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2010年2月12日
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第一庁舎、市民会館の基本構想案に対する市民ネットの見解


既に2月9日の信濃毎日新聞で「長野市民会館・第1庁舎建て替えをめぐる市会各派の意見」の要旨が報道【写真】されていますが、私が所属する市民ネットでまとめた見解は次の通りです。
 ?は2月12日段階で提出、?、?は2月5日に提出したものです。このページでは、総論部分を掲載します。見解全文は下記のPDF版部分をクリックしてください。

?第一庁舎・市民会館の建て替えに関する
  市民合意の形成について
 [PDF版]
?第一庁舎・基本構想案について
   [総論・各論全文はこちら・PDF版]
?長野市民会館・基本構想案について
 
  [総論・各論全文はこちら・PDF版]

第一庁舎・市民会館の建て替えに関する市民合意の形成について
  市長は1月8日の記者会見で「”市民会館について白紙”は選挙戦術だったと思われても仕方ない」と発言した。市長=市行政の立場と現職任期中である候補者の立場を使い分けることは、極めてご都合主義的な発言と言わなければならない。市民ネットは兼ねてより「市長の”白紙発言”は、あり方懇話会や建設検討委員会の審議経過と乖離があり過ぎる。行政の長として”建て替え”を堂々と主張し、市民の判断を仰ぐべきである」、「”白紙”と言うならば、検討委員会の審議をはじめすべての検討作業をいったん止めるべきである」と主張してきた。選挙前の候補者としての「ブレ」を「開き直り」で収拾させようとする姿勢は、「みんなの声が長野をつくる」とした市長の基本スタンスとは対極にあることを深く自覚すべきである。市長は12月議会で「おごらず、高ぶらず、謙虚に、誠実に市政に臨む」と述べた。「おごり、不遜」の姿勢を真摯に反省すべきである。
市民グループが行った情報公開請求に対して、市はほとんどをマスキングし「限定的」な情報公開で対応した。「誤解や混乱を防ぐため」としているようであるが、こうした姿勢が行政不信を増幅させる結果になっていることを踏まえ、政策決定過程における透明性の確保という観点から、行政内部での政策審議の公開について、最大限の公開を目標とする明確な基準を設け、真摯で誠実に対応することを求める。
  2月に全戸配布された「基本構想案・概要版」は、全戸配布したことを評価するものの、「情報公開が不十分」とする市民の疑問や声にしっかり応えるものとはなっていない。とくに耐震改修の場合とのコスト比較や合併特例債を活用することの是非などについて情報をより開示すべきである。「基本構想案全文」及び「市民意見と長野市の考え方」について、住民自治協議会や区長会の協力を得て、地域の「回覧」に付すことを具体化されたい。「基本構想案」発表後の追加資料についても同様である。
「基本構想案」及び「基本計画案」を策定する段階において、全市的な説明会・意見集約の場を設けるなど市民合意の形成により努めるとともに、修正・補強に柔軟に対応されたい。市民ワークショップは「公募による市民参画」を基本に広く意見集約できる場とされたい。また、市長は12月議会で「能動的な公聴制度、例えばモニター制度の検討」に言及したが、第一庁舎及び長野市民会館の基本構想案の策定にあたっても、具体化されるよう求める。
第一庁舎の基本構想案について(総論部分)
耐震強度が不足する第一庁舎は、「あり方懇話会」の提言を尊重し早急に建て替えるべきと考える。3000人/日とされる来庁市民の安全性及び市職員の安全性を確保する点から、さらに災害時の安全拠点施設とする点から、建て替えで対応することを良とする。
予定される50.3億円の事業費は合併特例債を活用するとはいえ、市費=税金を投入する大きなプロジェクトである。基礎免振工法による耐震補強策と比較し、事業費において54.3億円よりもコストが少ないこと、基礎免振によっても30年後には建て替えが必要となるとの分析を踏まえ、100年スパンで考え、合併特例債を活用し財政的負担を軽減できる今日的な条件を活かす観点から、基本構想案に基本的に賛成する。
ただし、前提条件として、①基礎免振工法による耐震補強工事とのコスト比較において建て替えが有利であること、②既存の第2庁舎と連動しうる建物構造が保持され、施設がすべての市民に安全で使いやすいものとなること、③エネルギー効率を高め環境に資する施設であること、④ワンストップサービスの実施をはじめ、市民サービスの向上に資するものであること、また⑤市職員の労働安全衛生に十分配慮することなどが必要である。
  特に①については、「居ながら工事」が可能であるとの意見や、延命・リニューアル工事の規模や必要度への疑問の指摘があり、総じて積算根拠があいまいな点が懸念される。この点の解明を求めるものである。
市民会館と連動する問題として、市民の意見の集約にあたり、全戸配布された「基本構想案概要版」において、耐震改修との比較が明示されていないことは、今後に課題を残す情報開示と言わざるを得ない。市民が何に疑問を持っているのかに的確にこたえる内容とはなっていない。政策決定過程の情報公開についての検証が必要である。至急に善後策を求めるものである。
市民会館の基本構想案について(総論部分) 
市民ネットとしては、第一庁舎を「現市民会館を解体した跡地」に建設する基本構想案を「是」とすることから、市民会館の将来にわたる必要性、求められる市民会館のあり方を課題としてきた。
貸館業務を中心とする現行のような「市民ホール」の将来を考えると、廃止し、他施設への代替利用転換を図ることが選択肢の一つとなるが、今日、求められる芸術文化創造の拠点となるような「市民会館」的施設と考えた場合、長野市民会館は廃止せず、必要な施設であると考える。

ただし、県民文化会館(ホクト文化ホール)の機能強化を含めた将来性、五輪施設の将来性、若里文化ホール、松代文化ホール、さらには篠ノ井市民会館のあり方を含め、市内における「ホール施設」の配置、市民・利用者にとっての利便性、存置の可能性を含め、この時期、検証されてしかるべきである。合わせて、施設の維持管理運営費の見通し、市民負担についても明らかにされる必要がある。

耐震補強工事を施し、歴史ある建物を長く使いたいとする市民の問題意識は大切である。公共施設全般に問われる課題であろう。耐震改修の場合に44.1億円と試算されているが、費用対効果について分かりやすい説明が求められる。
  市民ネットとしては第一庁舎の建て替えを是とすることから、いわゆる玉突きとなる市民会館については、必要な施設であると認めることから、自ずと「建て替え」を是とするものであるが、市民会館の必要性について、「一度も使ったことがない」市民も多いことから、市民ホール的機能を合わせ持つ芸術文化施設の必要性及び市費=税金の投入について、今後さらに市民合意を得る努力をすべきである。
 

しかし、建設場所及び規模・機能について直ちに基本構想案に賛同するものではない。建設場所を権堂B地区とする原案について、次の問題点を指摘する。

(1)「あり方懇話会」の提言に「財政面、他施設も含めた利用状況等を検討する中で」とあるように十分な考察が必要であった。しかし、本年度当初の「10カ所で選定」の経過、そこから3カ所に絞った過程も不透明であったと言わざるを得ない。十分な情報公開と説明責任を求める。

(2)現在のイトーヨーカドー、及び長野電鉄本社ビルは昭和53年及び昭和52年に建設されたビルである。イトーヨーカドーの建物は診断の結果、耐震基準を満たしているとされている。本社ビルは耐震診断が実施されていないものの、老朽化しているとはいえず耐震改修の道が残されている施設といえる。民間施設ではあるが有効活用を図るべき建物であろう。そのビルを解体してしまうことは資源の大いなる無駄であり、環境に優しい施策とはならない。

(3)検討委員会の提言に示された短所或いは懸念事項について、どのように対処するのかが示されなければならない。一つに、権堂商店街との賑わいの相乗効果が不明確であること、長野大通り東側に位置する商業ビルは中央通りから繋がる権堂アーケードを中心とする商店街から大通りを挟む形となり、集客・賑わいの創出が疑問であること。二つに権堂が持っているまちのイメージと文化芸術拠点としての市民会館とのイメージの調和に疑問が残ること。三つに大型店の存続に特化した再開発との印象があること、すなわち、特定の事業者への便宜供与となりうる危険性を持つこと。四つに、イトーヨーカドー長野店の存続についてCEOが存続を言明したようであるが、現下の経済状況で今後の動向が極めて不透明であること。これらの点について明快な方針が示される必要がある。総じて、再開発事業に参画する現基本構想案は、再開発事業そのものの不確実性に加え、前記の課題の解決が不可欠であると考える。

  以上から、建設場所について、3カ所の利点、欠点から総合的に判断したものとは受け止めるものの、この際、不安定・不確実な再開発事業に依拠する方策ではなく、現実的な施策として現在地を第一候補とした基本構想案に転換すべきと考える。その上で、市民合意を得る努力を十分に行いながら10月までに建設地を決定し、合併特例債を活用して平成26年度末までに建設するものと考える。
  基本構想案の「基本理念」「建設コンセプト」の部分は基本的に賛同する。
規模については、現市民会館の利用状況で1000人未満が8割であることから、メインホールは市民の日常的な利活用に資するよう1000人程度を最大とする規模で検討すべきである。採算性の課題があるとはいえ、再考を要する。
また、単なる「箱モノ」としない創意工夫が不可欠である。市民手づくりの文化芸術活動の発信の場となる管理運営指針を確立するとともに、維持管理運営費もコストとして明示し、市民の理解を得ていくことが重要である。


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