見直すべきは見直しを!震災復興に知恵を再結集するとき
防災拠点=第一庁舎建設を最優先
市民会館はさらに基金を積み立て、将来に備えを
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市長…「必要かつ重要な事業、計画に沿って進めたい」と表明
市は4月7日、市民のパブリックコメントや議会の特別委員会、市民会館建設検討委員会の意見を踏まえ、現在地に二つの施設を一部合築で建設する「第一庁舎・長野市民会館建設基本計画」を正式に決定しました。今後、9月までに設計者を選定し基本設計に入りたい考えで、現市民会館は9月から解体を予定しています。
懸念されることは、東日本大震災の影響で、震災復興に巨額な資金が必要なことから、合併特例債の活用や国の補助金が計画通り見込んでよいのか、ということです。市長は「二つの施設の建て替えは、市の防災拠点の整備、文化芸術振興拠点の整備、多くの市民が利用する安全で安心な施設の面から、必要かつ重要な事業であり、基本計画に沿って進める」との基本姿勢を示すとともに、「有利な起債である合併特例債を見直す議論はない。震災復興に向けた国の動向を注視しながら、議会と緊密な連携のもとに進めたい」との考えを示しています。
参考=5月10日のブログ『「市民会館、計画通りで」と市長表明…直ちに同意できない』
99人、183件の市民意見
3月の市民意見の募集では、99人から183件の意見が寄せられ、周辺民地を駐車場として活用すること、大規模停電に対応できる発電装置を整備すること、障害者の皆さんが使いやすい施設とすることなどが修正・追加されました。全体的には、建て替えではなく耐震改修すべきとの意見がある一方、約6割が建て替えを前提にした修正・補強意見です。震災復興を考慮し、「第一庁舎は建て替えてよいが、市民会館は先送りすべき」との意見も多く提出されました。
建設検討委…慎重意見も
建設検討委員会では、市民意見を踏まえ基本計画案を了承したものの、大震災を受けての個人的意見では、12人の委員のうち8人が「震災支援は必要、しかし両施設の建設は市民にとって必要であり、推進すべき」と述べ、4人が「考え直すべきでは」との慎重意見を述べたとされます。
議会特別委…「市民会館先送り」の意見も
5月9日に市長を交えて開かれた議会特別委員会では、「計画通り推進」の市長発言を支持する意見の一方、「復興財源等を考えた時、防災拠点となる第一庁舎は建て替えとし、市民会館は時機を見ることが必要では」との意見も出されました。
借金減らす努力求められる
「震災復興を優先する時では。いろんな費用を節約し、その分を復興財源に」との意見をいただきます。この緊急時、国の負担ともなる借金はなるべく減らすべきとの意見は重く受け止めたいと考えます。一方、大震災で、庁舎をはじめ公的施設が市民の避難拠点として機能し続けられる強度を保持しなければならないということも教訓としなければなりません。
合併特例債の活用前提に陰り
議会特別委員会の審議で注目したいことは、市長が「合併特例債があろうとなかろうと進めるべき事業」と述べるとともに、「軌道修正が必要となる時期は来年度予算編成時だろう」との見込みを示したことです。
私は、この間、有利な起債である合併特例債の活用を前提に、市民の安全・安心を第一に両施設の建て替えを支持し、市民会館は現在地で建設すべきと提言してきました。
市民の安全第一に、建設優先順位の見直しを
だからこそ、一番有利な起債である合併特例債の活用に制限が生じる可能性があれば、建設の優先順位を見直す必要が出てきます。現市民会館は9月から解体を始める予定です。解体が始まってから特例債が使えないでは、計画そのものが頓挫しかねない危機に直面します。少なくとも、市議選のため前倒しされる8月市議会までには、方向性を確立する必要があります。
来年度の地方財政計画では、地方交付税や補助金の見直しは避けて通れないでしょう。私は、防災拠点となる第一庁舎の建て替えを最優先し、市民会館については基金積み立てを継続し将来に備えるということも有力な選択肢として考えるべきではないかと思います。
そうすることで、新市民会館の建設地は、もっと幅を持って検討し直すことも可能となりますし、また、既存施設の改修も選択肢に入れることになります。現市民会館の土・日の稼働率を考えると、市民の皆さんに不便を強いることになるのですが、仕切り直す必要性を感じています。ご意見をいただきたいと思います。
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