役員の一人として出席。

全国から99単組の代表、自治体議員ら260人を超える私鉄の仲間が結集しました。

フォーラム前段では、2018公共交通利用促進全国行動キックオフ集会が開かれ、日本民営鉄道協会や日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会などの経営者側の代表も協賛団体として出席し、公共交通の利用促進に向け、労使一体で取り組み決意を固め合いました。

フォーラムの基調講演は、福島大学の吉田樹准教授(人文社会学群・経済経営学類)を講師に「地域公共交通網の形成に求められる視点-震災の復旧から将来の公共交通まで-」をテーマにしたもの。

吉田准教授は、国土交通省の「地域公共交通の活性化及び再生の将来像を考える懇談会」委員、「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」委員、東北運輸局の「地域公共交通東北仕事人」のメンバーを務めています。

吉田氏は、まず、震災時におけるバスの復旧プロセスを紹介しながら、大規模災害時における公共交通の役割を平時からしっかり捉え直す必要があることを強調。

その上で、地域公共交通活性化・再生法から10年半、そして交通政策基本法制定から4年余を振り返りながら、交通政策基本法第2条の「自立した日常生活及び社会生活の確保」と「活発な地域間交流の実現」に着目し、「生活」を支える地域公共交通➔「暮らしの足」の対流、「交流」を支える地域公共交通➔「お出かけの足」の対流といった視点から地域公共交通政策を現場から築き上げていくことの重要性を指摘。

締め括りに、『公共交通づくりは「お出かけ」の機会を広げる投資である』、『地域公共交通は生活と交流を支える「道具」である』『地域公共交通づくりは、地域創生のけん引役である』ことを視点にして取り組むことが重要であると強調するとともに、交通と福祉、コミュニティのそれぞれの「守備範囲」を少し広げた「のりしろ」(それぞれが重なる部分)をつくり、隙間を埋めることで、「暮らしの足を」を守り、新たな需要を喚起させ、交通産業がライフスタイルと結びついた「生きがいの循環」を創り出すことこそが重要であると問題提起しました。

2日目はバス・タクシー合同分科会に参加。

首都大学東京の戸崎肇・特任教授から「ライドシェア・働き方改革など最近の情勢変化」をテーマに問題提起を受けました。

実証実験の実施により突破口を開こうと躍起になっているウーバーをはじめとする海外資本によるライドシェアの導入の動きに対し、ライドシェアによらなくても公共交通が機能するよう、交通政策基本法で示されている理念・仕組みが活かされているかを厳しく検証すること、ライドシェアの実証実験を過大評価させないこと、地域公共交通網形成計画においてタクシーの役割と施策展開をしっかりと位置付けること、医療政策・福祉政策との連動、従来の縦割り行政を超えた枠組みの構築が必要なことを強調しました。

特に交通政策の観点から見たライドシェアの問題点として、➊ドライバーの身元保証や健康管理、車両の整備責任、相対取引による料金の不透明化・ダンピングの発生などの安全性の担保、➋公的必要性に応じた安定供給ができるのか(都市部ではもうかる時間帯しかサービスが供給されないなど)、公共性の担保を指摘しました。

また、労働政策の観点からは、市場原理に振り回され労働者として保護されない個人労働故の「雇用の破壊」の問題点も指摘しました。

国内では「ライドシェア」という言葉が一般的に使われていますが、正確にはシェアをしているわけではないので、米国では『ライドブッキング』と言われています。戸崎氏も正確には「ライドブッキング」と指摘していました。

このサービスは運転者と利用者が直接運送契約を結ぶもので、ライドブッキングを行う事業者は単に仲介をするだけとされます。違法な「白タク」行為につながる問題がここにあります。

タクシーに関しては労働法や事業法が適用され、事業者が運転者や車両を管理しなくてはいけないことになっています。このことは、労働者・利用者保護、輸送の安全を担保する上で必要不可欠なことです。この必要不可欠な事柄がライドブッキングでは適用されないことに大きな問題があります。

ライドシェアへの対案として、タクシー業界におけるアプリ対応の強化、サービス水準の向上が求められるとともに、二種免許保有者としてどのような付加価値を提供できるのか、「二種免許」の意味の問い直しが必要だと強調しました。

それぞれ問題意識を広げることができた講演・提起でした。問題はどう具体的に活かせるか!です。

バス・トラック・タクシーなど交通運輸産業における運転手不足という構造的問題の解決も、真に求められる「働き方改革」という視点から具体的な取り組みが求められるところです。長時間労働・低賃金を打開しなければ、公共交通、そして安全な物流そのものを守ることができなくなってしまいます。

地方都市における公共交通空白地域の移動手段をどのように確保していくのか。ライドブッキングによらない方策を具体的に考えだしていくことが喫緊の課題になっているといえます。

花巻の桜はこれからが見ごろ

コブシが満開でした

花巻駅のホームで。花巻獅踊のモニュメント