2月5日に臨時市議会が開かれます。
30日の会派総会で議案の説明がありました。議案は国の第2次補正予算の成立を受けての対応が柱で、総額15億7608万円のH20年度長野市一般会補正予算案一本です。
《補正予算》の内訳は次の通り。
一つは、緊急経済対策として、切れ目なく仕事量を確保するため公共事業等を前倒しする事業費で12億4850万円余。
二つは、定額給付金や子育て応援特別手当の支給準備にかかる事務費として2億4800万円余。
三つは、中小企業への支援として制度融資保証料交付金を拡大するために7400万円。
四つは、雇用の確保として、市で雇用する臨時職員20名分の賃金等で536万円。
このほかに、12月補正での「ゼロ市債」(年度を越えて事業を行う場合に設定される債務負担行為の分で、前倒しで事業費が交付される効果がある)の5億2千万円、「入札差金」の活用で2億8千万円、合計で約8億円分を活用して単独事業の前倒実施などで仕事を増やすことになります。
2月3日には、4常任委員会の協議会が開かれ、補正予算の詳細な説明を受けることになっています。
市内の中小零細事業者に仕事とお金がいきとどく、キメの細かな対応が必要
総額15億7600万は14分野38事業にわたる事業費として計上されています。既決予算分と合わせると約20億円の資金が施設の改修や道路整備などの土木事業に回ることになります。この仕事とお金が市内の中小零細企業に行き渡るようにすることが重要です。そのために1事業1社という発注ではなく、仕事をできるだけ再分化して発注する仕組みが、今まで以上にかつ緊急措置的に求められると考えています。
富士通長野工場がハードディスク事業から撤退し、360人の労働者の配置転換を進めると報じられました。電機通信関連の製造業部門は、すでに派遣労働者の雇い止めなど雇用調整をかなり進めていますが、こうした事業分野への仕事の配分は難しいのが現実。企業に自らの雇用責任、社会的責任に真摯に向き合ってもらうことが重要であるし、行政としてできる限りのセーフティネットを用意することが不可欠です。
定額給付金の事務費に2億3860万、給付金総額は58億円
高額所得者への支給や有効的な使途を巡り迷走を続け、世論調査では8割近くの国民が「バラマキではない有効活用を」と求めている「生活支援定額給付金」が自治体レベルで動き出します。長野市での給付総額は約58億円に上ります。
問題の給付金、3年後には消費税の大増税が待っているのでは、景気対策どころか財布の引締めにしかなりません。しかも住民票を持たない派遣労働者や日雇い労働者、世帯を別にするDV被害者などには支給できないことになります。一番生活に困窮している層に届かなければ、支給する意図は半減してしまいます。
また、世帯主の申請に基づき、口座振り込みを基本とする定額給付金が、内需の拡大、消費につながる効果は多く見積もって約2割、2兆円のうちの4000億円に過ぎないのです。さらに、国はこの給付金事業を勝手に「市町村の自治事務」にしましたが、クーポン券にするなどの自治体の自由な工夫を認めていません。一人1万2千円、18歳以下と65歳以上は2万円を現金で給付する制度設計を変えることを認めていないからです。分権・自治と言いながら、やることは全く正反対。しかも事務費だけで825億円を要します。長野市の場合で2億3860万円。例えば、この事務費の一部で生活保護の母子加算廃止をやめることができます。
財務相の諮問機関である財政制度審議会ですら「使途の見直しが必要、他の経済活性化策に振り向けるべき」と指摘せざるを得なかった「給付金」、与野党で協議し、国民が一番望んでいる使い方を見出すべきであったと指摘せざるを得ません。
今後は、関連法案の成立の行方の不透明さもありますが、粛々と進んでいくことになります。私の周りでも、「給付金どうするか」との話題はもっぱらで「2兆円使うなら、バラマキではなくて雇用や福祉に優先すべき」との声が強くある一方、「でも支給されることになるなら、そりゃもらうさ」との現実的な声が返ってきます。10年間実質所得が減り続けている生活苦を反映している声だと受け止めています。
不公平感生む「子育て応援特別手当」
バラマキはもう一つあります。子育て応援特別手当です。3歳以上18歳以下の子どもが2人以上いる世帯のうち、H14年4月2日からH17年4月1日までに生まれた第2子以降の子(3歳から5歳)に対し、一人につき3万6千円を支給するもの。市内の対象者は約6300人で、約2億2600万円が総額となります。なぜ3歳から5歳に限定なのか、しかも第1子が19歳になっていれば4歳児がいても支給対象とならないし、第1子が5歳、第2子が3歳の場合は1人分で、第1子が例えば8歳で第2子が5歳、第3子が3歳の場合は2人分支給されるという制度です。子育てに不公平感を残す場当たり的な制度設計で、しかも1回限りの支給では、効果のほどは不透明といわざるを得ません。もっと公平感のある制度設計が求められていたといえます。
これも、「とは言え」ということになるのでしょうか。1回限りとはいえ3万6千円の現金支給が生活にプラスになることは間違いありません。
国における制度設計の問題点を指摘しつつ、限定的とはいえ有効活用を図る工夫を図ることを求めていくしかないのでしょうか。
さらに、国の第二次補正に盛り込まれた「介護人材等の確保」や「妊婦検診公費負担の拡充」などが、市の補正予算案には盛り込まれていないのですが、確認する必要があります。
皆さんのご意見をお聞かせください。
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