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2012年9月12日 9月市議会定例会の一般質問より

 9月12日、市議会本会議での一般個人質問の原稿より。15分の持ち時間で、再質問に時間を割いたため、その他の「原子力災害に対する訓練の実施」と「低所得者層を柱とするがん検診の受診対策」は、質問できませんでした。
 あくまでも原稿です。実際はかなりカットして質問しています。
 長野市公式ホームページ・市議会インターネット放送で質問の様子がご覧になれます。下記をクリックしてください。5番目です。http://www.city.nagano.nagano.jp/site/siseihousou/60669.html


33番、市民ネット、布目裕喜雄です。通告に従い質問します。その他の項目は時間があれば質問します。

1.南長野運動公園総合球技場の再整備について
(1)AC長野パルセイロのJリーグ昇格に必要なホームスタジアム整備について、南長野運動公園総合球技場を「J1基準」である15000人収容を充たすスタジアムに改修する基本方針が示され、補正予算案に80億円を限度する債務負担行為が追加設定され提案されています。
 総事業費は何と80億円、当初「J2基準(1万人収容)」で試算された60億円から、20億円も膨らむことになりました。
 AC長野パルセイロが現在、JFL1位をキープし大健闘している時だけに、ホームタウンとして、J2昇格を果たし、長野の元気の源となることを大いに期待している一人です。
(2)こうした期待感を表明しつつも、第一庁舎・市民会館の建て替え、新斎場の整備、ごみ焼却施設の建設など大規模プロジェクトが目白押しとなっている中、新たに巨額を投じることで、健全な財政は維持できるのか、市民負担は増えないのか、J2昇格条件である観客動員数、サポーターズクラブ数をどのようにクリアーするのか、サッカースポーツの底辺をどのように拡大していくのかなどなど、懸念が募ります。
 市民の理解を得るためのハードルは決して低くありません。国補助金の見込、新たな借金による財政将来負担の見通し、民間寄付の見通しなど、市側には説得力ある説明責任が求められるところです。
 さらに、松本山雅がJ2に昇格する中で、地方都市である長野県内で2チームが競い合う構図となっていることも、今後の選手層の動向や長野の地域性、経済界の支援などを考えると、長野県におけるプロサッカーチームの将来を見極めていくことも重要であると考えるところです。
(3)そこで、6点質問します。
 1点目、財源の見通しは確実か。特に38億円を見込む国補助金の見通しはいかがか。一般財源4億円、その他民間寄付6億円という区分は、税金投入を小さく見せようとする意図が感じられる。民間資金の活用は必須であるが、本来、今のところ期待値に過ぎない民間寄付分6億円を含めて一般財源として積算すべきであろう。所見を伺う。さらに、事業費を最大限圧縮すべきであると考えるがどうか。合わせて所見を伺います。
 2点目、新たな借金32億円について、財政推計への影響、将来的な財政負担への影響についてどのように考えているのか。
 3点目、維持管理費について、どのように見込んでいるのか。
 4点目、AC長野パルセイロの自己努力による地域の盛り上がりをどのように支援するのか。サッカースポーツの底辺の広がりをどう作るのか。
 5点目、新しい総合球技場を活用してスポーツを軸としたまちづくりをどのように活性化するのか。ラグビーやアメリカンフットボールにも併用できるとされているが、公式ゲームの招聘や、芝グランドを利用する球技スポーツの利用について、拡充していくことが重要である。どのように考えるか。
 6点目、J2仕様からJ1仕様への変更、総事業費の60億円から80億円への膨張は、市民にとって唐突感が否めない処です。明確な財源見通し、新しい総合球技場の利活用の拡大、収支見込及び維持管理費用の透明化など、市民に対し説得力ある説明責任が問われます。市民説明会やパブリックコメントを実施し、市民の理解と合意形成を図る必要があります。見解を伺います。

[再質問]
*厳しい財政状況が常套句になっている今日、「施設整備よりも生活環境の整備や福祉や教育にもっと手立てを」との声にどうこたえるのか。
*国補助金も民間寄付も確定しているものではない。市長の市政運営の信条である「入りを量りて出るを為す」となっていると考えているのか。

2.大規模プロジェクト事業の見直しについて
(1)財政推計で見込まれる大規模プロジェクト事業は、総事業費で1693億円、H24年度からH33年度までの向こう10年間で853億円とされます。ここにサッカースタジアム整備が新たに加わり、また、検討中とはいえ新交通システムの導入も新たな大規模プロジェクトに想定されます。さらに、後に質問しますが、公共施設白書を作成し、公共施設の現状をつまびらかにすることを通して、その維持管理費が天文学的な数字に上ることも想定されます。
 施設整備にあたり、建設事業費に加え、維持管理費、費用対効果、施設の将来性を見極めていくことが重要であるということです。
 今後も新たな財政投入が必要になることを見据えると、公共施設の在り方の検討と一体で、施設建設を考えるべきであり、大規模プロジェクトの見直しが必要と考えます。
(2)どれを見直すかは、正直、困難さが伴いますが、広域連合のごみ焼却施設の建設にあたり、技術的にも未完と言わざるを得ない灰溶融炉から撤退し、事業費の圧縮を図る必要があると考えるがいかがでしょうか。

[再質問]
*財政推計における建設事業費の積算に甘さがある。例えば新斎場の建設費で見ると、10年ベースでH22年40億円、H23年には59億円、H24年は70億円と周辺整備費があるとはいえ、1.75倍に増大している。本体建設費・大峰新斎場では1.5倍に膨れあがった。財政推計に対する信頼性、影響をどのように考えているのか。

3.公共施設白書から公共施設再配置計画の策定に向けての課題について
(1)市では現在、公共施設白書を年度内に作成するため庁内作業が進められています。まずは、施設の量や状態、経費、利用状況の3つの視点から公共施設の全体像をとらえ、課題ともに市民に公開し、情報を共有する必要があるとの認識から始まっているものです。第一段階である白書の作成・公表を踏まえ、第二段階で個別施設の対応方向を明確にし、第三段階で仮称ですが公共施設再配置計画の策定に進む段取りとされます。
 人口減少・少子高齢化、健全財政の維持とともに、合併による公共施設の増加、さらに施設の老朽化、耐震化、維持改修を見据えると、白書の作成は評価したい。また、箱モノだけでなく、道路・橋梁、上下水道などインフラも含めている点は、箱モノに限定する全国的な施設白書の作成状況を考えると大きな前進であるとも受け止めます。
(2)市域の7割を占める中山間地域における公共施設、そして五輪施設の存在が、長野市の特異性といえます。この特異性を十分に踏まえ、市民サービスを劣化させない公共施設の在り方と維持管理を考えることが重要です。コスト論に偏り、安易な施設廃止・統廃合、または民間への移譲にならないようくぎを刺しておきたいと思います。
(3)公共施設の見直し、将来にわたる質の高い公共市民サービスの維持は、市民の共通認識と理解が不可欠です。その意味で、公共施設白書で明らかにする現状の理解をどのように浸透させていくのか。公共施設白書の段階で、今後の課題と見直し検討の視点・基本的な考え方を提示することになると思われますが、市民の理解をどのように得ようとするのか。さらに公共施設の在り方について、住民自治協議会との十分な検討・協議、市民ワークショップなど市民参加により、計画等を策定していく道筋を、今から明らかにしていくべきと考えますが、見解を問います。

[再質問]
*2月にも予定される中間報告段階で、市民に情報を開示し、市民説明会を開くとともに、市民総参加の白書づくり、公共施設再配置計画づくりにつなげていくことが必要であると考えるがどうか。

4.新たな総合窓口、ワンストップサービスのあり方について
(1)第一庁舎・長野市民会館の基本設計は、パブリックコメント等により、総合窓口の在り方が変更となりました。第一庁舎における階層ごとの垂直展開から、第一庁舎・第二庁舎に跨る水辺展開に変更されたといえます。障害者等の皆さんの利便性を考えると妥当な変更と受け止めるものです。とはいえ、住民窓口と福祉窓口が別庁舎になるわけで、市民サービスがワンストップで提供され、いわゆる「たらいまわし」が無くなるような仕組みとして構築されることが重要です。つまり、ハード面での制約を、総合窓口支援システムによるソフト面でカバーすることが市民にとっての利便性を確保することになるわけです。
(2)市では現在、富士市の取り組みなどを参考に、総合窓口支援システムの構築に向けた検討が進められているところですが、市民サービス総合窓口が有効に機能するカギは、新庁舎1階に設置される総合案内となります。市民の来訪目的に的確に応え案内できる陣容を整える必要があります。
(3)そこで2点質問します。
一つに、別庁舎で展開される総合窓口方式で、いわゆる「たらいまわし」は解消されるのか。
二つに、カギとなる総合案内において、単純な民間委託ではなく、専門的な知見を持ち合わせた行政OBを活用していくことが重要であると考えるがどうか。

[再質問]
*例えば、就学児と要介護者が同居する転入世帯において、住民票・戸籍の異動、国民健康保険の手続き、保育家庭支援課における児童手当の手続き、介護保険課における申請手続きが、第一庁舎2階の窓口で完結するような仕組みとなると考えたいが、いかがか。

(4)玄関棟の解体工事が始まり、約2年半にわたる工事が行われることになります。工事中の来庁市民の動線・案内、安全性の確保について、どのように対策を講じていくのか、示していただきたい。

5.その他
(1)原子力災害対策訓練の実施について

 地域防災計画に原子力災害対策編を盛り込んだことから、原子力災害を想定した災害訓練を実施すべきと考えますが、今後の取り組みについて見解を問う。南海トラフ巨大地震の被害想定、浜岡原発の被害も予想されている中、国の防災基本計画において、原子力事故対策の強化が図られました。地域防災計画においても早急なる対策が講じられる必要がありますが、今後の取り組みはどうか。

(2)低所得者層を柱とするがん検診の受診対策について
 大阪府立成人病センターがん予防情報センターの分析で、がん検診の受診率が職業や所得によって3倍以上の差があることが判明しました。従業員1000人以上の企業の社員の組合健保では受診率38%、これに対しパートや自営業者の国保加入者では19%、生活保護受給者や無保険者では13%とされます。長野市においても同様の傾向にあると思われます。
 仕事が休みにくいであるとか、検診の自己負担分の支払いが困難という状況が背景にあります。長野市においても、がん検診における経済格差を是正し、等しく健康を維持できるよう、低所得者層を重点した受診対策が講じられるべきであると考えますがどうか。