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2010年8月30日
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新市民会館、権堂・東街区での建設を断念し、将来負担少ない「現在地」で建設を

9月1日付の『広報ながの』に「市民会館の建設地の方針案」が特集で掲載されました。私の地区では既に配布されましたが、ご覧になった方も多いと思います。皆さんはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
 明日、31日には市民会館調査検討特別委員会が開かれることもあって、権堂・東街区案の検証を含めて、私の考えをまとめました。整理しきれてはいませんが、ご一読いただき、ご意見を賜れば幸いです。
 なお、掲載の図表は、長野市民会館の建設地方針案(市民説明会の提示資料・PDF版)より抜粋したものです。

【過去の参考資料】
10.08.26 市民会館建設地に関する市民説明会、市議会では特別委員会
10.07.06 市民会館…権堂東街区での建設は『基本構想』の枠外、より不確実性増す
10.06.23 市民会館建設を含む権堂地区再開発事業の是非…建設企業委員会で焦点に
10.06.18 市民会館、権堂地区での建設、困難に。「現在地で建設」へ明確な軌道修正を
10.06.11 市民会館問題…「基本構想の住民説明は出前講座で理解を得ている」は違う
10.04.19 3月議会での質問から(その1)…改めて市民会館建て替え問題を考える
10.02.12 第一庁舎・市民会館の基本構想案に対する市民ネットの見解


ヨーカドーの不参画で、東街区での建設方針案に

  
 6月にイトーヨーカドー側が、当初計画された権堂B-1地区の再開発事業には参画せず、「既存店舗での営業継続を前向きに検討する」と方針転換したことを受け、再開発準備組合や地元商店街の皆さんが大通りをはさんだ東街区での市民会館建設を要望したことから、基本構想に基づく市民会館が東街区に建設できるか、技術的な検証を行うとしていた長野市は、去る8月4日に、?権堂B-1地区での再開発であり、基本構想の建設地選定の考え方と変わらない。特に中心市街地活性化の観点から効果が大きい、?当初案(西街区)と比べ、東街区案でも遜色ない事業実施が可能である。東街区としての新たな利点もある、?現在地案は、まちづくり効果の点で優位性が低く、併設する第一庁舎への影響がある、?9月中に建設地を決定する、として「東街区での建設方針」を示しました。

そして、24日には東街区での課題と指摘された事項(リハーサル室・練習室の確保、駐車場、大型トラックの搬入、経済効果の根拠など)についての検討結果を示し、「東街区での建設は技術的に可能であり、まちづくり効果もある」ことを強調しようとする資料も議会側に示されました。

異論相次ぐ「建設検討委員会」、賛否両論の「市民説明会」

しかしながら、24日に開かれた「市民会館建設検討委員会」では、「基本構想に盛った理念が実現できない」とする異論や厳しい意見が相次いだとされています。(参考:下記の報道記事)

 また、26日に開かれた市民説明会でも、「街の活性化と文化会館建設を切り離すべきだ」「現在地をもっと検証すべき」とする建設地の是非の意見や、市民への周知や合意不足を指摘する厳しい意見も出されました。

 市長は「最終的には議会の同意をもって決定する」としていますから、議会の責任は極めて重いものがあります。

【8月25日付・信濃毎日新聞】
 長野市民会館の建て替え候補地を、権堂地区内のイトーヨーカドー長野店敷地から長野大通り東側(東街区)に変更した同市の方針案について、建て替え計画を話し合ってきた市の建設検討委員会からも厳しい意見が相次いでいる。24日の会合でも「基本構想に盛った理念が実現できない」などと否定的な意見が大勢を占めた。9月16日の次回会合で、委員会としての意見をまとめることを決めた。
 市が5日に方針案を示してから2回目の会合で、13人が出席。市は東街区に建設した場合の大型トラックの搬出入路や来場者用駐車場などについて説明した。
 委員は「市街地活性化と市民会館建設の二つの課題を解決しようとしているが、東街区は敷地が狭い。街再生の道筋も見えない」「どんな会館を造りたいかをないがしろにして、市は建設を焦っている」などと発言。市が年間28万4千人とした利用者の算出に、高松市にある施設の実績を参考にしていることに「立地や周辺環境など条件が異なる」という指摘もあった。
 次回会合までに委員と事務局の市でたたき台をつくり、さらに話し合う予定。北村正博委員長は会合後の取材に「東街区で基本構想の理念を実現できるかを総合的に判断し、賛否をまとめる。採決も必要になるかもしれない」と話した。
【8月24日・長野朝日放送ニュース】「建設地変更に検討委員反発」
 長野市民会館の建設問題を話し合う検討委員会は、市が見直し提案したイトーヨーカドー東側への建設について議論しましたが、反対意見が相次ぎました。
 長野市民会館の移転先を巡っては当初、イトーヨーカドー長野店の跡地に建設する構想でした。しかしヨーカドーが移転を拒否したため、長野市は今月、大通りを挟んで東側に建設する見直し案を示しました。
 ところがこの見直し案に対し、検討委員会で反対意見が相次ぎました。主な意見は「敷地が狭く周囲にゆとりがない。基本構想を実現できない」「東側だと色々な条件が悪くなるが、それでも権堂地区に造りたいという市の姿勢が納得できない」「当初の予定地では文化施設のイメージが出来たが、東側の見直し案ではイメージできない」などです。
 見直し案は敷地面積が当初計画よりおよそ150平方メートル狭くなります。一部の委員からは見直し案を撤回し、現在の市民会館の跡地に建て替えるよう主張する意見もありました。
 検討委員会は来月16日の会合で意見を取りまとめ市に提言することにしています。これを受けて長野市は来月末までに建設地を正式決定する方針です。
   
   
   

「大型店ありき」の東街区案は断念し、
  現在地で市民会館コンセプトの実現性を高めよ

は、新たに示された市の方針は技術的に建設可能であることを示しただけで、市民会館の基本構想に照らして、文化芸術拠点としてのコンセプトを具現化できるものであることを示したものではないと受け止めています。そもそも、権堂地区に建設することに対する疑問が何一つ解決していないことこそが問題なのです。にもかかわらず、何故、こんなにも権堂に固執するのでしょうか。

私は、東街区案は当初の再開発事業を大きく変更したものであり、基本構想に示した再開発事業とは別物になっていることを踏まえ、また、イトーヨーカドーの営業継続を含め、権堂の活性化、まちづくりへの効果は「期待値」であって確実性を担保するものではないこと、さらに市民にとって将来負担となる事業費の多寡から、権堂地区の活性化と市民会館建設を切り離し、次善の策としてきた「現在地」での建設を速やかに決定し、市民ワークショップの活動を活かし、文化芸術拠点としての中身の検討にシフトすべきであると考えます。


市の方針を徹底検証、試論・私論として…
 市が示した「建設地の方針案」に沿って、権堂・東街区案への疑問と現在地での妥当性と実現性について、思いつくまま記します。

1.基本構想に示す市民会館が建設可能か(技術的検証として)について


(1)東街区案は、より窮屈な印象をぬぐえず

  
 敷地面積が約5500㎡から約5350㎡と狭くなったことから、制約が増えたことは事実。1500人のメインホール、300人のサブホールにリハーサル室や練習室などの附帯施設は入れ込むことができる、いわば技術的には可能であるということにすぎない。より窮屈になった印象は免れない。大型店やしなのきなど周辺施設との連携などが新たな利点とされるが、連携の実現性は希薄である。

(2)建設事業費、現在地で18億円縮減に、将来負担少ない現在地案

概算事業費では、東街区案が当初案より6億減の87億円と試算されている。しかし、現在地では69億円と東街区案より18億円少なくて済む試算である。新たな市民の負担は2億円で、東街区案と現在地では変わりがない。東街区案による大型店や女性会館しなのきとの連絡デッキや駐車場の確保、大型店内への公共施設の開設費など関連事業の経費は、相当な額にのぼり、新たな市民負担を投入することになる。したがって、事業費面から考えても、現在地で第一庁舎との一体的な建設によった方が将来負担は少ないのである。それこそ厳しい財政状況を見据えれば将来負担の少ない選択をすべきである。
   

   

(3)現在地でも、庁舎と一体で文化芸術拠点としての優位性の保持、可能に

「現在地は課題が多い」とされる。確かに第一庁舎との併設または合築となることから、自ずと制約があることは間違いない。しかし、例えばメインホールの規模について、現行の市民会館の利用状況(8割が1,000人以下)から1,000人規模にすることによって、面積的な制約を打開できるのではないか。メインホールは独立性を保ちつつ、サブホールを第一庁舎に組み込む(東街区案でもサブホールは中層階構造)など、庁舎との一体的な建設で、機能的な制約面も解決できないのか。駐車場も庁舎建設に伴う整備の見直しは不可能なのか。こうした検証が費用面も含めて必要なのではないか。いずれにせよ、庁舎との一体性を工夫することで、目指すべき文化芸術拠点としての優位性を保つことができると考える。
   

2.大型店の継続営業を含め、まちづくりの効果が見込めるか、について

(1)ヨーカドーの営業継続は不透明、大型店のための市民会館ではない

ヨーカドーが経営方針を変更し「既存店舗を活用した営業継続」の方向性を打ち出したことに安堵はするものの、「前向きに検討したい」という段階であり、来年の契約更新を控え、いまだ継続営業が確実になったものとは考えられない。当面、営業継続という判断ではないのか。残念ながら出口の見えないデフレ不況の中で、大型店の営業継続を担保するものは何もないと言っていいだろう。

 不確実で不安定な条件にあることを考えると、まちづくりへの効果も極めて不透明なものとなる。

 「大型店の存続に特化した再開発との印象が残る」と指摘した建設検討委員会の提言の疑問は、東街区案によって、より強まっているといわなければならない。市民会館は大型店存続のために建設するものではない。

(2)まちづくり、活性化の効果は「期待値」に過ぎない

経済効果の試算が示された。市民会館利用者数はホール稼働率70%を想定し年間28万4000人、飲食費や買い物、交通費などの中心市街地への経済効果は2億5,100万円、内、権堂周辺には9,500万円とする。総務部長が市民説明会に述べた通り「想定の期待値、やってみなければわからない」試算である。
   

しかも、年間利用者数は香川県高松市のサンポート高松コミュニケーションプラザの利用状況を参考に試算したとされるが、同施設は高松駅前に位置する施設で、条件が類似しているとは言い難い。

また、経済効果の試算では宮城県民会館における「演劇公演がもたらす経済波及効果」(仙台市商工会議所・劇場整備委員会の調査)を積算根拠に活用している。この調査は、劇団四季の「クレイジー・フォーユー」の4回の公演における利用者アンケートに基づくもの。新しい市民会館のコンセプトともするのだが、いわゆる一流芸術を鑑賞するための利用者をもとにしたアンケート調査が積算根拠にふさわしいのか、疑われるところである。都合のいい積算根拠を寄せ集めているといっても過言ではないだろう。劇場コンサルタントである「シアター・ワークショップ」の伊東社長が指摘した「特別の企画に合わせるのではなく、日常的に人が集うことが重要」とするコンセプトとも相違する「数字のトリック」といわなければならない。どんな文化芸術の拠点とするのかといったコンセプトが定まっていないことに加え、「何が何でも権堂に」との表れではないか。

(3)長野グランドシネマズの開設で権堂地区は変わったか

権堂地区の活性化について、市民説明会で権堂商店街協同組合の市川理事長が「市民会館建設による客層の変化に対応するまちづくりの必要性」を指摘されていたが、「長野グランドシネマズ」や「パティオ大門」による、「客層の変化」にどのように対応されているのか、前記の2施設が権堂地区の活性化にどのように効果をあげているのか、効果はないのかなど具体的に検証される必要がある。印象でしかないが、権堂地区の周辺における観光やアミューズ関連の新しい施設の建設が、権堂への回遊性を高め、賑わい再生につながっているとは考えにくいのである。新たに制定された商店街活性化条例に基づき、個店の魅力アップを図ることを最優先する取り組みこそが必要なのではないのだろうか。

 

3.事業実現の確実性について

(1)再開発事業は確実だとしても、賑わい再生は不確実

縮小変更された再開発事業、権利者の合意によるスクラップアンドビルドとしての実現性は高いのかもしれない。再開発事業そのものの効果、賑わいの再生の実現確実性は極めて不透明である。しかも、大型店の動向によって再開発事業そのものの骨格が大きく変更を余儀なくされた事実こそを重く受け止めるべきである。大型店の継続営業の将来性が不透明な中では尚更である。

(2)権堂の活性化は地域真ん中から、A地区・C地区を優先

中心市街地・権堂地区の活性化を考えるのであれば、地区周辺の整備よりも地区の真ん中から、すなわち映画館・相生座のあるA地区、旧富貴楼のC地区の再開発を進展させる方が、活性化への効果が期待できると考える。
(3)文化芸術と権堂の活性化と切り離し、現在地での確実性を追求
 文化芸術拠点としての発展性と権堂の活性化は切り離して考えるべきである。切り離すことで、現在地における市民会館建設の実現性の方が優位となることは明らかである。

 

4.「わかりにくい行政」「強引な行政」になっていることを反省すべき

 市長がモットーの一つにしている「わかりやすい行政」とは、市の行政判断が、市民の常識にマッチしていることが必要条件である。西街区から東街区への建設地の変更は、そもそも基本構想が想定していた計画とは異なるものである。にもかかわらず「当初の基本構想と同じ権堂B-1地区だから問題はない」とする便法は、かなり強引な詭弁といわなければならない。少なくとも市民の常識的理解からはかけ離れている。「何が何でも権堂で建設」は行政にとっては「常識」の範囲なのだろうか。市民にとっては常識を超えた、極めてわかりにくい対応であることを深く自覚し、改めるべきは即、改めることを強く求めたい。市民の理解と信頼なき市政運営は、百害あって一利なしである。市長の本意とするところではないと信じたいのだが…。

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