衰退が著しい権堂地区の再生は、策定中の中心市街地活性化基本計画・2期計画の中でも「権堂B-1地区市街地再開発事業」「権堂地区にぎわい滞留空間整備事業」として位置づけられ、権堂地区全体の再生に向けて、今年1月に「検討委員会」が設置され、11月には再生計画の素素案がまとめられ、来年1月には最終とりまとめがされることになっています。
【信濃毎日新聞の報道より・12月10日付】
長野市権堂地区の再開発 全体事業費、3億円圧縮 市が見直し予定案提示 市会特別委に 長野市は9日、10月の市都市計画審議会で可決されなかった分譲マンションや公益施設が入るビルなどを建設する権堂地区東街区の再開発事業の見直し予定案を市議会まちづくり・公共交通対策特別委員会に示した。事業主体の地元の準備組合や市が結果を受けて再検討。公益施設の面積を減らすなどし、全体の事業費を約52億円から約49億円に圧縮、市の支出額も抑える。 再開発事業は、長野大通り沿いの約0・6ヘクタールが予定区域。北棟と南棟、公共広場を設ける。見直し予定案によると、公益施設が入る北棟は地上4~5階から4階に変更。公益施設は1階に置き、住民自治協議会の合同事務所や集会室などが入る。面積は約千平方メートルから約730平方メートルにする。テナントには教育関連や健康福祉施設を想定している―と報告した。 分譲マンションが入る南棟は、地上13階から12~14階に変更。公共広場も約1500平方メートルから約1400平方メートルにする。約13億2千万円を予定した市支出額は、再開発事業補助金8億円と公益施設負担金3億7千万円の計11億7千万円に圧縮する。 市は今後の日程も提示。都市計画決定の手続きとして、計画案の閲覧を13日~来年1月16日に行い、同17日に公聴会を開催する予定とした。20日に都市計画審議会を開き、現地視察などを行う。1月下旬から2週間、法定の縦覧を経て2月中旬に都市計画審議会を開いて審議する。 特別委で委員からは「市民から厳しい批判がある」との声や「開発を進めてほしい」などの意見が出た。
■課題としての論点整理(思いつくままですが) 権堂B-1地区再開発事業計画を審議する都市計画審議会は、1月20日に現地視察を行ったうえで、2月に審議会を開くことになっています。10月の審議会で可決されなかった事態は、不測の事態であったようで、多分、2月には決定されるでしょう。後追いにならないよう、議会側としての議論が急がれます。課題を羅列しました。多面的に検討を進めたいと思います。 (1)民間が主体となる再開発事業への市の関与の妥当性 (2)公益施設の規模・機能、「交流拠点」としての実効性 (3)入居テナントの持続性の担保、分譲マンションの展望 (4)権堂地区全体の再生計画の実行性とB-1地区再開発の拠点としての整合性 (5)権堂まちづくりセンターの取り組みの評価と検証 (6)権堂アーケード・商店街の活性化の検証、空き店舗・青空駐車場の増加に対する抑止・解消策 ■中心市街地活性化基本計画・二期計画の課題 中心市街地活性化計画について、市は現在、国に素案を提出、12月末に計画案を提出、来年3月の認定をめざし、取り組みを進めています。 全体で54事業。H23年度末までに完了する事業は13事業、実施中のソフト事業が20、ハード事業が12、調査研究中が10事業とされています。全体で200億円という事業費を見込みます。 主な事業として中央通り歩行者優先道路化事業、長野駅善光寺口顔づくり事業、権堂B-1地区再開発事業、後町小学校跡地活用事業、セントラルスクゥエア活用整備事業、権堂地区にぎわい滞留空間整備事業などがあげられています。それぞれに課題があるのですが、特に指摘したい点は次の3点です。 (1)後町小学校跡地の活用 「市民合意を得ながら、4年制大学の誘致等、…学校その他教育施設を中心とした施設整備」と位置づけ直されました。PTAをはじめ、「後利用」(跡地利用ではなく)をめぐって、いろんな研究がされています。幅広い団体・市民との意見交換を実施し、市民合意を得ていくことが鍵です。 (2)セントラルスクゥエアを活用した大型バス駐車場の実証実験 中央通りで歩行者優先道路化事業が進む中、大型バスが通行することに、違和感があります。公共交通と歩行者・自転車に限定した「みちづくり」を考える必要があると思います。 (3)善光寺口顔づくり、駅舎デザイン 三つの案で検討されていますが、事業費を明確に示し、費用対効果を勘案した市民意見の募集が必要です。現在で約20億円の開きがあるのですから。また、JR東日本が整備する駅ビルの基本計画について、JRに早期に計画を開示させ、駅ビルと一体感のある「顔づくり」を検討することも重要です。 |