公契約条例の制定、改めて迫る…9月議会の質問より➋

シリーズ「9月議会の質問より」の2回目は、「公契約条例の制定」についでです。

8月に改革ネットで取り組んだ市長選予定候補者への公開質問で、「公契約条例」と「子どもの人権条例」の制定に対する考えを問いましたが、現職である加藤市長からは、「公契約条例は調査研究」「子どもの人権条例は調査検討」という、これまでの議会答弁を超える回答は寄せられませんでした。「研究」と「検討」は、行政用語的にはトーンが違うのですが、条例制定に積極的でない姿勢は明らか。如何なる問題意識を持っているのか、改めて質しました。
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公契約条例とは?

公契約条例とは、自治体などが発注する建設工事や印刷・清掃などの委託業務で働く労働者が低賃金しか支払われない「官製ワーキングプア」の解消をめざし、自治体と契約する事業者に一定額以上の賃金の支払いを求める条例です。

賃金条項により支払われる賃金の下限を定める条例を中心に、長野県の「契約に関する条例」のように、賃金条項を定めず、基本的な理念を定めた上で、公労使による審議会で適正な賃金を実質的に担保しようとする条例もあります。
また、賃金条項を定めている場合でも躯体的な規定の内容には違いがあります。

「調査・研究」から「問題意識をもって検討」するよう強く迫る

私は、県の契約に関する条例の制定を踏まえ、長野市において「県条例の理念と趣旨、制度設計」を共有化し、長野市公契約条例の制定に向け「研究」から「実施」へ移行するよう、これまでも質してきました。

しかし、市は「調査・研究を続ける」という姿勢を崩していないことから、「研究は制定しないと同義語。条例の制定に向け問題意識をもって検討すべき」と、改めて強く提案しました。

質問時間の関係から、ポイントのみの質問となりましたが、このページでは、私の考え方を含め肉付けして報告します。

受託事業者との対等・平等な契約として適正賃金を確保する条例を

県の条例は基本的な理念条例で、千葉県野田市が先鞭をつけた、賃金の下限を条例で定めた公契約条例とは趣旨が異なりますが、公契約において、地域経済の発展と安全・良好な公共サービスの品質確保という観点から、雇用の確保、労働者の適正な賃金水準など労働環境の整備に踏み込んだものとなっています。

わが国には最低賃金法がありますが、野田市を除く条例制定自治体は、公労使による審議会を設置し、市長の諮問に応じ調査審議し、具体的額を答申する仕組みになっています。この審議会に労使代表が参加する意義は大きいものと言えます。同時に、自治体が一方的に押し付けるのではなく、受託者(雇用主)と「契約の自由」に基づき「対等平等な関係」にあることも欠かせません。多摩市条例では「市長と受託者が相互に対等平等な関係にあり、協力・共同して」労働法遵守、継続雇用、連帯責任等の責務を果たすことを明記しています。

求められる公契約条例は、受注者と発注者の合意を基本とする契約であり、公権力による規制ではないこと、自治体が定める労務報酬下限額以上の労賃が就労者(下請け就労者を含む)に支払われるように自発的に措置し履行するものであり、公共工事や行政の委託業務など公共サービスの品質確保を図るとともに、事業者相互間・労働者相互間の公正競争の実現を図るものであることが重要であると考えます。

私は、地域の公正労働基準が担保される公契約にしていくため、公権力的な規制を規定しない多摩市のような公契約条例や長野県の契約に関する条例等を踏まえ、市の公共工事や委託事務の品質確保、ダンピング受注の排除、労働者への適正賃金の支払い等を担保する趣旨の長野市公契約条例の制定が必要であると考えています。

市長…「基本理念や市・事業者などの責務をより明確にする条例は検討が必要」

市長は、「公契約条例がなくても、公共工事の品質確保やダンピング受注の排除を行い、最低制限価格を定めることで労働者や下請けにしわ寄せが及ばないよう取り組んでいる」としたうえで、「一定水準以上の賃金の支払いなどを義務付けるような条例は難しいが、公権力的な規制を規定せず、基本理念や市・事業者などの責務をより明確にするような条例は検討する必要がある。引き続き調査研究する」と答弁しました。

大枠では「調査研究」の域を超えない答弁ですが、恐らく、県条例のような「基本的な理念条例は制定に向けた検討が必要」との考えを示したものと受け止めています。一歩前進というか半歩前進ではありますが、単なる理念条例では効果が担保できないことが危惧されます。問題意識の相違が依然として残っているのかもしれません。

多摩市条例などを参考に、適正な賃金水準の確保へ、条例制定になお力を尽くしたい

公権力的な規制を規定しない条例においても、「賃金・労働条項」を定め、審議会を通して下限額を明示し、適正賃金を実質的に担保する条例があります。

この点を見据えた答弁には必ずしもなっていないところがなお課題です。

私としては、野田市型条例ではなく、多摩市型条例を考えています。

これからも、粘り強く条例制定に向けて取り組むと同時に、総合評価入札の全面導入をはじめ入札制度改革にも取り組む所存です。