9月議会での自身の質問に関するやり取りは既に報告しましたが、全体的に論点となったものを追加で報告します。
7月16日の集中豪雨災害、農地復旧の負担を軽減へ
篠ノ井や信更地区に甚大な被害を及ぼした7月の集中豪雨災害。国の激甚災害指定を受け、1日も早い復旧、復興が望まれます。37億円余の補正予算の約4割を占める災害対応に関連し、被災者の負担を軽減する意見が相次ぎました。
流木や土砂によって埋まってしまった農地は、農業再開への意欲をそぎ荒廃地化してしまうことが懸念される中、流木の除去等は公費で対応するとともに、2割負担となっている農地復旧・土地改良を5%負担に軽減されることになりました。
災害対策本部の設置をめぐり議論
7月16日の集中豪雨災害時に、災害対策本部を発足させ市をあげての迅速な対応が求められたのでは?との意見が相次ぎました。市では人的被害が想定される場合に災害対策本部を設置するとして、支所や消防を中心に対応したとしました。
何事にも基準は必要ですが、被災地の現場では連絡・指揮に課題を残したとの印象が強いようです。万が一に備える臨機応変な対応とともに、住民が混乱しない安定した連絡・指揮網の実質的な確立が求められます。
77市町村が参加する長野県地方税滞納整理機構の効果は?
現在、県では県下の77市町村の参加のもとに悪質な地方税(市民税・県民税・国民健康保険料)の滞納処理を行うため、広域連合組織として「県地方税滞納整理機構」を来年度に立ち上げる準備をしています。9月議会で、長野市として機構に参加していくことを決めました。市では、当該機構に155件、滞納額にして約4億5千万円の滞納案件を移管する予定で、その滞納額の徴収率約30%を見込んでいます。
議案には賛成しましたが、問題がないわけではありません。整理機構はいわば「取り立て専門」の組織となります。①悪質な滞納案件に限定するとされるが、「悪質」の定義があいまいで、生活困窮者に対する厳しい滞納処分を生みだすことはないのか、②地方税と国保税の2種の税とされるが、今後拡大する恐れはないのか、③本来、市町村の自主的な事務である課税・収納が機構任せになりはしないか、④広域連合の事務となるため、市民の税金収納に関し、市議会としてチェックできなくなるなどの心配があります。
設立されるまでに、これらの課題が明確に整理され、議会や住民に開示されることを求めていきたいと思います。
学校教室に扇風機の設置、検討へ
今年の猛暑の中、エアコンのない学校校舎での生活は、子どもたちには大変厳しいものでした。エアコンの設置を求める意見が出されましたが、市では天井に固定する扇風機の設置要望が多く、来年度に向けて検討中であるとしました。
エアコンはパソコン教室には導入されているものの、保健室や図書室ではまだ一部にとどまっています。今後、改築等に合わせ保健室、図書室、音楽室等への導入を進めたいとしています。子どもたちの健康と勉強への集中を考えると、せめて、保健室へのエアコンの優先導入、一般教室への扇風機設置は即時実現したいものです。
冬季五輪記念基金スタート
「長野オリンピック記念基金」の枯渇を受けて、オリンピックムーブメントを継承し、大会や選手育成などのウィンタースポーツの向上を図るとともに、長野マラソンや灯明祭りなど長野五輪記念イベントを継続していくために、「冬季競技振興基金」(愛称=ながの夢応援基金)を新たに設置しました。約5億円余りの積み立てでスタートです。
今後、市民や企業からの募金によって原資を増やしたいとの考えですが、とりあえずは3年間分の事業経費を見込んでいるようですが、もう少し中期的な計画が欲しいところです。
高齢者緊急通報システム、福祉環境委員会からも要望
私が一般質問で取り上げた「一人暮らし高齢者の緊急通報システムの有料化」に関連して、福祉環境委員会の委員長報告で「負担額については、所得に応じた減免措置が講じられないことから、セーフティネットの視点で生活に困窮する高齢者への配慮を検討する」よう要望されました。有料化は止められないとしても何らかの改善措置が必要です。
「勤労者女性会館しなのき」は設置目的に沿った有効活用を
新しい市民会館の権堂・東街区での建設に絡んで、しなのきを市民会館関連の施設として活用する方針が示されていることに対し、「しなのきは勤労者及び女性の福祉増進と男女共同参画社会の実現を図るために設置された施設であり、今後も設置目的に沿い、女性活動と男女共同参画推進の拠点として有効活用されるよう要望する」と福祉環境委員会の委員長報告に盛り込まれました。「何でもあり」の東街区案に対する異議申し立てです。委員長報告の重さを行政はどのように受け止めているのでしょうか。
国への意見書、3本可決に
「郵政民営化のさらなる推進を求める意見書」「地方財政の充実・強化を求める意見書」「効果的で迅速な経済雇用対策の市接市に関する意見書」など、請願等に基づき、国に対する意見書が3本可決されました。
最初の「郵政民営化の推進」に関する意見書には、民営化では郵便のユニバーサル・サービスが維持されないことから、反対しました。
また、「EPA・FTA推進路線の見直しを求める請願」は継続審査となりました。