「新しい文化芸術活動拠点、市民会館の建設地とあり方をとことん考えたい」…5日、市民ネットで「市民版・市民会館公聴会」を開きました。約50人余りの市民の皆さんに参加いただきました。ありがとうございました。
まず最初に、市側から「出前講座」を活用して「新しい市民会館を権堂の東街区(長野大通り東側)に建て替える方針案」について説明、続いて、「新市民会館はまちづくり効果が不確実な権堂・東街区ではなく、規模を縮小して現在地で建て替えるべき。市民の将来負担も少ない」との市民ネットの考えを私から提起し、自由討議を行いました。
市民ネットの提案(公聴会で提案した内容・PDF版)
相次いだ疑問や批判
「建設決定時期が1カ月延期されたものの、10月末では早すぎる」「まちづくりと文化芸術振興は切り離し、活性化は3040年といった期間で考えるべき」「権堂地区に固執する必要はない。権堂A・C地区の活性化も、屋台村やB級グルメは一時のブーム。ブームに頼った活性化は長続きしない」「イトーヨーカドーに100万人の客というが、一日に約3千人、そんな実感はない。市民会館が権堂の活性化につながるとは考えにくい」「いずれにしても税金を使うのだから、少しでも費用が安くなる道を考えるべき、現在地で良いではないか」……と市の方針に対する疑問や批判の声が相次ぎました。
文化芸術振興のソフトが見えない
また、「箱モノ、ハードの説明だけで、文化芸術振興のためのソフトが見えない。新しい文化芸術の拠点をどのように運営していくのか、どんな文化芸術活動を育んでいくのかが重視されるべき」といったソフト面の検討を求める意見も複数出されました。「そもそも、どんな文化芸術活動を振興していくのか、一番大切な事柄が後回しになっているのでは」との危惧です。
さらに、「H24年末に閉校となる後町小学校の跡地を活用することはできないのか」など、建設地の絞り込み段階の再検証を求める意見もありました。
現在地は約5割、東街区は約1割…会場アンケートより
参加者52人に渡したアンケートでは25人から回答。サンプルとしては少ないため、統計としての重みはありませんが、傾向という意味で結果の一部を報告します。
まちづくりへの効果について
市民会館を権堂に建設することで中心市街地・権堂地区のまちづくり、活性化につながると思うか。
思う |
3人 |
12% |
思わない |
18人 |
72% |
どちらとも言えない |
4人 |
16% |
建設地について
権堂東街区と現在地、どちらに建設する方が文化芸術活動の拠点としてふさわしいと思うか。
東街区 |
2人 |
8% |
現在地 |
12人 |
48% |
どちらとも言えない |
7人 |
28% |
その他 |
4人 |
16% |
権堂に市民会館では中心市街地・権堂の活性化につながらないと思うが7割を占めています。行政には重く受け止めてもらいたいと思うとともに、権堂に固執するのであれば、まちづくりへの効果について説得力のある提案・説明がもっと求められているということでしょう。
建設地では東街区が約1割、現在地が約5割という結果です。建設地で「どちらとも言えない」「その他」を合わせて44%にのぼる点が特徴であり、今の市民合意の水準を示すものとなっているのではないでしょうか。
限られた時間の中での意見交換となりましたが、私としては、参加された大方の皆さんから市民ネットの考え方について理解、支持をいただいたものと受け止めています。
市民会館建て替えの市民合意は未成熟、さてどうするか
しかしながら、実際に市民の皆さんの意見を聴く会=「公聴会」を開いてみて考えることは、新市民会館の建て替えについて市民の間に理解と合意が広がっているという状況には程遠いということです。今の状況で、建設場所がどこになろうと10月末に建設地を決定し、建設が進むことで本当に良いのだろうかと考え込んでしまいます。文化芸術活動をどのように振興していくのか、どんな拠点とするのか、大切なことが後回しになったままで、建物をつくってしまうことは「箱モノ」批判をかえって助長してしまうのではないかとの不安もあります。
私は、有利や借金である合併特例債を活用することを前提にして建設地のあり方を考えてきましたが、市民合意が未だ未成熟な今日、ここは一旦立ち止まって、第一庁舎の建て替えを優先し、市民会館は合併特例債の活用にこだわらず、腰を据えた市民的議論を改めて巻き起こし、文化芸術の振興の中身の議論と合わせ、建設地を考え直していく道を選択することの方が市民利益にかなっているのではないかとも考えます。合併特例債を活用しないことによる新たな市の負担は約40億円とされていますが、市民合意を第一に50年スパンで考えれば、民主主義のコストとしては決して高くはないのではないかと思うからです。悩むところです。
迫る決定期限、責任は重い
10月末とする建設地決定期限が迫る中、市議会の対応をはじめとして議論は大詰めを迎えます。10月18日には有識者で構成される「市民会館建設検討委員会」で「提言」がまとめられることに、そして20日の市議会特別委員会では市長を説明員に招き、集約的な議論を行うことになっています。また並行して、議会各会派と市長との懇談も設定され、市民ネットは19日に行うことになっています。責任の重さを痛感しつつ、思い悩む日々です。ご意見をください。
【SBC放送より…5日の夜に放映されたもの、残念ながら映像はありません】
建て替えをめぐって議論がある長野市民会館について市民の意見を聞く会が開かれ、参加者から疑問の声が相次ぎました。この会は社民党の市議会議員でつくる会派「市民ネット」が呼びかけて開かれました。
初めに市の担当者が中心市街地の活性化が見込めるなどとして、権堂に移転・新築する方針を説明しました。
これに対し市民ネットの布目裕喜雄議員は「市民会館では権堂の活性化にはつながらない。費用面からも現在地での建て替えが有利」と提案、参加者からも「文化と街の活性化は切り離すべき」といった意見が出ました。
長野市は15日まで市民からの意見を受け付け今月中に建設場所を決める方針です。
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