市側は答申尊重の構え
1月28日、市議会建設企業委員会が開かれ、水道料金の見直しについて、上下水道局からの説明をもとに協議した。
市側は、長野市上下水道事業経営審議会の答申を尊重し「H22年6月使用分から、H24年度までの3年間の期間で、水道料金を平均9.73%引き上げる」内容で3月議会に議案を提出したいと表明。一般的な4人世帯で20?の水道使用で、現行の月額2,688円から3,034円に、346円の値上げとなる。年間で4,152円の負担増となる。
14年ぶりの値上げとはいえ…
水道料金はH7年以来、14年間据え置かれてきた。このこと自体は率直に評価したいのだが、経営見通しに甘さがなかったのか、「14年ぶりの値上げだから理解を」といわれても、直ちにわかりましたとはいえない。
節水機器の普及などによる家庭での水使用量の減少、経済悪化に伴う企業コストの削減等により、ある水道料金収入の減少に歯止めがかからない現実に加え、老朽化が進む水道施設(水道管をはじめ浄水場や配水池)の更新に毎年約35億円投入する必要が生じているとする。このままの水道料金では3年後には赤字に転落するという。独立採算制による水道事業会計の厳しい実情は理解できるものの、9.73%引き上げが市民生活に与える影響は大きい。
業務用水道・企業への累進度を強め、負担を求める仕組みへ
長野市と同規模の中核市で、値上げ後の水道料金を比較した場合、一般家庭では中核市の平均を大きく超え10位から4位に。一方、企業等の業務用では値上げをしても平均を下回っている。業務用の累進度が低いことも長野市の特徴だ。企業を優遇する仕組みとなっている。
水道料金の年度別推移によれば、水道利用件数(口径別)の98.8%を占める一般世帯では横ばい状態なのだが、水道利用件数(口径別)の1.2%にあたる業務用(企業)の落ち込みが激しく、料金収入においても全体の約32%を占める企業の水道料金の極端な減少が経営全体に悪影響を及ぼしていると考えられる。言い換えれば、企業の水道料金減少分を市民一般世帯であまねく負担する構図となっているのだ。これは何とも釈然としない。業務用・企業に対し、累進度を強め、より負担を求める値上げの仕組みが検討されてしかるべきであると考える。
第3案=7.71%の値上げに抑えるべき
経営審議会では、利用金値上げの幅について9.73%、11.75%の2案に加え、第3案となる7.71%の値上げ案も検討された。極めて異例と思われるが、7.71%と9.73%の2案を多数決で裁定し、最終的に9.73%を答申した。ここに、今回の値上げが過大な負担ではないかとの問題が凝縮されている。
委員会では、1年毎の値上げとし値上げ幅を抑えられないのかといった修正を求める意見が相次いだ。一方で、県営水道を利用する犀南地域の水道料金は、値上げ後の市営水道料金より高いという地域格差の問題もある。私は、「13億円ある損益勘定留保資金を投入し値上げ幅を抑えることはできないのか」と質したが、公営企業会計では赤字補てんに使えないとのことだ。下水道料金もH24年度には値上げを検討せざるを得ないとされている。最終的に私は、改善されていない市民の暮らし向きを踏まえ、検討された第3案=最小の7.71%の値上げに抑えるべきであると考え、原案の修正を求めた。料金値上げは3月議会に提案される。
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