9日に行った一般質問の内容です。実際の質問ではカットしたり補強したりです。再質問・関連質問のためのメモも入れてあります。一問一答での感想は「徒然日記」で。
11番 市民ネット、布目裕喜雄です。一問一答を選択しますが、市民のわかりやすさに着目して、通告のテーマ毎に区切って、順次質問します。
1.公共交通の再生と利用促進策について
(1)川中島バスの不採算路線の見直しを受けて、市ではバス事業者と連携し「長野市バス路線等研究会」を設置し、「長野市バス路線網再編基本計画」をベースに新しいバス路線網を構築する、さらに地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会の申請、「総合連携計画」の新年度策定等、持続可能なバス公共交通システムの再構築に向け、精力的に取り組んでいる最中です。従って、まずはこの「路線等研究会」の協議を見守りたいと考えていますが、いくつかの提案をし、検討・協議に生かしてもらいたいという主旨で質問します。
(2)7月に実行委員会で開いた「公共交通を考える市民の集い」は、市民の皆さんら450人が参加、活発な意見交換を通じ、「乗って残す、乗って活かす」という意識の広がり、マイカー利用の抑制につながる取り組みの第一歩になったのではと思います。市長にもパネラーとして参加いただきました。ありがとうございました。「行政、事業者、市民がそれぞれ当事者意識を持ち、まちづくりと一体で持続可能な公共交通に積極的にかかわる必要がある」との指摘を改めてしっかりと受け止めたいと思います。
(3)さて、川中島バスから提示された不採算となっている生活バス路線の見直し案の検討、対策についてです。見直し案はあくまでも「案」であって、「廃止ありき、減便ありき」でことが進められてはならないと思います。今後、市との協議の中でどのように対応するのかが決められていくものだと受け止めています。事業者には、事業再生計画の途上ではありますが、見切り発車しないように強く求めるとともに、沿線の利用者・市民の切実な声をしっかりと踏まえ、対応が決められなければなりません。
(4)こうした中で、まずは川バスが不採算路線の見直しとして示した廃止・減便路線をどうするのか、沿線住民・利用者の生活の足をどう確保するのかという当面の課題、そしてさらに持続可能なバス路線網を市内にどうつくっていくのかという大きな課題の二つが同時に問われていると考えます。不採算路線、とりわけ廃止路線への対応として、沿線からの存続要望が強く出されている中、利用者、市民サイドから考えれば、廃止を大前提とすることなく、利用状況等を鑑み沿線にパークアンドライドによるマイカー駐車場、あるいは駐輪場を設置し、利用促進策を講じることを通して、川バスに直営・自主運行路線として維持・存続してもらう、実証実験運行で1年間は存続させるといった対応も必要ではないでしょうか。また、利用者が蚊帳の外にならないよう、市民・利用者の声を聞きながら案をまとめていく手立てを講じるべきであると考えますが、どのように考えますか。
*川バス労組の廃止路線の利用者のアンケート結果…58%が「代替交通
手段なし」と回答。この点において、「足はなくならない」という明確なメッセ
ージがなければならない。
(5)公共交通システムづくりには市民参加が不可欠です。バス路線沿線の全住民に対し、利用状況アンケートを実施、その回答状況に合わせて自宅から目的地までのバスの乗り換え案内や時刻表を周知しバスの利用率を向上させるなどの取り組みを検討してもらいたいと考えます(本来は事業者がマーケティング、利用促進の一環で行うべきだが)。さらに環境への影響をわかりやすく伝えるため、車からのCO2排出量を個々に計算し、周知するといった取り組みも重要です。因みに宇都宮市では沿線約4900世帯に対するアンケートにあわせ、時刻表などをセットした「バス情報グッズ」を郵送した結果、24.6%が車からバスや鉄道に乗り換える成果があったとも報告されています。前向きな取り組みを求めたいと思います。
(6)7月の市民の集い・シンポジウムで市長は、利便性を上げるためにバス情報案内システムやICカードの導入、バスレーン(専用・優先)の拡大、低公害車の導入などを提起、とくにバス情報案内システムは「厳しいバス事業者には困難、市の責任で行う必要がある」と言及、また、交通渋滞解消、マイカーの利用抑制を目的とした、かつての「さわやかふれあい通勤市民運動」について、「再構築」が必要であるともしました。早期の事業化を期待するものです。
特に「さわやかふれあい通勤市民運動」については、現在、国交省が一定の補助を持って進める「エコ通勤」運動と合わせ、長野市版ノーマイカーデー推進市民運動として具体化を急ぐべきであると考えます。ただ啓発・啓蒙だけではなかなか進みません。例えばモデル企業を設定し、実施企業に対し法人市民税の減免を講じるなどといった政策誘導が必要です。
また、公的機関・市役所から、改めて「エコ通勤」を提唱・実施し、せめて10人でも公共交通や自転車・徒歩に転換しうるような取り組みを積み上げていくことが大事です。
*市役所職員のマイカー通勤は全体で1262人、45%。育児や通勤場所の
都合でやむを得ない場合が多いとは思うが…。
*本庁で240人、18%。その他・外職場で1022人、70.8%。ここに少しで
も可能性はないか。
合わせて、増加する高齢者の交通事故への対応と公共交通機関への利用転換を促すために、「高齢者免許返納支援制度」を利用促進策のメニューの一つとして実施していくことを検討してはいかがでしょう。
それぞれ見通しを含め、所見をうかがいます。
(7)「見直し路線に対し赤字分を補てんして維持するといった対処療法では限界がある」との指摘は、その通りであると思いますが、さらなる合併、市域の拡大、中山間地の拡大を見据えると、生活バス路線の再生・維持はより重要性を増してきます。生活にかかわるバス交通を確保するために、市の事業として生活路線運行費補助制度、車両更新のため補助制度などを新設し、対応することも必要であると考えますが、いかがでしょうか。
[再質問として]特別交付金で措置されるバス交通の維持対策費
*バス交通政策に関しては、特別交付税で8割が措置。H18年度でバス交通
対策費は1億4412万(別掲)、交付税需要額に積算される額は(乗り合いタ
クシーが特交対象となっていないため)1億2300万円となる。これの80%、
1億900万が措置されている。
*財政当局は、特別交付金は特定財源ではないという言い方をするが、重要な
施策の展開に当たり、パイとして財源を位置づけ、特定財源化し対応することが
必要である。
*歩行者・公共交通優先のまちづくりを体系化、歩いて暮らせるまちづくりにつな
がる課題だが、公共交通優先を明確にし、コンパクト化を図るまちづくりを目標に。
総括的要望として。
2.住民主権、住民自治協議会の自立した活動の創造について
(1)8月8日の安茂里地区の元気なまちづくり市民会議では、「住民自治協議会の意義が住民や団体関係者に十分に理解されていない」「やらされ感が今ですら倍増している。これではますます担い手がいなくなる」「市の説明が一方的で、役員は混迷している」「選択事務というが、どれも必要な事業で裁量の余地がない。限られた財政では無理」との率直な意見が相次ぎました。
(2)私は都市内分権、住民自治協議会は、地域主権=住民の合意と参加による自治を進めていく観点から、不可欠な新しい自治の仕組みであると考えています。しかし、いま大事なことは、都市内分権や住民自治協議会の意義や役割が未だ市民のものになっていない現実をもっと直視することです。確かに、住民参加のもとにいろんな試み、努力がされていますが、試行錯誤の段階です。総じて残念ながら各種団体の役員どまりとなっているのではないでしょうか。ここが一番の課題だと私は感じています。
「過渡期は大変、乗りきってもらいたい」(企画政策部長)だけでは、住民の前向きな合意は作れません。自治意識のもとに市民の自主的な参加が組織されていかなければ、住民自治協議会の形ができても「魂はいらず」が懸念されます。住民と行政とのまさに協働で、柔軟に「じっくり腰を据えて取り組むべき」と強く注文したいと思います。
(3)また、住民の側から具体的なビジョンが描けないことも課題であると感じます。これを克服するには、わかりやすい理想形と明確な基準、そしてバリエーション豊富な具体例の提示が必要です。ここに行政の支援の中身があると思うのです。住民の側から見れば、豊富なバリエーションが示される中で、「ここまでならできる。ここまでを今年の課題にしよう」との「選択と集中」が可能になると考えます。
(4)そこで、4点質問します。
一つは、現状認識についてです。冒頭申し上げた様な意見が相次ぐことについて、どのように考えているのか。何が課題になっていると認識しているのかをまず質問します。
二つに、現状、各種団体の役員どまりの住民自治協議会から、自治に基づく住民参加の住民自治協議会へ移行・発展するためには、少なくとも5年位の年月をかける必要があるということです。試行錯誤を大切にして、時間をかけて育んでいくという基本姿勢で臨むべきです。H22年の補助金一括交付を契機としつつも、じっくりと時間をかけ市民総参加による協議会の活動の定着を図ること、スケジュールありきで進めないという対応が必要であると考えるがどうですか。
三つに、十分な財源移譲を図るということです。補助金の一括交付にあたり、地域のインセンティブを働かすためにも、各地区20%くらいの補助金上乗せを図り、活動を推進させる必要があると考えますが、見解を伺います。
四つに、経験交流の場を組織することを提案したい。今の段階では、行政主導で進めざるを得ませんが、住民自治協の意義を市民の共通認識にしていくための場を設けてはどうか。
魂の入った真の住民自治組織へ。何れにせよ、この「移行期」「過渡期」を大事にしないと「成熟期」は訪れないことを肝に銘じて、取り組まなければならないことを強調したい。
3.市立公民館への指定管理者導入について
(1)先の安茂里地区の市民会議において、住民自治協議会の事務局・人材スタッフの確保に関連し、唐突に市立公民館の管理運営にあたり住民自治協議会を指定管理者とする考えが示され、H21年度までに地区との協議を進め、H22年度からの実施を予定する。さらに、公民館事務室を住民自治活動の拠点とし、館長をはじめとする館職員が、住民自治協議会の事務局としての任務も兼務することを想定しながら、協議を進めるとしました。
(2)公民館は社会教育法の定めにより公的な社会教育機関であり、地域において地域住民と連携し生涯学習をすすめる拠点であり、住民自治によるまちづくりの拠点であるという点において住民自治協議会と一体あるいは連携していくことを否定しません。
(3)しかしながら、次のような点で大問題であると考えます。
一つは、進め方の問題。公民館の指定管理者制度導入は、館長さんら現場にとって「寝耳に水」に近いトップダウンであり、住民自治を育てていくという考えとは対極にある発想だということ。
二つに、住民自治協議会の人材確保という点から公民館職員を充当させるというのは、効率性だけを考えた拙速な対応であること。
三つに、住民自治協議会の黎明期にあって、公民館事業を担うだけのノウハウが確立されているのかという問題です。指定管理者制度導入にあたっての民間のノウハウを生かし市民サービスの向上を図るとする制度の目的に合致する段階にあるのだろうかということです。
総じて拙速すぎるといわなければなりません。
(4)公民館への指定管理者制度導入計画は、いったん白紙に戻し、公民館事業は直営で生涯学習の地域拠点として充実させる、その上で、支所の支援体制の下に住民自治協議会との連携を構築していくことを求めたいと考えます。明快な見解を伺います。
[再質問として]
長野県公民館運営協議会のH19年10月の「公民館の充実を求めるアピール」をどのように受け止めているか。
*公民館は「住民自治と地域連帯を基盤とする総合的な地域づくりの拠点」
と位置付け、さらに拡充する。
*アピール…「民間委託等に求められる経済的効率化が公民館機能を妨げ
る恐れがあるので、公民館への指定管理者制度導入はふさわしくなく、導入
検討にあたっては、この点を十分に考慮していただきたい」
*館長さんら、現場の声にしっかりと耳を傾けて対応せよ。
4.行政サービスに対する利用者負担の見直しについて
(1)事業の公益度と私益度、事業実施の義務度という二つの物差しで作成した「行政サービスの利用者の負担に関する基準」に基づき、市民の負担額の「試算」を明らかにしました。対象とした146事業のうち、施設利用料や集団検診など86%にあたる126の事業で、市民負担額が現行の額を上回ることになっています。つまり、利用料・使用料の値上げに進むというものです。私はこれまでも、この問題について、利用者負担の算定基礎となる統一ルール・論理的基準は必要であるとの認識に立ちつつも、市民の必要度・満足度を第三の基準に加え、成人学校受講料値上げのような「机上の論理」で対応してはならないと主張してきました。今もそのように考えています。
(2)そこで具体的に質問します。(2・3・4の質問はカッと)
一つは、基準が一人歩きしてしまうことへの懸念が拭えない。市長が述べた様にこの「基準を機械的に当てはめることはしない」こと、すなわち「値上げありきではないこと」を大前提として確立し、担当部署に徹底することを改めて求めたいが、いかがか。
*少年科学センター1.2倍 250円が305円に
茶臼山動物園1.7倍 500円が830円に
博物館4.7倍 300円が1400円に
市民プール(城山・安茂里など)5.07倍 子ども100円が500円
*胃がん検診2.3倍(900円が2070円)をはじめ、がん検診は軒並み1倍以上
*指定管理者が管理運営し、「利用料金制」を採用している施設の課題
二つに、政策的配慮が必要かどうか、という点で、政策的配慮の基準・ものさしをしっかりと設け対応すべき。市長の「鶴の一声」ではなくて、市民にとっての必須度、必要度、満足度といった市民が納得できる基準を作り具体的な検証を進めるべきと考えるがどうか。
三つに、コスト削減や稼働率の向上などの経営努力の余地があるか、ないかについても、数値目標を持って具体的検証を進めるべきであると考えるがどうか。
四つに、負担割合が1倍以下のサービスについて、同様の基準で値下げすべきであると考えるがどうか。
*前立腺がん検診0.6倍/市営駐車場0.3~0.9倍
五つに、パブリックコメントの在り方について。市長は記者会見(7月8日)の中で「個人的には」と断りつつ、「パブコメのやり方が間違っている」と述べました。まちづくり提案制度とされるパブコメは、市民参加型の開かれた透明性の高い市政運営のための道具です。そのためにはわかりやすい具体の内容で意見を求めることが肝心です。したがって、具体的な利用者負担額について、パブコメを実施すべきであると考えますがいかがですか。あるいは、「まちづくり提案制度実施要綱」にある「市民アンケート、市政モニター、公聴会等」の手法で市民参加と合意を図るべきでしょう。所見を伺います。
*「無料のサービス」についても「見直しを行う」としている問題
5.国民保護法に基づく有事訓練について(時間で割愛)
(1)11月26日に国民保護法第42条及び長野市国民保護計画に基づき、国・県との共同で国民保護実動訓練を行うとされています。大規模テロという緊急対処事態を想定したものとは言え、武力攻撃事態への対応にも連動する有事訓練です。私は、テロや武力攻撃事態を想定する「有事」が、訓練の名のもとに「平時化」していくことに強い危惧をいだきます。有事=戦時を想定する中で、訓練への住民総動員をはじめ、強制などに及ぶ人権侵害が憂慮されるからです。戦争やテロが当たり前の社会にしてはなりません。戦争やテロを未然に防ぐことが大切なのです。
*ビッグハットでのサリン散布、JR長野駅ではサリンを保持した立てこもりを想
定した訓練で、市民の救護・避難、立てこもり犯の鎮圧、避難所の開設などを
訓練目的。また市職員が事態に的確に対応できるよう図上訓練も合わせて
計画。市民参加を含め1000人規模を想定し、訓練としては最大級になるのが
「売り」。全国では4回目の実動訓練。当日は、長野駅やビッグハット周辺では
迷彩服や防護服を着た自衛官達がやたら闊歩することになる。
(2)長野市の国民保護計画では「我が国の平和を維持し、武力攻撃の発生を未然に防ぎ、国民の安全を確保するためには、国の平常時からの不断の外交努力により、これらの発生を未然に防ぐことが重要である」と謳いました。問題はこの「普段の外交努力」が行われているのかという点です。名古屋高裁の違憲判決にも関わらず、イラクへの自衛隊派遣を中止せず、アフガンやイラクへの戦争を継続するために米軍への給油活動を続けていることは、殺戮と憎しみの連鎖を断ち切り、真の平和を構築する「普段の外交努力」とは言えません。
(3)有事訓練は自然災害に対する防災訓練とは全く異質の訓練です。有事実働訓練を行うよりも、民意に立って「普段の外交努力」を行えと政府に迫ることに、さらに有事訓練よりも自然災害に対する防災訓練にこそ精力をつぎ込むべきであると考えます。見解を伺います。
(4)計画時からの情報の全面公開を徹底するとともに、避難訓練等において市民はもちろんのこと、指定地方公共機関等に対し、基本的人権を侵害することなく、強制に及ばないよう厳格に対処されることを求めます。いかがでしょうか。
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