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2010年6月20日
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建設企業委員会での行政視察報告[北九州市・大分市・宮崎市]

 去る5月11日から13日、市議会建設企業委員会で行った行政視察の報告です。第一報は『徒然日記』(5月14日付)に記しましたが、副委員長が視察報告をまとめることになっていることから、提出用にまとめたものを掲載します。感想等は私見ですのでお断わりしておきます。
    5月11日/北九州市…北九州学術・研究都市北部土地区画整理事業
    5月12日/大分市…大分駅南土地区画事業
    5月13日/宮崎市…中心市街地活性化基本計画の取り組み

北九州市…北九州学術・研究都市北部土地区画整理事業


1.
北九州市は1963年(S38年)に5市による合併により誕生した九州初の政令指定都市。面積487.77?、人口98万人。2010(H22)年度当初予算は1兆173億円に上る。アジアに近く、また本州と九州の結節点という地理的特性を持つ。2008年に新しい基本構想=「元気発信!北九州」プランを策定。新構想では、都市ブランドとして「世界の環境首都」「アジアの技術首都」という都市間競争に打ち勝つ都市ブランドの構築を掲げ、環境モデル都市として低炭素社会を実現するとともに、環境に配慮した先端的技術を活かした成長産業の振興を図り、環境と産業の調和による地域の活性化に取り組む「北九州グリーンフロンティア」政策を推進する。
【写真左は小倉駅、右はホテルから望む重工業地帯】
2.視察事項は「北九州学術・研究都市北部土地区画整理事業」である。北九州市の東部、若松区西部及び八幡西区北西部をまたがり、進行中の事業である。学研都市内にある産学連携センターで担当者から報告を受け調査。
(1)北九州学術研究都市整備事業
 アジアの中核的な学術研究拠点、新たな産業の創出・技術の高度化をめざし、「新たな技術と豊かな生活を作り出すアジアの先端産業都市」の実現を図ろうとするもの。北九州市の4大プロジェクト(学術研究都市、北九州空港、東九州自動車道、ひびきコンテナターミナル)のひとつ。開発整備の方針は周辺の自然環境や都市環境を活かしながら、先端科学技術に関する教育・研究機関の集積と良好な住宅地の供給を同時に行う『複合的な街づくり』を目指すとする。2001年4月にオープン、現在、国立-市立・私立の理工系4つの大学(北九州市立大学国際環境工学部・同大学院国際環境工学研究科、九州工業大学大学院生命体工学研究科、早稲田大学大学院情報生産システム研究科、福岡大学大学院工学研究科の1学部4大学院)があり、また14の研究機関や57の研究開発型企業が進出している。理工系の大学・研究機関をひとつのキャンパスに集積させ、施設の共同利用など相互の交流や競争によって連携を深めながら教育研究を行う「わが国初の試み」とされる。学研都市は財団法人・北九州産業学術推進機構(FAIS)が管理運営する。
 開発総面積は約335ha、計画人口は夜間人口で12000万人、住宅4000戸を目標とする。3期に分けて整備することとされ、第1期事業(約121ha)はH7年度から18年度で事業完了している。事業主体は(独)都市再生機構。第2期事業(約136ha)はH14年度から26年度までで、現在進行中。事業主体は1期と異なり北九州市の直営事業。第3期事業(約68ha)は検討中とされる。現在の昼間人口は約3200人、内学生は2227人。

(2)第1期事業=北九州学術・研究都市南部土地区画整理事業
 国・公・私の混合大学キャンパスと宅地開発で事業は完了している。大学関連施設の開発整備がメインの事業である。総事業費は約289億円(内補助金は94.5億円)。計画人口3500人、計画戸数1060戸(3,500/3.3人)に対し、919世帯が居住、熟成率は86.7%。保留地の販売状況は217区画に対し契約済みが199区画で契約率は91.7%。事業主体が独立行政法人・都市再生機構(旧住宅整備機構)=URとなっている点が特徴である。同機構にノウハウの蓄積があることから選定したそうだ。土地利用の詳細は資料参照、大学用地の約70haは市が先行取得しキャンパス化し、一般住宅用地16.6haはURが保有し販売する。
 もともと三つの集落があった丘陵地帯、「田舎の里山」地帯を開発したもので、1期・2期事業の地権者は約200世帯だそうだ。減部率が平均50%(公共22.2%、保留地27.8%)と高いこともうなづける。
(3)第2期事業=北九州学術・研究都市北部土地区画整理事業
 H14年度から着手された第2期事業は、H26年度までの12年間の計画で、現在進行中の事業である。事業主体は北九州市で総事業費が約259億円(内補助喜は68億9800万円)、区画整理事業費は240億8千万である。進捗率は事業費ベースで約53%(H21年度末見込み)。約135.5haの区画用地は大学・関連施設用地に37.3ha、一般住宅用地が41.3haで、宅地開発にウェイトがかかる。減部率は同じく平均50%。計画人口は5000人・計画戸数が1780戸(5000/2.8人)。熟成率まだ12.6%である。一般住宅地の街区は0.2~0.7ha、1区画は約78坪を標準として計画されている。公共施設として小学校を1校配置、また大学関連施設は地区のシンボルとなっている舟尾山周辺の緑地(ため池含む)を活かし取り囲むように配置するという。

(4)第3期事業

 面積は約68ha、計画人口を3500人(1250戸)とする計画となっている。

(5)モデル街区…「サトヤマビレッジ」の整備


 区画整理事業の中で一般住宅地のモデル街区とされているのが「サトヤマビレッジ」である。現地を案内いただいた。1.2haの街区に43区画が整備される。約半分くらいが住宅建設済みだろうか。特徴は、街区の真ん中に大きな雑木林をつくり、その周りに家を建てる仕組みになっていることだ。住戸計画として、すべての家を南に向けて分散して配棟、隣り合う家ではプライバシー確保のための窓ルールが設定されている。6カ所にテラスが設けられ、コミュニティスペースとなっている。雑木林は街区中央の860坪の共有地で、30種類、600本の植樹によるとされる。民間企業が企画・販売する。

 自然・風景との触れ合いを大切にする「サトヤマ生活」がセールスポイント。「1区画で完成しない。1世帯ではできない。集まった分だけ豊かになる仕掛け」というわけだ。隣家との間に垣根や塀はない。雑木林の整備は、居住者が共同で行うそうだ。広い雑木林=里山的な庭を共同管理する宅地開発という点は、地域コミュニティの醸成に貢献するのだろう。新しいライフスタイルの提唱ともいえる。「地区計画」を一歩進めた形と言えるのかもしれない。
3.総括的に

(1)土地区画整理事業とはいえ、学術研究都市プロジェクトの一環であり、先進事例として学ぶには壮大すぎるというのが第一印象である。とりわけ、理工系の大学・研究機関を集積し、「頭脳都市」をめざすという点は、北九州市ならではの発想であろう。一般論として学ぶべき点は、学術研究機能の集積であろう。長野市では、産学連携は工学系を中心に「ものづくりセンター」が拠点となっている。問題は県短大の4年制化や放送大学や私立大学の誘致による高等教育機関の集積を図ることにあろう。

(2)「サトヤマビレッジ」の発想は、街区において公園と宅地を一体化させている点で面白い。周辺に豊富な自然を保持する長野市においては、周辺の自然環境を生かすまちづくりが求められているのではないか。東口駅周辺整備事業では水辺環境の保全などに配慮したまちづくりが進められており、発想は共有化しているともいえる。市街地全体の課題としては街区における公園緑地の整備が先決のような気がする。


大分市…大分駅南土地区画事業


1.
面積501.28?、人口46.6万人。県都のコアにふさわしい都市づくりをめざし、JR大分駅付近連続立体交差、駅南土地区画整理、駅前広場整備などを一体的に推進し、大分駅周辺区域で総合的に市街地の活性化を図ろうとしている。【写真左は大分駅北口、右は南口】

2.視察事項は「大分駅南土地区画事業」である。大分駅周辺地域は鉄道により都市が南北に分断され、北側が行政、商業・業務、文化等の中枢機能が集積する一方、南側は駅裏的印象が強く商業・業務的土地利用が少なく、市街地の一体的な発展を妨げていることが課題とされ、県事業と一体的に「大分駅周辺総合整備事業」が展開されている。

 市役所で都市計画部駅周辺総合整備課(中畑修課長・富永好一課長補佐ら)から説明を受け、現地視察も行った。

(1)三つの事業で構成される大分駅周辺総合整備事業
①大分駅付近連続立体交差事業(県事業)
 大分駅をはさむ日豊本線3.65kmと久大本線1.92kmの間を高架区間とする。13箇所の踏切の除去により、南北市街地間の交通の円滑化(約150~200mに1箇所、高架下に横断道路を整備)、踏切事故の皆無化が最大の効果とされる。また、高架下の多目的利用を図る。H21年度末・事業費ベースで進捗率は約86%。

②関連街路事業(国・県・市)
 県道である庄の原佐野線を地域高規格道路・大分中央幹線道路として整備するほか、国道10号線、市道7路線、計9路線の街路事業が一体で整備され、ほぼ100%の進捗率となっている。

③大分駅南土地区画整理事業(大分市)
 市街地中心部に残された唯一の大規模空閑地である国鉄清算事業団用地や、鉄道の高架化に伴うJR操車場跡地を活用する区画整理事業で、駅前広場やシンボルロード等の公共施設の整備とあわせて、駅周辺街区の有効高度利用と周辺部の都市型住宅の整備を図る。

 事業期間はH8年度からH26年度まで、事業費は約680億円、施行面積は約49.6haである。公共用地率は施行前の16.5%から41.4%に拡大、減部率は29.8%(減価補償金導入後は19.2%)、建物移転戸数は609戸。H21年度末での進捗率は建物移転が597戸で移転率98%、事業費ベースでは84%となっている。将来居住人口は7000人をめざす。

(2)大分駅南土地区画整理事業の特徴
①南北駅前広場の整備

 この区画整理事業の中に、大分駅の南北それぞれの広場の整備が組み込まれている。整備方針・基本計画を策定にあたり、関係機関・団体等との協議を60回以上重ねたとされる。また南口駅前広場の修景計画作りには、述べ138人の市民が参加するワークショップを4回開催したそうだ。

 北口には交通結節機能用地が約7600?確保されているが、広場の基本計画策定に向け国・県、警察をはじめ交通事業者を含めた「大分駅交通結節機能に関する協議会」を設置し、案作りが進められている。南口広場はH21年後半から着工している。

 北口広場は「“まち”と“えき”をつなぐ、“交通”と“交流”の拠点となる機能的な広場」、「南口は「シンボルロードにつなぐ魅力発信広場」を整備方針とする。

 大分駅は線路が高架化するものの、改札口は地上1階部分の整備となることから、ペデストリアンデッキの整備はなく、大分駅前広場は南北ともに平面整備である。
 また、タクシープールは駅前には6台分程度の確保とし、高架下に整備するタクシー駐車場プールを活用する方針だ。いわゆる「ショットガン方式」になるものと思われる。
長野駅と東西口広場の整備を考えると、新幹線開通の際に新幹線・在来線ともに高架化されていれば、もっと違った整備展開が可能になったであろうと思われるが、長野駅前善光寺口広場の整備方針、とりわけ限定的となるペデストリアンデッキの整備やバス・タクシー等公共交通機関のベイ及びプールの整備に活かすことのできる着眼点があるのではないだろうか。

②幅100メートルのシンボルロード、そして道路に隣接する複合文化交流施設
 区画整理事業の目玉とされている事業である。道路が片寄せ構造となっている点が大きな特徴であり、札幌大通りや広島平和大通りなど全国4箇所に整備されている100メートル道路整備とは異なるそうだ。そしてシンボルロードに隣接する形で複合文化交流施設が展開する。この施設は4500㎡の市民ホールに図書館や総合社会福祉保険センター、保育所など全て公共施設である。事業規模は15年間分の維持管理費を含めて125億円を見込んでいる。シンボルロード部分には観光バス等の乗降場を別途計画している。

 長野駅周辺東口区画整理の場合で考えると、東口駅前道路のシンボリックな位置づけと「市民プラザ」の整備に相当するものだが、シンボルロードのあり方、「市民プラザ」の機能・役割、複合交通センターのあり方を検討していく上で、参考にしたい。
③高齢者福祉複合施設や保育所と合築する従前居住者用賃貸住宅
 駅南区画整理事業では従前居住者用賃貸住宅が2棟整備されている。住戸50戸の「みやびのもり」は高齢者福祉複合施設(ディサービスセンター・在宅介護支援センター・ヘルパーステーションの3施設)との合築で、「シルバーハウジング」を併設している。「シルバーハウジング」では、各戸に緊急通報電話や水センサーが設置され、住戸ごとに情報が集約管理され、生活援助員が訪問する仕組みになっている。また、住戸60戸の「ふれあいのもり」は保育所と合築され、保育所の棟の屋上はふれあい広場となっているそうだ。屋上緑化も施されている。
 従前居住者用住宅は、事業完了後は単純に「市営住宅」という発想ではなく、高齢社会に備え、まちづくりの拠点となるような発想が特徴であり、大いに参考にしたい点である。

3.総括的に
(1)長野駅周辺整備を考えるとき、新幹線及び在来線が高架化できていれば、駅周辺の活用はもっと膨らむのに…との想いを強くするが、今となっては困難なことである。大分駅南北ともに平面整備とし、交通結節点機能の確保を位置付けている。この発想は参考にできよう。

(2)シンボルロードと公共複合施設の発想は、限られた事業展開になるとはいえ、東口土地区画整理事業に活かしたい。
(3)区画整理事業における従前居住者用賃貸住宅の活用は、長野市事業に活かしたい点である。

宮崎市…中心市街地活性化基本計画の取り組み


1.
面積596.8?、人口37.4万人。南九州の拠点として都市基盤の整備を進めるとともに、健康福祉都市、ボランティア都市、教育創造都市、環境都市、景観都市、子育てサポート都市で九州トップをめざす「九州一のまちづくり事業」を標榜し展開する。人口規模では長野市と同規模の都市である。口蹄疫の被害が宮崎県内で深刻化する中での宮崎市訪問となった。【写真左は宮崎市役所、右は県庁前の楠並木通り】

2.視察事項は「中心市街地活性化基本計画の取り組み」について。新しい基本計画はH19年5月に大臣認定されている。具体的な将来ビジョンとして「橘通りを中心とした公園化」を掲げる。この「公園化」が今回の視察の大きなテーマである。企画部中心市街地活性化対策室の上田健一室長補佐、堀之内智主査から説明を受ける。
 市役所内で基本計画の概要の説明を受け、中心市街地活性化事業で第一種市街地再開発事業として実施された「Y・Y PARK(ワイ・ワイ・パーク)」や「アートセンター」を現地視察した。アートセンターでは指定管理者であるNPO法人の工藤悦朗さんに案内と説明をいただく。

(1)中心市街地活性化基本計画の概要

 基本理念に「夢を育むみんなの街-橘通りを中心とした公園化-」を掲げ、交通利便性の向上により、賑わいの創出、まちなか居住環境の向上、就業機会の増加の三つを基本目標とする。その上で「交通環境の公園化」「居住環境の公園化」「賑わいづくりの公園化」「就業・商業環境の公園化」の4つを柱に68の事業が計画されている。「公園化」がキーワードだ。区域は南北約1.5キロ、東西約1.3キロ、面積162haである。
◆「交通環境の公園化」…駅西口拠点施設の整備、複合交通センターの整備、立体駐車場の整備、駐車場共同利用システムの構築
「居住環境の公園化」…景観モデル地区デザインづくり、家賃助成と建設費助成、まちんなかフラワーパーク
「賑わいづくりの公園化」…「Doまんなかモール」イベント、みやざき国際ストリート音楽祭、アートセンターの整備、まちんなかプレイパーク
「就業・商業環境の公園化」…駅前商店街のリニューアル、都市型産業等の誘致
そして、メイン事業として位置付けられたのが「橘通りの公園化」である。

(2)橘通り公園化事業の頓挫
 橘通りは宮崎県内最大の商業地を南北に貫く国道220号線で県庁や市役所が隣接するメインストリートである。片側3車線を2車線に減らし歩行者空間・公園空間を創出しようとするものだ。しかし、H20年11月に実施した「2車線化」の社会実験(400メートルの範囲で3千万をかけた)では、イベント開催場所での歩行者の増加、集客効果があったものの、渋滞が発生し危険が増大したことなどから、実験後の意識調査で市民の6割超が「反対」を表明、H21年3月には「2車線化断念」を決定せざるを得なかったとのことだ。ただし、片側2車線化ではない方法で公園化構想は引き継ぐ考えのようだ。

 長野市の中央通りの歩行者優先化道路事業をスケールアップした取り組みで、非常に関心を引く事業であったのたが、事業化中止は、交通渋滞、商店街の理解など、この問題の対応の難しさがうかがえる。

(3)「Doまんなかモール」イベント事業
 賑わい創出を図るため、5つの大型店と7つの商店街の共同組織として「Doまんなかモール委員会」が組織され、集客のためのイベントを主催。ダンス天国や小学生を対象にしたスタンプラリーなどを実施、大学生ボランティアらと連携している点が特徴的だ。

 また、中心市街地の300店舗が千円以上買い物した人を対象に発行する「30分無料共通駐車券」事業は、サービス3年目を迎え認知度が高まり、利用が急増しているそうだ。月平均2万枚の利用が維持されている。集客の重要なアイテムになっているようだ。
(4)ワイワイパークとアートセンター
 
 活性化の起爆剤に位置づけられた事業が再開発事業の立体駐車場=Y・Y・PARK(ワイワイパーク)とアートセンターだ。

 ワイワイパークは大型百貨店=山形屋に隣接する場所に建設された立体駐車場。山形屋と個人1人、地権者2名による個人施行の再開発事業。428台の官民共同駐車場で、宮崎市の取得分は285台。総事業費は20億円で補助金は12億円。市は8億円で285台分を取得、市補助金とあわせ15億円を投資、駐車場料金収入は3千万円で、20年間で回収を見込む。
 「みやざきアートセンター」は、橘通りに面して宮崎太陽銀行本店跡地などに建設された再開発ビルを活用した公共施設で、文化芸術の拠点として、まちの新たな魅力作りをめざす。H21年10月にオープン。地権者4名による個人施行の再開発事業。総事業費は19.4億円。12億円で保留床を市が取得、アートセンターとしての内装工事費等6.5億円をさらに投入している。合併特例債を活用。作品展示や音楽会に対応したスペースや絵画や木工の教室、また保育士が常駐するキッズルームを開設する。NPO法人・みやざき文化本舗が中心となった指定管理者で運営される。長野市で言えば、もんぜんプラザの「じゃんけんぽん」と生涯学習センター・トイーゴをコンパクトにひとつにしたような施設である。年間11万人の利用が目標で、一応順調にスタートしているとのことだった。屋上には駐輪場が設置されている。【写真左はアートセンター前のバス停、右は屋上駐輪場】

(5)民活利用で進む宮崎駅西口拠点整備事業
 宮崎駅西口の国鉄清算事業団の用地を市及び県が取得し、20年間の事業用定期借地権を設定し民間事業者である「宮崎グリーンスフィア特定目的会社」(商工会議所グループが出資する特定目的会社=TMK)が施設の企画、資金調達、設計建設、経営及び管理運営を行う仕掛けである。総事業費は約47億円。JR九州のホテルや商業施設、立体駐車場、さらに複合交通センターとしてのバスターミナルが整備される。今年3月には国土交通省が民間都市再生整備事業計画に認定した。
 H23年秋ごろにはオープン予定。完成後の利用状況を検証したいところだ。

 民間活力の活用が特徴の事業。商工会議所が14億円出資、民間都市開発推進機構が12億の出資、残りを金融機関の協調融資で資金調達のスキームができている。国交省の認定があってこその資金スキームだが、長野市の東西・駅口の再開発にあたり、検討されて良いスキームであろう。
3.総括的に

(1)中心市街地の活性化は、いずれの自治体も難問となっている施策である。「公園化」をキーワードする整備方針は面白い。メインストリートの公園化事業は頓挫したとはいえ、今後の展開に期待したいところである。しかしながら「公園化」=2車線化は車の通行総量を事実上規制する施策だと考えるが、このことと駅前及び駅周辺での立体駐車場の整備が矛盾しないのか、今後の動向に注目したいところでもある。

(2)中心市街地の活性化に大型店と地元商店街の連携が図られている点は、しっかりと学びたい点だ。さまざまな試行錯誤があったと思われるが、長野市の中央通りに位置する商店街のにぎわいイベントや歩行者優先化事業への集中度をみるとき、「Doまんなかモール」イベント事業等について、もっと掘り下げて検証する必要がありそうだ。
(3)駅周辺整備事業で民間都市開発推進機構と連携し、民間活力主導で事業展開を図っている点は参考にしたい。

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