3月4日に行った一般個人質問の原稿です。時間の都合で割愛した質問がありますが、質問したかったことという意味で参考までに全文を掲載します。答弁を含めた「まとめ」は 、もう少し時間をください。 |
23番、市民ネット 布目裕喜雄です。一問一答方式で質問します。
1.屋代線「見切り廃止」の問題点と住民合意による屋代線再生の可能性について
(1)注目の屋代線存続問題は、活性化協議会が多数決で廃止を決定し、市長はその決定を「厳粛に受け止める」と表明、一方、市議会公共交通対策特別委員会では「廃止決定は受け入れがたい。なお再生に向け実験継続を求める」との見解をまとめ、今日を迎えています。沿線の住民自治協からは「協議会では存続のための議論がない。公的支援の議論も十分に行われていない。廃止決定は納得できない。人口1割弱の一地域の課題が見捨てられた」との厳しい意見が表明され、今議会にも再生に向けた請願が提出されているところです。
(2)最初に、市長に見解を問います。この間、市長も協議会会長である副市長も「できることなら残したい」と率直な想いを語る場面が多々ありました。鉄道の持つ社会的存在意義、河東地域の動脈である屋代線が存在するが故の安心感、北信地域の原風景であり、そこに脈々と息づく市民の暮らしと文化、そこに注目したのではないでしょうか。鉄道は一旦廃止すれば復活は困難であるだけに、出発点は「できるならば残したい。残そう」との意欲にほかなりません。では、できることを全てやりきってきたのか、できれば残したいとの想いは願望に過ぎなかったのか、住民自治を育もうとする都市内分権の観点から、住民合意が形成されていない今日的問題をどのように考えているのか、見解を伺います。
(3)沿線の住民の皆さんは、屋代線存続に期待をつなごうと真剣な取り組みを始めていますが、顧みられていません。住民合意無き「廃止」決定は、公共交通の活性化・再生に大きな禍根を残す決定といわなければなりません。私は、地域公共交通活性化再生法に照らして、多数決で「廃止」とした決定には重大な誤りがあると考えます。まず、3点質問します。
一点目は、鉄道再生の目的を逸脱していることです。活性化協議会は、「貴重な社会資本である屋代線を持続可能な鉄道として、次世代に継承できるような方策を検討する」ために設置されたものです。屋代線を廃止しバス代替とする結論を導き出すために「活性化協議会」が設置されたわけではありません。権限外の行為であると考えますが、見解を問います。
二点目は、鉄道の存廃には住民合意が絶対必要条件であるということです。地域公共交通活性化再生法の趣旨は、「事業者まかせ」から利用者・住民、事業者、行政の連携・協働で国・自治体の公的支援=税金の投入をもって公共交通の再生を図ることにあります。従って、沿線住民との合意は絶対必要条件なのです。
協議会事務局は、「沿線代表も加わる中で客観的に議論し民主主義のルールに基づいて出された結論である」と強調しますが、利用者の位置づけが余りに軽んじられているといわなければなりません。都市内分権という形で、新しい住民自治の仕組みをつくり支援しようとする市行政の取り組みから考えても、これに逆行するものです。住民合意なき廃止決定は無効であると考えますが、見解を伺います。
三点目は、委員の構成に疑義があることです。利害関係者である当事者が少ないこともさることながら、沿線住民代表に「千曲市地域公共交通会議」の代表として千曲市行政の理事者(市民生活部長)が選任されていたことは看過できません。公正・公平な委員の選任となっていないということです。協議会は是正勧告も行わないまま、これを放置しました。責任が問われると思いますが、見解を伺います。
[再質問]
◆過半数という議決方法を定めた規約にも疑義があります。長野電鉄活性協議会の規約は第8条の4で「協議会の会議の議事は、委員の過半数により決定し、可否同数のときは議長の決するところによる」と定めています。
しかし、生活バス交通の再生を協議する公共交通活性化・再生協議会の規約は第6条の3で「協議会の議決方法は、全会一致を原則とする。ただし意見が分かれた場合において、議長がやむを得ないと認めるときは、出席委員の3分の2以上の賛成で決するものとする」とされています。
◆どちらがより民主的かは一目瞭然です。問題は、協議する交通モードの違いがあれ、また長野市単独の協議会か沿線3市にまたがる協議会かの違いがあろうと、事務局を担当する長野市行政のスタンスとして、ダブルスタンダードが明白であることです。地域公共交通活性化再生法という同じ法律のもとで、多数議決の基準が異なって設定されていることに、当初から「ある意図」が隠されていたのではと疑うのは私だけでしょうか。「屋代線の再生はもめる。廃止に持っていくためには多数議決の基準を下げておこう」との意図が最初からあったのではと言わざるを得ません。納得できる説明責任を果していただきたい。いかがですか。
(4)では、協議会の議論・内容について、3点質問します。
ひとつは、総合連携計画に定めた新しい運営スキームへの移行、公的支援の検討が不十分極まりないということです。協議会では、上下分離方式や第三セクター方式、またディーゼルへの転換などについて、充分な議論がないまま、費用対効果から「バス代替が優位」との方向性を導きだし、議論がリードされました。本来は、費用面ではバス代替が優位であっても、鉄道の社会的意義を捉え、新しい運営形態のスキームについて優先順位をつけ、公的支援を真剣に検討し方向性を出すことが、協議会の仕事だったのです。「廃止ありき」の議論になっていると批判される所以です。笠原・長電社長は「公的支援の議論は深まらなかった」と述べています。協議会の議論を象徴する発言です。協議会で本当に十分に検討されたのか、見解を伺います。
二つ目は、実証実験の道半ばでの結論は時期尚早であるということです。行政側は「冷静で客観的な判断が重要」と強調します。「客観的な判断が重要」というのであれば、屋代線活性化のために総合連携計画に盛り込んだ27事業全ての利用促進策を実験した上で、結果を検証し、客観的な判断がされるべきでしょう。ましてや、昨年のわずか3か月の実証実験では、利用者・収入ともに1割程度増加するという効果を上げることができました。総合連携計画で定める「3年間で60万人」の目標達成に向け、利用しやすいサービスを盛り込んだ実証実験を継続し、存続の可能性を探ることこそが求められる結論なのです。実証実験半ばでの結論は、余りに拙速で無責任だといわなければなりません。見解を伺います。
三つ目は、交通ネットワークが崩れ、まちの衰退が懸念されることです。鉄路を廃止しバスで代替させることは、マイカーへの乗り換えを助長し、地域公共交通の衰退を加速させ、ひいては駅がランドマークになっている河東地域のまちづくりを減退させることにつながりかねません。河東地域のまちづくりをどのように考えているのか、所見を伺います。
[再質問]
◆2月24日の公共交通対策特別委員会では、バス代替が優位とする費用便益分析を行ったパシフィックコンサルタンツ㈱(略=パシコン)を参考人に招き、便益分析について検討しました。パシコンからは「前提条件の捉え方で結果は異なってはくるが、バス代替の優位性には変化はない」と述べるとともに「法定協・事務局からオーダーのない検討は行っていない」としました。そもそも行政からの分析項目のオーダーの仕方に疑問が残ります。またパシコン側は「費用便益分析は一つの指標に過ぎない。どう評価するかは法定協の議論」と指摘しました。
◆法定協の議論において、バス代替が優位との結果を導いた費用便益分析結果が「廃止」へのターニングポイントになったことを振り返ると、費用便益を「一つの指標」として多角的に屋代線の再生が議論・検討されたのかが改めて問われることになります。コンサルの指摘によれば、費用便益分析結果は、廃止を結論付ける根拠にはならないということでしょう。見解を伺います。
(5)屋代線の存廃は全市的な課題です。可能性をもっとしっかり検証すべきことを強調したいと思うのです。
累積赤字50億円、毎年1億8千万円の赤字、設備投資に30億必要…こんな数字が並ぶと、「廃止も仕方がないのでは」と考える市民は多いでしょう。でも、屋代線は今でも46万人の欠かせない足であることに眼を向けたいと思うのです。なぜなら、鉄道と生活路線バス、コミュニティバス、デマンドバス、タクシー、それぞれが持つ役割を活かし、公共交通ネットワークを再構築することが、待ったなしの課題だからです。そして、地球温暖化防止を体現化するライフスタイルの転換に公共交通の活用が不可欠となるからです。超高齢社会を迎える中、社会問題となる「買い物難民」の課題にも応えることになるでしょう。
県や市が鉄道施設を保有する上下分離によって、ディーゼルに転換させる方向性が必要です。そして、運行は長電ではなく、違った会社(3セクを含め新しい運行会社)に委託することだと思います。この新しい運行スキームについて、初期投資と維持管理にどれだけの費用がかかるのか、県や市、市民でどのように負担を分かち合うのかを徹底的に議論・検討することではないでしょうか。
「実証実験の継続」を求める意見は、存続を自己目的化するものではなく、存続の可能性を真剣に探ることにあります。今日的段階で、可能性の模索に軌道修正させる活路は、広く市民に呼びかけ、60万人の利用者を達成するとともに、実証実験継続を求める10万人市民署名が実現されることだと私は考えています。沿線自治協に「役立てて」と寄せられるカンパも大きな応援団です。「屋代線存続ファンド」を地域でつくることも一つの手立てでしょう。可能性にかける道筋について、市民・利用者の意見を第一義とする行政としての責任と役割を問いたいと思います。見解を伺います。
2.定住自立圏構想と広域的な公共交通ネットワークの形成について
(1)市長は市政方針で「定住自立圏構想」への参画に意欲を示しました。肯定的に受け止めたいと思います。
(2)私は長野市を中心市とする定住自立圏のカギは安心して永住できること、医療圏と公共交通のネットワークにあると考えます。北信エリアで総合病院を中心とする医療機関の役割分担と受診の足を支える公共交通ネットワークを、市町村を超えて再構築することです。
(3)この点において長野電鉄の鉄道網は必要不可欠なものと言えるでしょう。厚生連松代総合病院及び若穂分院、市民病院、県立須坂病院、厚生連北信総合病院を結ぶ医療圏・公共交通網を長野電鉄を柱に再構築していくことが大変重要になってくると考えます。屋代線の将来価値を改めて考える課題ともなります。総論的ではありますが、所見をうかがいます。
3.電動バス導入の実験と費用対効果について
(1)バス生活交通の活性化・再生をめざす「地域公共交通活性化再生協議会」において、中心市街地循環バス「ぐるりん号」の運行に関して、電動バス導入の実証実験を行うことを決めました。実験費用は500万円とされています。結果を検証し、早ければH24年度から電動バス3台を導入する考えも示されたようです。
(2)環境対策が待ったなしに問われる中、電動バス導入は魅力ある提案の一つだとは思います。電気自動車は直接CO2を排出しませんが、電力供給において化石燃料や原子力が使用されているわけですから、社会全体のシステムを考えたときに、電力に依存する社会が果たしてよいのかといった問題もあります。現実的には電気自動車は非常に高いということがネックでしょう。
(3)さて、そこで2点質問します。一つは、実証実験の時期です。11月から1カ月程度されていますが、積雪・厳冬期に合わせ1月に実施した方が、現実的・効果的な実験結果を得ることができるのではないでしょうか。二つは、電動バスは現在6千万円から8千万円と大変高価な交通モードであることです。4千万円くらいの実勢価格を見据えているとのことですが、費用対効果を考えたとき、果たして効率的と言えるのでしょうか。古くなっている現在のぐるりん号の車両更新を優先させる、あるいは廃油を活用したバイオディーゼル化を推進した方が効果的ではないかと考えます。見解をうかがいます。
4.がん検診受診料見直し凍結と受診率向上について
(1)私はこの間、質問の度に「利用者負担の見直し」、すなわち使用料・利用料の値上げについて、現在の市民の厳しい家計状況に鑑み、とりわけ、健康・教育にわたる分野での値上げを凍結するよう求めてきました。がん検診等の受診料値上げも然りです。さて、新年度4月から実施を予定していたがん検診等の受信料値上げは見送られることになりました。医師会等から「受診率の低下につながる恐れがある」との指摘を受けての判断だと伺っています。この判断は結果オーライといってよいでしょう。
(2)昨年9月市議会における私の質問に対し、「受診料の値上げは一概に受診率の低下にはつながらない」との強気な答弁があったわけですが、今日、どのように考えているのでしょうか。また、値上げ凍結は一時的措置なのか、今後、いかなる状況変化を見据え、値上げに踏み切るつもりなのか、所見を伺います。
(3)また、新年度から、新たに大腸がん検診の無料クーポン化が予算化されています。受診率向上策の決定打は、受診啓発だけでなく、低受診料のがん検診システムを医師会等と連携して展開することにあります。今後の受診率向上策について所見をうかがいます。
5.その他
(1)放課後子どもプラン施設の開館時間の延長について
児童センター等の開館時間を有料で延長する案が検討されています。共働き世帯が増える中で、時間延長は検討されるべき課題であると認識しています。しかし、時間延長が必要とされる実態把握が十分か、一律月額350円または700円という料金は利用度合いに見合ったものになるのか、親の都合だけでなく、子育ち支援の観点から子どもの都合が考えられているのか、「受容され愛されて育つ権利(子どもの権利条約前文)」が保証されるのか、指導員等センター側の受け入れ態勢は待遇改善をはじめ十分なのか、などなどまだまだ検討が行われる必要があると考えます。スケジュールにとらわれず、多角的に検討することを求めたいと思いますが、見解を伺います。
|