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2010年1月8日
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不確実性残す…市民会館「権堂地区で建て替え」の基本構想案


市民会館・第一庁舎ともに建て替え、市民会館は権堂に。事業費は約80億円
 1月7日、長野市民会館及び第一庁舎の耐震対策を「建て替え」とする基本構想案が議会各会派に市長から示された。【基本構想案の概要は別記下段】焦点である市民会館の耐震対策は、耐震改修ではなく「建て替え」とし、音楽ホール機能を持つ1300席~1500席程度のメインホールと演劇対応ホールである300席程度のサブホールに、リハーサル室や楽屋、練習室を整備、建設場所は「権堂B地区(現在のイトーヨーカドーの場所)が適している」とした。総事業費は1300席の場合で76億7千万円、1500席の場合では79億1千万円、補助金や合併特例債の活用で市の実質負担額は23億円~24億円との試算が明らかに。この市負担額は、既に保有している「文化施設建設基金」の23億5千万円の投入でおおよそ賄える算段となる。【写真は市民会館建設地とされるイトーヨーカドーの場所】
  ■市役所第一庁舎の基本構想案
  ■長野市民会館の基本構想案

市民会館、駅前か権堂か
 「駅前か、権堂か」の選択では、駅前が交通結節点であり賑わいや人口増加の効果は期待できるものの、商業施設との「複合施設」となることから独自色が希薄となること、市民会館が中階層に位置する施設となり資機材搬入や災害時の避難等において課題があること、さらに大型商業施設が他の店舗等に及ぼす影響が不明確なこと、交通渋滞の問題を含め駅前への一極集中を避けたいとの判断から、「権堂地区」を優先させたものである。再開発事業にかかる権堂地区の地権者が長野電鉄の大地権者をはじめ、22人中21人が大筋合意していることも大きな要因となっている。【写真は大通り東側で商業施設の移転先、駐車場や事務所と併設で整備される場所】

大型店の動向に左右される再開発
 端的に言うと、大型店の動向、つまり東急百貨店とイトーヨーカドーの問題となる。駅前地区の東急百貨店(東急電鉄の自社ビル)は建物の耐震診断を実施したものの、耐震対策をどのように行うのか、さらに今後、店舗をどのように展開するのかが未定であり、合併特例債の活用時限(タイムリミットは今年の8月)を考えると対応が困難であることが最大のネックになっているようだ。一方、権堂地区のイトーヨーカドーは長野電鉄の土地・建物を賃貸して営業を行っている商業施設で、再開発計画では現在のイトーヨーカドーの大通りをはさんだ東側に商業施設を移転させる計画となっている。問題はイトーヨーカドーに一旦は休業・閉店状態となることを見据えつつ営業継続の意思があるか否かである。イトーヨーカドーが撤退となれば、権堂地区の再開発事業は成り立たないこととなる。権堂地区での市民会館建設は、再開発事業組合が8月までに設立されることが大前提となる。
【写真は権堂地区での予想図】
不確実性残す基本構想案
 すなわち、基本構想案の最大の課題は、再開発事業がそもそも成り立つかどうかが未だ不確実なことにある。市長も「行政として、イトーヨーカドーと営業継続を確約する必要がある」としている。これからの問題である。ゆえに再開発事業が実施できない場合も想定し「現在地」を候補地として残さざるを得なくなっているのだ。さらに、再開発事業予定地での市民会館建設は、市民会館単独の建設事業費に加え、再開発事業そのものに対する市費投入も必要となる。権堂B地区の再開発事業の総事業費は約115億円とされている。総体的な事業費負担を勘案する必要もあろう。

権堂地区が抱える課題は解消できるか
 駅前か、権堂かの選択は、かなり難しいところだ。いずれも再開発事業に絡むことから、なお難しくなる。そもそも現在地を含め3カ所に絞り込んだことの妥当性に議論が残る。文化芸術の拠点づくりはまちづくりそのものであり、多極的な展開が必要である。駅前一極集中ではなく、権堂地区再生の目玉にしたいとの考えも解らないわけではないが、建設検討委員会が「提言書」(1月4日市長に提言)で示した課題、すなわち、権堂商店街との賑わいの相乗効果が不明確なこと、大型店の存続に特化した再開発との印象があること、権堂が持っているまちのイメージと文化芸術拠点としての市民会館とのイメージの調和に疑問が残ること、交通の利便性が低く長野電鉄の騒音・振動対策が必要となることなどについて、もっと検証する必要があろう。【写真は権堂地区の再開発計画書より】

市民的議論の深化を
 いずれにせよ、建設地が「権堂地区」に絞り込まれ、事業費の概算が示されたことで、より具体性を伴った市民会館建設議論になることは間違いない。市では、2月1日号の広報に合わせ「市民会館・第一庁舎基本構想案」の概要を全戸に配布し、市民の意見を求めたいとしている。また区長会には1月13日、住民自治協議会には2月2日に説明するそうだ。市民の皆さんの積極的な意見提出を期待したいと思う。

1月一杯に議会側は見解まとめることに
 市長からは、議会に対し1月29日までに会派ごとに見解を文書にまとめ提出してもらい、2月上旬には基本構想案に対する見解・回答について意見交換したいとしている。
 私としては、
①建て替えの費用対効果及び優位性、②使い勝手の良い市民会館の規模・機能、③建設場所・権堂地区の課題解決の展望、④合併特例債の活用を含む事業費における市負担・市民負担、⑤新しい市民会館の維持運営費の見通しなどについて、十分に検討し、自分自身の考えをまとめたいと考えている。
 
市民の皆さんの意見投稿をお願いしたい。
市が提示した「長野市民会館・市役所第一庁舎の基本構想案」の概要

市民会館 第一庁舎
耐震対策 建て替え 建て替え
基本理念 人と環境にやさしい”文化芸術創造のステージ” 22世紀の市民につなぐ”環境未来型庁舎”
建設コンセプト ●豊かな心と多彩な文化を育む”文化芸術との出会いの場”
●子どもたちの”文化芸術の育成の場”
●長野の文化力を向上させるための”長野を象徴する文化芸術拠点”
●市民が集い活力あふれる”賑わい交流拠点”
●建築の新た可能性を示す”環境建築拠点”
●地球温暖化防止に取り組む”ECOモデル庁舎”
●市民の良好な生活環境を守る”安心モデル庁舎”
●市民に快適環境を提供する”次世代モデル庁舎”
施設構成 ●メインホール(集会や講演会にも対応可能)…1300~1500席程度の音楽ホール
●サブホール…300席程度の演劇ホール
●付属施設等…リハーサル室・楽屋・練習室・市民ロビー等
●第一庁舎相当施設
●ワンストップサービスのコーナー開設
建て替え時期 平成27年4月供用開始 平成26年4月供用開始
施設規模 11,100㎡~11,500㎡(延べ床面積) 現第一庁舎の延床面積12,000㎡を基準
建設場所 現時点では権堂B地区が適していると判断される
*再開発事業が実施できない場合は現在地
現在の市民会館を解体した跡地
*現在の第一庁舎跡地は駐車場・緑地を整備し、H27年10月供用開始
事業費 77億円~80億円 約50.3億円(33万円/㎡)
市実質負担額 22.5億~23.2億 31.1億
財政計画 「市政90周年記念文化施設建設基金」及び「合併特例債」の他、国の補助金を活用 「庁舎整備基金」「合併特例債」等を活用


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