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05年10月1日
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05年9月議会を振り返って(その1) 防犯条例、アスベスト対策で一般質問

9月議会はアスベスト対策費や農作物災害に対する緊急対策費、中山間地の生活道路整備や河川・水路の改修費などを含む12億7900万円の補正予算と公の施設の管理を民間等に開放する指定管理者制度の導入に伴い、152施設について新たに指定管理者を指定する議案等が審議、すべて原案通り可決されました。
9月12日には一般質問に立ちました。衆院選投開票日の翌日の質問ということもあって、総選挙の結果についての感想も述べました。総選挙で十分な基礎調査ができないままの質問で、突っ込み不足は否めません。反省しかりです。質問のテーマは防犯条例の是非とアスベスト対策の強化です。
指定管理者の指定に関する議案審議にあたり、十分な資料提供・情報開示がされないという事態が発生。「住民福祉の充実、市民サービスの向上とコスト削減を目的とする指定管理者制度だけに、議会にも市民にも十分な資料・情報が開示されないこと事態が問題である」とし、21日の本会議において、議案に対する「賛成討論」という形にはなりましたが、問題提起し、市当局の誠実で真摯な対応を求めました。
9月議会は人事議会です。所属の委員会が変わり、今度は建設企業委員会と観光振興対策特別委員会に所属しました。


質問の内容 05.09.12

 43番、市民ネットの布目裕喜雄です。
 さて、寝不足で今日を迎えられた皆さんが多いのではないでしょうか。それぞれ政治性を発揮されたと思いますが、総選挙の結果は、予想をはるかに超えた自民党の圧勝に終わりました。有権者の審判としてしっかり受け止める必要があると思いますが、閉塞感を打破したいという有権者の共感を誘い、郵政一本に絞った劇場政治にしてやられたなとの感を強く抱きます。しかしながら、社会保障の破壊、増税や憲法改悪などの重要問題を徹底的に隠してきた小泉さん流の政治が、有権者の皆さんから手放しで信任されたとも、思いません。主権者の一人としても、地方議会の議会人としても、厳しく対決していかなければと考えているところです。
質問に入ります。質問は順番をかえて「通告」の2番目からはじめます。

1.まず、いわゆる「防犯条例」について質問します。

(1)
今年初めて実施された「お知恵拝借、長野市民施策・事業提案制度」の募集で、地域の皆さんがウォーキングしながらパトロールの役割も担っていこうとする「地域パワーで子ども安全」という提案が優秀賞に採用されました。健康と安全の一石二鳥をかねた、すばらしい市民参加の提案だと思います。また先ごろ、老人クラブの方から、「毎朝散歩しながら子どもに声をかけているが、避けて逃げてしまう子どももいる。安心パトロールなどと書いた腕章があれば、気持ちよく声かけができる」との声ももらっています。こうした活動の積み重ねが、地域のつながりを深め、安全を高めていくことになると思います。
 さて、そこで現在、長野市で検討されている「犯罪防止に関する条例」作りについてです。条例策定検討委員会では「防犯まちづくり推進条例」といった名称変更やいくつかの点で修正する議論が行われていますが、基本的に、条例案は、市民の防犯意識の高揚と自主的な防犯活動の推進の二つを目的とし、市行政と市民、事業者の役割を定め、分担しながら、警察と密接な連携を図り、犯罪のない住みよいまちづくりを進めようとの趣旨に大きな変更はないようです。10月には市に答申され、12月議会に条例案が提案される予定のようです。市の「まちづくりアンケート」で「最近の犯罪状況」に対して94%の市民が「不安に感じている」と応え、市行政の課題として「犯罪防止の推進」が4位にランク、行政の支援策として「防犯条例の制定」が34%に上ったことなどが条例制定への動機だと指摘されています。
(2)こうした条例は、警察の提案と後押しにより、生活安全条例という形で全国に広がっています。県下でも1月現在で113市町村中77市町村で制定されています。
 虐待や殺人事件が連日発生している中にあって、「安全」「安心」は私たち市民の強い願いであり、まちづくりのキーワードとなっています。地域社会の中で連帯意識を高め、互いに支えあう“絆”を作っていくことは大切なことです。
しかし、基本的な問題として、防犯を目的とした条例によって犯罪が減少したりなくなったりするのでしょうかということを問いたいと思います。条例制定自治体で、犯罪減少の特筆すべき効果が上がっているのでしょうか。長野市ではH13年度以降、犯罪件数は減少していますが、なぜ今、条例なのでしょうか。さらに問題は、検討委員会の中で市は「生活上の権利や自由を制限される可能性はまったく否定できないわけではない」と人権の制約があることを認めていることにあります。罰則等を定めない「理念・規範条例」とはいえ、人権を制約し、市民に対する強制力が働くことになる条例を長野市の法律として作るべきではないと思います。「自分のことは自分で守る」といった防犯意識を高揚させることが、逆にエスカレートし、町中で「怪しい人」「不審者」を探しだし警察に通報するという効果を生み出すことになりはしないでしょうか。私は、条例の持つマイナス面、デメリットを考えたときに、相互に監視しあう監視社会を増長することになり、本当の意味での「互いの人権を認め合い支えあう地域の“絆”」を阻害することになってしまうとの懸念、疑念を拭い去ることができません。検討委員会の議事録を読んでも、疑念は一向に晴れません。どのようにお考えですか。
(3)「条例によっては犯罪はなくならない」、この当たり前のことを基本にしたうえで、防犯対策の推進について、二つのことを提案します。一つ目は警察官・おまわりさんの抜本的な増員と空き交番の解消を実現することです。そもそも犯罪防止の鍵は、警察、とりわけ刑事対策にあります。警察の責務は「犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持にあたること」(警察法2条)とされています。犯罪の予防は基本的に警察の仕事です。だからこそ拳銃を所持させ強制的な力を執行できるようにしているのです。この強制力を持った役割は行政や市民で肩代わりできるものではありません。だから、県議会でも県職員の交番への派遣が否決されたわけです。6月に県警が調査した「交番の不在実態調査」の内容が明らかとなりました。午前6時から午後6時までの12時間のうち平均不在時間は6時間12分にも上り、事件・事故等が多い長野市など都市部の交番では不在時間は7時間以上に及ぶ交番がほとんどという実態が浮かび上がりました。長野市の先のアンケート調査でも要望の強い「警察にパトロールを強化してほしい」「自主的なパトロールに警察官が同行してほしい」との声に応えきれない警察の実態があります。警察官OBによる「交番相談員」制度を活用するとともに、警察官を増員し十分なパトロール体制をつくるとともに空き交番を解消することが防犯の最大の課題です。人権を制限する条例を作ることよりも、県に対し、警察官の増員、空き交番の解消を強く求めていくことが先決であると考えますが、いかがですか。
(4)二つ目は地域の自主的な活動への財政的・組織的な支援の強化です。今、市内では防犯協会の皆さんによる自主的な防犯活動が展開されています。また、子どもたちの安全を守るため、情報を提供する安心ネットワーク作りも始まっています。地区毎に区長会や防犯協会が中心となって各種団体の皆さんと連携し、子どもたちの安全、お年寄りの安全を守るための自主的な活動を強めていくことが大切です。そのために行政がどんな支援ができるのかを考えるべきです。条例がなくても、防犯パトロールの強化、防犯灯の設置拡大、小・中学生への防犯ブザーの無償提供、安全情報提供のシステム化など、行政が支援できることはたくさんあるはずです。こうした活動の積み上げによって、犯罪を起こさない、犯罪がおきにくい環境がつくられると考えます。
 さまざまな障害を持っている人や外国人、コンビニに集まる中学生や高校生に「不審の目」をもって接することになりかねない「条例」をあえてつくるのではなく、今提案したような方法で自主的な防犯活動を活発化されることを強く求めたいと考えますが、いかがでしょうか。地域振興課へのパブリックコメントでも15件の内12件が異議ありとするものでした。「防犯まちづくり」といった課題で、多角的に、より市民に開かれた慎重な検討を進めるべきです。

2.次に、アスベスト対策についてです。

(1)
「静かな時限爆弾」と呼ばれるアスベスト、今、この時限爆弾が爆発し始めています。工場従事者だけでなく、家族や周辺住民へと衝撃的な広がりを見せるアスベスト被害は、「アスベスト公害」ともいうべき事態に直面しています。90年代、アスベストが原因となる労災認定、中皮腫死亡者の急増にもかかわらず、国は場当たり的な対応に終始し、法規制に踏み込まず、問題は放置され続けてきました。今日、危険性を知りつつ抜本対策に乗り出さなかった行政の不作為責任と、石綿を使い続けた事業所の「企業としての社会的責任」が重く問われています。
 厚生労働省の人口動態統計(95年から)では、中皮種の死亡者数は年々増加し2003年には878人に達しています。早稲田大学の村山武彦教授(リスク管理)は、2040年まで10万人が中皮腫で死亡すると予測しています。また世界11カ国のアスベストの消費量と中皮種の死亡者数を解析した研究では、アスベスト170トンにつき1人が中皮腫で死亡していたとし、この結果から日本の動向を予測すると、中皮腫の死亡者数は年間2000人を超えることも予想されるといわれています。
 市民の命の安全を考えたとき、アスベストの即時全面禁止が求められているとともに、2010年以降に集中するとされる70年代から90年代にアスベストが多用されたビル等の改修・解体への十分な備え、特別立法による健康被害者への労災認定、救済措置がまったなしとなっています。
(2)市においては、相談窓口や「Q&A」の開設をはじめ、突貫作業で調査・除去対策に取り組まれていることに、本当にご苦労様ですと申し上げたいと思います。
その上で、アスベストの使用調査、除去対策についてまず三点を伺います。
 一つは、1986年の学校パニックといわれた時期、1987年に行われた学校施設におけるアスベスト使用調査が、吹き付け石綿3製品(トムレックス・プロベスト・コーベックス)の調査にとどまる不十分なものであったことに関連して、88年には調査対象から除外された11製品が吹き付け石綿であることが判明し、旧文部省は「注意喚起」を促したとしていますが、この「注意喚起」に市はどのように対応されたのでしょうか。「注意喚起だけ」という国の無責任さにはあきれますが、東京都の練馬区のように区が有する施設について継続してアスベスト調査を実施、除去対策を講じてきた自治体もあります。長野市はどうだったのでしょうか。また、今回の再調査では、因みに文部科学省は具体的判断基準として30品目(吹き付けアスベスト9品目、石綿を含有する吹き付けロックウール17品目及び湿式石綿吹き付け材4品目)を示していますが、すべてについて完全に調査されているのでしょうか。念のために伺います。
 二つは、今回の国がまとめたアスベスト対策における施設調査では、従来は1955年から1980年までに建てられた施設を対象としてきましたが、今回、国の指示は省庁間にバラツキがあるものの、教育関係施設や病院や社会福祉施設では1996年以前に建てられた施設へと調査対象が拡大されたことへの対応です。80年代から90年代にかけてアスベストを1%以上含むロックウール石綿、多いものでは20%以上含んでいるものもあるようです。これらが多く使われていたからです。対象施設の数はかなり増大すると思われますが、どのように調査計画を立てているのでしょうか。大変な作業になりますが、速やかな実施と恒久対策を講じられるよう求めます。また、サンプリングの検査に2ヶ月以上かかってしまう現状を打開するため、さらに今後予想される解体工事に伴う検査量の増大に備え、市の保健所で検査機器を購入し、速やかな検査体制を構築することを求めたいと思います。
 三つは、厚生労働省では、アスベスト製品の定義についてアスベスト含有率を全重量の「1%以上」から国連基準に沿って「0.1%以上」に強化する方向であることに関連して、市民生活の安全を第一義に、この際、市独自に厳しい基準を設定し、アスベスト使用調査、除去対策を講じることを強く求めたいと思いますが、どのようにお考えですか。また、県と連携し民間施設の調査・恒久的対策について、市としての方針、計画はどうでしょうか。万全を期すよう、合わせて要請したいと思います。
 加えて、アスベスト被害に便乗した悪質商法が出回っていると聞きます。屋根修理の訪問業者から「屋根にアスベストが使われている。このままでは肺がんになる」といわれて不安になったとの相談を受けました。市としても「アスベスト110番」となるような市民のための相談窓口の一本化、啓蒙活動の強化をお願いするものです。
 以上で質問を終わります。

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