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06年3月12日記
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「防犯条例を考える」(その2) いよいよ議会に条例案が提案!

かねてから異議を唱えてきた「防犯条例」について、条例の策定委員会は全員一致で条例の制定が必要である旨の答申をまとめ、これを受けて3月議会に「長野市防犯まちづくり推進条例」が提案されています。

3月議会には、この条例の慎重審議を求める請願、廃案を求める請願など3団体から請願が提出されています。長野地区護憲連合と防犯条例を考える市民の会から提出された請願書の紹介議員になりました。長野地区護憲連合が提出した請願書は下記に掲載しましたのでご参照ください。
 3月議会に先立つ2月28日、長野地区護憲連合が総務部長に「条例をいったん撤回し、制定自治体の状況を含め十分に条例の効果を検証するとともに、市民にとっての自主的な防犯活動の必要性、あり方について、公聴会を開催するなど、市民の広範な検討の機会を保障するよう」申し入れました。市側は「罰則等の規程がない理念条例、あくまでも地域の自主的な防犯活動を応援していくための条例、強制するものではなく、監視を助長する意図はない、理解を求めたい」と繰り返すのみでするだけで、「なぜ条例にする必要があるのか、自主的な活動を推進するのであれば施策の展開で十分に保障できる。条例=自治体の法律で縛る必要はない」との疑問や意見とは平行線に終わりました。

提出されている条例案に即して、素朴に感じたあいまいな点、疑問点を羅列します。
@「防犯」とは犯罪を未然に防ぐこと。条例でどんな犯罪を未然に防ぐことができると考えているのか。
A条例案で当初行政が作成した案にあった「警察署機関との連携」が文言として削除されたのはなぜか。
B「市の役割」で市が講じる「市民及び事業者の理解と協力を得るための必要な措置」とは何なのか。自主的なパトロール以外に何を想定しているのか。
C地域防犯活動団体を行政連絡区単位に作るとされるが、既に発足している「防犯協会」との整合性、PTAや老人クラブの自主的なパトロール活動との整合性から、行政の執行力で束ねていくことになるのか。
D「市民の役割」で「市民が行う協力」は何を想定しているのか。また市民自らが講じる「防犯上必要とする措置」とは何なのか。
E条例で設置される「防犯推進協議会」は犯罪のない住みよいまちづくりを推進するための施策を協議する」とされるが、作成される施策について議会のチェックはどのように及ぶのか。
F条例策定委員会から「運用上、課題を残す」と指摘された問題をどのように受け止めているのか、またどのように克服できると考えているのか。
G最後に、以上の事柄は、条例がなければできないことなのか。 などなどです。

長野県警の発表によれば市内の刑法犯罪件数は減っています。一方、市民の自主的なパトロール活動は子どもの通学路の安全が問われる中、昨年に比べ「倍増」しています(朝日新聞の全国統計)。「条例」がなくても!です。
 また、子どもが「不審」と感じる人は「マスクをしている人」(顔が見えないからでしょう)との調査もあります。そもそも何を「不審」と感じるか否かは、極めて主観的な判断によるものといえます。「何をもって不審とするのか」は、自主的に行われているパトロール活動においても、人権上、特に留意すべき事柄だと思います。

既に、行政では教育委員会を通して「子どもの通学路の安全」を守るため、PTAの皆さんを中心としたパトロール活動への協力体制を指示しています。条例によって行われているものではありません。また、業界でも自主的にステッカーをつくりパトロールすることが始まっています。防犯灯の設置も行政が補助し、行政区単位に設置が進められています(まだまだ足りませんが)。条例がなくても進めてきている、あるいは進んでいるこうした活動にこそ、行政がもっと財政的に応援すべきなのではないでしょうか。

設置される「防犯推進協議会」では、行政区ごとの組織的なパトロール活動、街中への防犯カメラの設置、繁華街への「民間交番」の設置、ホームレスの排除なんていうメニューが検討されることになるのでしょうか。構成員となる警察機関の代表からはどんな提案がされるのでしょうか。そういえば、市民ネットで視察した、防犯条例を既に策定している「いわき市」では、「交通安全防犯推進室」を設置、この室長にはいわき中央署の前署長が配置されていました。「民事不介入」を建前とし、結果、数々のストーカー殺人事件等を未然に防げなかった警察の体質にも問題があると常々思っている私には、衝撃的な出来事でした。

確かに「体感治安」(体で感じる治安の悪さ)は悪くなっていますから、行政としての対応は必要です。だからといって、「運用上、課題を残す」ような条例で「事足りる」とは到底思えません。善意ある皆さんが「監視社会を助長する意図はない」と繰り返しても、「条例ができたから、パトロールに参加しましょう」「不審者を未然に探し出して子どもの安全を守りましょう」と、結果、意図せずに監視社会を助長してしまうことに、「防犯条例」の危険性が潜んでいると思います。

3月15日の総務委員会での審議に注目したいと思います。



長野地区護憲連合が提出した請願書

 3月市議会に「長野市防犯まちづくり推進条例(案)」(以下、防犯条例案とする)が提案されます。この条例案は、「防犯意識の高揚と自主的な防犯活動の推進を図り、もって犯罪のない住みよいまちづくりの実現に寄与することを目的」としています。そして犯罪のない住みよいまちづくりは、市と市民、事業者が役割分担し、警察と密接な連携を図りながら(「警察署等関係機関の長との密接な連携を図る」との規定は、策定委員会で「市の役割」に含まれるとして条項から削除されてはいますが)協働して行うと定めています。5回にわたる「条例策定委員会」では、「自主的な防犯活動が強制にならないこと」「なるべくソフトな表現の条例を」などの意見を受けてか、規範性の強い理念条例案として答申しました。

 しかしながら、私たちは条例そのものの実効性、憲法に定める思想・信条の自由の尊重という観点から、条例案に対して疑問と憂慮を拭い去ることができません。

 
 一つは、防犯条例を作ることによって、犯罪を減らしたりなくしたりできるのかという根本的な疑問です。虐待や殺人、不当請求や詐欺が連日発生している中にあって、犯罪に対する不安が高まっています。「安全」「安心」が市民の強い願いであることはいうまでもありませんし、自主的な防犯活動の推進を否定するものでもありません。しかし、警察法第2条に定めるとおり、犯罪の予防は基本的に警察の仕事なのです。だからこそ拳銃を所持させ強制的な力を執行できるようにしているのです。この役割は行政、ましてや強制力を持たない市民が肩代わりできるものではありません。長野県警の「交番の不在実態調査」によれば、長野市などの都市部では交番不在時間は午前6時から午後6時までの12時間で7時間以上に及ぶという実態が浮かび上がっています。また、長野市の市民アンケートでも要望の強い「パトロールを強化してほしい」「パトロールに警察官が同行してほしい」との声に応えきれない警察の実態があります。警察官OBによる「交番相談員」制度を活用するとともに、犯罪予防・捜査にあたる刑事部門の警察官を増員し十分なパトロール体制をつくるとともに空き交番を解消していくことが犯罪防止の近道です。警察は検挙率の低下を理由の一つとして「防犯条例」等の意義を唱えますが、自らの閉鎖的な体質を改め、刑事部門の増強を図ることが先であると考えます。

 
 二つは、条例策定委員会委員長自身が「この条例は運用に課題を残す。要項でもいいのでは」との趣旨の発言をされていることに関わり、「防犯意識の高揚」「自主的な防犯活動の推進」の目的が、市民の思想・信条の自由を侵害し、強制にわたりはしないかという危惧です。市民の自由と人権が守られ活かされてこそ、住みよいまちづくりとなります。「自分たちのまちは自分たちで守る」といった掛け声のもとで、街中の「怪しい人」「不審者」を探し出し、警察に通報するという「監視社会」「密告通報社会」を助長し、本当の意味での「互いの人権を認め合い支えあう地域の“絆”」を阻害することになりはしないかということです。とりわけ、さまざまな障害をもつ市民や外国人、コンビニに集まる中学生や高校生に「不審の目」をもって接することになりかねないことを強く危惧します。条例の持つマイナス面について、より議論と検証が必要だと考えます。

 
 三つは、犯罪に対する不安が高まる中で、自治体の本来の使命、役割は何なのかということをしっかりと議論してもらいたいということです。「犯罪増加」には、都市化によって地域社会の一体性が喪失していること、地域や家庭での教育力の低下、国際化による外国人の増加、失業者の増大や雇用不安の拡大といった背景、原因があります。自治体の役割は、これらの原因を除去していくこと、すなわち、やみくもな都市化に歯止めをかけ、住民が理解しあい支えあう地域コミュニティをつくること、教育力を高めること、地域経済を再生させ雇用不安をなくすこと、現在取り組まれている自主的な防犯活動を財政的に支援することにあると思います。


 人権尊重の観点から、住民が監視しあい、異端者、外部者を排除するようなマイナスの「効果」が危惧されるような条例を作るのではなく、多様な住民が共生できる地域社会の創造に力を尽くしてもらいたいと思います。

 さらに、防犯条例案について策定委員会がパブリックコメントを求めたとはいえ、その必要性や条例のもつプラス面・マイナス面を含めた効果について、市民の間で広範な議論があるとはいいがたい状況にあります。もっと市民的な議論が必要とされると考えます。

 
 以上のことから、議会において「長野市防犯まちづくり推進条例(案)」について拙速に制定せず、制定自治体の状況を含め十分に条例の効果を検証するとともに、公聴会の開催など市民の広範な検討の機会を保障するために、継続審査とし、慎重にも慎重を期した審議をされるよう、別記団体の請願署名を添付して請願するものです。

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