12月議会代表質問から【その2】は、増え続けている不登校児童・生徒の居場所の確保、学びの保障などサポート体制の拡充についてです。
長野市の不登校児童・生徒…小学生201人、中学生452人
文部科学省の調査では、全国の小中学校で2021年度に学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒は前年度から4万8813人(24.9%)増の24万4940人となり、過去最多を記録しました。不登校の増加は9年連続で、10年前と比較すると小学生は3.6倍、中学生は1.7倍増に上ります。
長野市内では、R3年度の調査で、不登校児童・生徒数 は小学生201人、中学生452人の合計653人。前年度と比較し、小学生は同数、中学生は60 人増加に。
R4年度における多様な居場所の利用状況は、9月末時点で、中間教室が73名、民間施設が47名、自宅におけるICT等の活用による出席扱いが25名と、 前年度同時期より4割ほど増えています。 市教委では、不登校児童・生徒数が年々増加傾向にあり、学校以外の多様な学びの場へのニーズが高まっている一方で、その受け皿となる中間教室は、受入れ可能人数に限界があるとし、また、小学校低学 年や中学生まで、幅広い年齢層へのきめ細やかな対応や指導員の人的配置、保護者への相談なども課題であり、今後改善していかなければならないとの認識を示しています。
➡以下の資料は、昨年7月の総合教育会議の提出資料より転載。民間フリースクールなど学校以外の子どもの居場所施設・団体一覧も掲載されています。
こうした現状を踏まえ、かつ、市長も不登校対策への意欲を示し、中間教室の現状に触れ改善が必要との考えを示してきていることから、具体的な不登校支援策の早期拡充について取り上げました。
「教育機会確保法」の意義
不登校の児童・生徒を支援するため2017年に施行された「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」は、学校復帰を大前提としていた従来の不登校対策を転換し、学校外での「多様で適切な学習活動」の重要性を指摘。不登校児童・生徒の無理な通学はかえって状況を悪化させる懸念があるため、子どもたちの「休養の必要性」を認めています。こうしたことを踏まえ、国や自治体が子どもの状況を継続的に把握し、子どもとその親には学校外施設などさまざまな情報を提供するよう求めています。
簡単にまとめると、●辛い時は休むことが必要である。●フリースクールや家庭などの多様な学び場を選択できる。●「学校復帰」ではなく「社会的自立」を目指す。●国・地方公共団体と民間の団体が協力・連携していく。●学校や地方公共団体は、子どもや親へ必要な情報を提供する。ということです。
「不登校は問題行動ではない、学校がすべてではない」とのメッセージの共有を
不登校児童生徒の増大は、いじめ認知件数の増大と合わせ、学校現場の喫緊の課題となっています。私は、学校、保護者、そして何より子どもに、「不登校は問題行動ではないよ」「学校は休んでいいんだよ」「学校への復帰がすべてではなく、多様な学びの場で成長していいんだよ」というメッセージが共有され、多様な居場所、学びの場を支援していくことが大切であると考えます。
中間教室の増設・拡充、民間フリースクール支援、早期実現を
教育機会確保法を踏まえつつ、一つに学校現場で子どもに十分に向き合い、子どものSOSを受け止められる環境をつくること。そのためには、教員の意識改革と合わせ、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー等の十分な配置が必要であること、二つに学校以外の居場所、学びの場の確保と拡充が必要であり、個々の状況に応じた支援体制が必要であることから、中間教室(教育支援センター)の増設と運営人材の拡充を具体化すること、三つに民間フリースクールへの支援、例えば、フリースクールに通う保護者への経済的支援、フリースクール開設・運営への助成の創設など3点質問しました。
教育長…「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのさらなる拡充を検討」
専門的支援員の配置状況について、スクールカウンセラーは、県より各中学校区に1名ずつ配置、市立全小・中学校を各校の状況や要請に応じて定期的に訪問し、児童・生徒や保護者のカウンセリングを行っている。中間教室には市独自でスクールカウンセラーを配置。
スクールソーシャルワーカーは本市で4名配置し、活動時間を昨年度の675時間から1,750時間へ約2.5倍に拡大し、学校からの派遣要請に応じながら児童・生徒や保護者への支援に取り組んでいるとします。
そのうえで教育長は「外部専門家の需要はますます高まっており、子どもたちの支援に加えて保護者支援を充実させていくことも重要であると考えている。市教委としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのさらなる拡充を検討するとともに、県教育委員会にも機会を捉えて協力を求めていく」と答弁。まいります。
「検討する」との答弁で、具体性に欠く答弁ですが、新年度予算での具体的な対応を注視したいと思います。県教委の取り組みも重要ですが、市単独配置の拡充も視野に入れて検討してもらいたいものです。
「中間教室も増設を具体的に検討」と教育長答弁
現在6ヵ所に開設している中間教室は、本年度9月末までの半年で73名の児童・生徒が登録、1教室当たりの定員が10名程度であり、既に定員以上の通室希望があり、「喫緊の課題として中間教室の拡充が必要と考えている」とし、「現在、中間教室の在り方について、人的配置も含めて具体的な検討を行っているところ」と答弁しました。
ほぼ確実に中間教室の増設・拡充は具体化されるものと受け止めます。新年度における具体化を望むところです。
1月の終わりころには、具体が示されることになりそうです。
「民間フリースクール支援」も検討
民間フリースクールの支援等については、「保護者への経済的支援やフリースクールへの助成金制度について、他の自治体等の状況を調査するなど現在検討しているところ」と答弁、「国の動向を注視しながら、他自治体の取組を参考に、保護者への経済的負担を軽減できるよう検討していく」としました。
国においては、教育機会確保法の附帯決議に保護者支援として財政上の措置を講じることが明記され、また9月市議会において国に対する意見書が議決されていることからも、早急な具体化を引き続き求めていきたいと思います。
不登校児童・生徒への多様な居場所・学びの場の確保は、教育機会確保法により市としても喫緊に取り組まなければならない課題として認識されていると受け止めます。しかしながら、答弁は、前向きな姿勢をにじませつつの「検討」にとどまっていることから、早期に目に見える形で外部専門家の拡充、中間教室の増設・拡充、民間フリースクールへの支援が具体化されるよう求めていく所存です。