議会が始まる前日の12月2日、鷲澤市長に市民ネットの「H21年度予算編成における重点施策の要望書」を提出しました。【予算要望書・PDF版】はこちら。
市民ネットとしては、箇所付け予算要望(個別対応できるものなので)ではなく、今の経済社会情勢に照らして、市政として重点施策として位置づけ、市民が必要とする施策の実現に重きを置いています。新年度に向けてはそれでも96項目、内重点施策として46項目を要望しました。 【右写真は要望書を手渡す池田清代表と副代表の私】
平成21年度は第4次長野市総合計画・前期基本計画の折り返しの年となります。重点施策推進本部において、総合計画における基本施策並びに前期基本計画における重点施策の進捗を検証し、単年度における優先施策が方向付けされたものと考えますが、こうした検証のプロセスが市民に見えにくくなっているのではないでしょうか。厳しい財政状況のもとで都市内分権という住民自治の新しい仕組みを構築し住民参加によるまちづくりを進めていく上で、市民の税金が「選択と集中」のもとでどのように生かされるのか、絶えず市民の理解と合意に支えられる市財政のありようが問われていると考えます。総合計画、基本計画に照らした「選択と集中」がわかりやすく開示・説明されることが必要です。
平成21年度予算編成にあたっては、平成19年度まちづくりアンケートから「特に力を入れてほしい施策」として上位にのぼった「医療体制の整備・充実」「介護予防、介護サービスの充実」「利用しやすい行政サービスの提供」「子育て支援の充実」「バスや鉄道などの移動手段の確保」「安定した雇用の確保」等に応えられる重点施策・優先施策の設定が求められるところでもあります。派遣切り、雇い止め、内定取り消しなど雇用問題が深刻化するなか、地域格差、所得格差をなくし、市民が明るく豊かに安心して住み続けられるあったかい市政を求めました。
予定時間をオーバーしたものの、すべての重点項目について意見交換できず、未消化に終わった感があります。市長は「大筋、要望を踏まえ予算編成に生かしていきたい」としました。
限られた市長とのやりとりですが、ポイントと思われる点を報告します。下の写真はやりとりの様子なのですが、市長・副市長との間の距離が、気になるのは私だけですかね?机の配置からこの距離感は仕方ないのですが、政策への視点、施策の優先順位、重点度合の違いを微妙に(?)反映示しているかも…。
■第4次総合計画の進捗を検証する重点施策推進本部の議論の経過が見えるわかりやすい予算編成を。
市長=十分に透明性を確保している。
■医療の充実、介護サービスの充実、子育て支援、移動交通手段の確保、安定した雇用の確保など「まちづくりアンケート」から見える市民要望に積極的に応えるべき。
市長=厳しい財政状況の下で、「選択と集中」により十分に配慮しているつもりだ。
■都市内分権…「住民の当事者意識の醸成」にもっと時間を。
市長=地域の実情に即してものになるよう十分配慮している。新しい住民自治の仕組みはもっと急がなければならない。
■雇用問題が深刻。市職員も非正規雇用が増大している。ワーキングプアとならない賃金・労働条件の改善を。
市長=頭が痛い課題だ。職員の減は国から厳しく言われている。保育所で嘱託職員が多いことは承知している。改善は必要だ。民間活力と絡む問題ではあるが、できるだけのことはしたい。
■地域公共交通の再生・活性化を。
市長=どこまで財政を投入するか、悩ましい問題。バス事業者の車両更新がままならない状況は深刻。いずれにせよ、都市インフラとして整備を進める。
■エコ通勤などに政策誘導策を講じ、脱マイカー社会を。時差通勤の検討も。
市職員の取り組みとしては、限界かなと思う。企業等に対しては、活性化再生法の支援に基づき、マイカーからの転換が図られるよう努力したい。
■利用者負担の見直しは値上げありきになっている。過度で急激な負担増にしないように。
市長=コスト論で合理的な基準をつくった意味は大きい。基準に基づき3分類・類型化した段階。十分に市民に説明していく。値上げありきではない。
■公民館への指定管理者制度導入は急がず、当分の間は直営で維持すべき。
市長=住民自治協議会の成熟度に配慮することは当然。決して導入ありきではない。
■市民病院、医師・看護師確保し、100床増床のフル稼働体制を早期につくるべき。
市長=指摘の通り、増床分のうち50床しか動いていない。今から思うと100床は過大過ぎた。判断ミスであったと思う。300床態勢でよかったかもしれない。いずにせよ市民の基幹病院として機能を充実させる。
■学校の耐震化、危険度の高い39棟の早期事業化を図るとともに、情報開示の上で事業計画の提示を。
市長=国の特例で前倒しした。さらに急ぎたいのだが、耐震構造の審査が間に合わず事業化が思うように進まないのが現実。この点は理解してもらいたい。
■命の安全に地域格差が生じない地域消防体制の確立を。3消防分署の消防・救急兼務体制は撤回を。
市長=救急出動の圧倒的な比率を考えると、消防と救急の兼務は必須。消防と救急の両方の資格取得に向けた取り組みを進めたい。
■来年の課題
予算編成にあたっての重点施策の要望で課題だなと思うところがあります。これまで、市役所の部局ごとに予算要望してきているのですが、子育てや環境など部局をまたがる政策・施課題が増えている中で、総合計画の基本施策・重点施策に沿って政策・施策ごとに要望書をまとめた方が市民の皆さんにも分かりやすいのではないかということです。市の担当者は大変かもしれませんが…。今回は十分な時間がなく、問題意識はありながら、前例踏襲方式にとどまってしまいました。来年の課題です。
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