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44年ぶりに長野市で護憲全国大会開催&ソマリア沖への自衛隊派遣を考える |
ズク出せ!護憲派
事務局長を務めている長野県憲法擁護連合(県護憲連合)は2月11日、長野市内で第54回定期総会を開き、昨年行われた国民保護法に基づく「国民保護実動訓練」に対する反対行動などを振り返りながら、自衛隊海外派兵恒久法の制定、憲法改悪のための憲法審査会の動向を注視しながら、憲法9条、そして生存権を定める憲法25条に焦点をあてる今年1年間の活動方針を決めました。また、長野駅前でソマリア沖への自衛隊派遣反対を訴え、街頭宣伝活動に取り組みました。
今年の運動課題の目玉は、長野県開催を受け入れた「第46回護憲国民大会」の成功に向けた取り組みです。憲法理念の実現をめざし、全国から護憲運動関係者を約3千人を集める「護憲国民大会」は毎年開かれているもので、県内での開催は1965年の第2回大会以来、44年ぶりの開催となります。
大会は今年11月1日~3日の3日間、長野市の「県民文化会館」を主会場に開き、講演やシンポジウム、分科会やフィールドワークなどを予定しています。
11日には、県護憲連合の総会にあわせ「第46回護憲国民大会・長野大会」の長野県実行委員会を結成しました。実行委員長には中山喜重・県護憲連合代表委員が就任、私は副実行委員長の任に就くことになりました。
開催地としてのスローガンは「ズク出せ!護憲派」です。憲法9条、そして25条を活かす運動の前進を図りたいものです。
ソマリア沖への自衛隊派遣を考える[県護憲総会より]
1月28日、政府は安全保障会議を開き、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、自衛隊法82条の海上警備行動で海上自衛隊艦艇を派遣することを決め、防衛大臣は海自に準備指示を発動、護衛艦2隻が3月上旬の出港に向け訓練に入っています。私たちは、憲法に違反し、自衛隊法にも違反する自衛隊の海外派兵拡大に反対します。
■海賊対策は海上保安庁で
ソマリア海域に出没する海賊は、統一政府のない分裂したソマリアの国家問題や、こうした状況を悪用し漁業資源を根こそぎ奪い取っていく外国漁船の横行、欧州企業による核・化学廃棄物を含む産業廃棄物の不法投棄などの理由から収奪行為を余儀なくされているといわれています。今日、必要なことは、ソマリアの海賊を武力で押さえつけるのではなく、背景にあるソマリアの悲劇を解決するための経済的・人道的支援に他なりません。犯罪である海賊を取り締まり、日本船舶の警護をするのであれば、司法警察権をもつ海上保安庁を派遣すべきです。
■自衛隊法に違反する派遣決定
派遣根拠とされる自衛隊法82条の海上警備行動は、日本国沿岸・領海内の警備行動を想定する規定です。国会の関与もなく、自衛隊をソマリア沖に派遣することは、自衛隊法の趣旨すら著しく逸脱するものあり、隙あらば自衛隊の海外派兵を既成事実化、拡大しようとする目論みに他なりません。
■武力行使に道を開く憲法違反
自衛隊の海上警備行動における武器使用は、正当防衛・緊急避難に限定されていますが、この制限を超えることが懸念されます。しかも、海賊対策新法の制定では自衛隊の武力行使を容認する議論さえ行われています。国連の「安保理決議1851」は、ソマリア領土内での海賊対策を容認しており、自衛隊の派遣は憲法が禁止する「武力行使」「戦闘行為」に道を開くことにつながります。憲法違反を認めることはできません。
■自衛隊派遣は直ちに撤回を
政府は直ちに海上自衛隊の派遣準備指示を撤回し、経済支援など武力によらない平和な国際貢献を模索すべきです。
ソマリア沖の海賊問題とは?根本解決には何が必要?
■08年で111件の被害
アフリカのソマリア沖(表の地図参照)では、いわゆる海賊が外国船舶の襲撃を繰り返しており、昨年はタンカー銃撃など日本船の3件を含む111件の被害が出ています。これに対し国連は各国に海賊掃討の武力行使を認める異例の決議をし、事態はより深刻となっています。米国やフランス、中国などは既に護衛の艦船を派遣していますが、日本政府の自衛隊派遣決定は、十分な議論もなく「この動きに乗り遅れまい」とする「派遣ありき」の姿勢が際立っています。
■仕事を奪われた漁民が海賊に
ソマリアは20年に及ぶ内戦状態で経済は壊滅し、中央政府が存在しない無政府状態が続いています。そのため、沿岸警備隊が消滅し、ソマリア沖では欧米に日本を加えた大型の外国船による大量違法漁獲が行われ、加えて、化学物質、放射性廃棄物などの廃棄により、沿岸部の漁民の仕事が奪われ、生計が立てられない状態に。国民生活は極めて厳しく、アフリカ諸国の中でも最貧国に位置づけられています。海賊行為の多くは、ソマリアの漁業会社や漁民が、手持ちの漁船を使って行っているのが現状です。生活困窮からの身代金が目的で、拘束した船員の生命に危害は加えられていません。このような原因を考えれば、単に取り締まりや軍事力による殲滅などによって問題が解決しないことは明らかです。
■イエメンの沿岸警備隊「自衛隊はいらない」
ソマリア沖1200Kmに及ぶ海岸線に対して、日本船舶の航行は年間約2,000隻、ソマリアの海賊が高速艇を使用し神出鬼没でることなどから、警備行動は物理的に困難であると考えられ、その実効性は疑わしいものといわなければなりません。日本を訪問した、現地の状況を理解するイエメン沿岸警備隊アルマフディ作戦部長は、「海上自衛隊の派遣は高い効果は期待できず、必要はない。むしろ我々の警備活動強化への支援が欲しい」とし、部隊の基地となる港湾の新設や高速警備艇の導入、海上保安庁による技術指導などを要請しています。9条を持つ日本がなすべきことは、憲法の平和主義に基づき、非軍事による徹底した人道支援協力・経済支援協力・技術支援協力を行うことに他なりません。
2月の「9の日行動」=護憲連合のチラシはこちら
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