今日の話題
今日の話題
08年11月3日
トップページに戻る トピックス・長野市議会に戻る 次のトピックス
市議会…政治倫理条例、議会基本条例の検討へ動き出す

副委員長務める特別委員会で初会合
10月31日、市議会の議会基本条例検討特別委員会の初会合が開かれました。私はこの特別委員会の副委員長を務めます。言うまでもなく、この特別委員会は、元議員の飲酒運転による議員辞職に端を発し、議会のケジメとして倫理を確立するとともに議員の責務を改めて条例として確立することが必要との認識から設けられたものです。

 初会合では、全国での「議会基本条例」の制定状況、議員(政治)倫理条例の制定状況を議会事務局から説明を受けた上で、今後の進め方の基本的な考え方について協議しました。結果、委員会としては、議員の倫理に関する条例と議会基本条例の二つの制定を検討していくこととし、まずは議員の倫理に関する条例を協議、その次に議会基本条例について協議することになりました。

 また、1月に議会運営委員会と一緒に行政視察をすることにし、議会基本条例をテーマに三重県、三重県伊賀市、大分市の3自治体とすること決定しました。

任期は1年ですから、1年以内に条例の案を「形」にしていくことが大事です。同時に、特別委員会だけの議論ではなく、全議員の研究・調査、討論も必要となります。
 ところで、倫理観を条例に定めなければならないというのは、何とも情けない限りです。人として生きていく上で「常識」としてもっていなければならないものですから。とはいえ、政治倫理観を疑われないよう厳しく自らを律することは不可欠です。

倫理条例は4つに1つの自治体で制定

自治体レベルの政治倫理条例は、全国806自治体中187議会で制定済み(制定率23.2%)となっています。県議会議員と指定都市の市議会議員は資産公開法の対象となっており、資産等の公開に関する規定を含んでいます。中核市は資産公開法の対象ではないものの、大分市や鹿児島市では「必要があると認められる議員の資産等報告書の提出に関する規定」を含んでいます。また、「条例」ではなく「議員政治倫理要綱」として「議会告示」としている議会も結構あるようです。

「倫理条例」の大づかみな特徴…倫理規準、市民の審査権の保障、
情報公開が課題

「市議会議員は、市民の厳粛な信託を受けた地位にあることを認識し、市民全体の奉仕者として、その人格と倫理の向上に努め、常に良心に従い誠実かつ公正にその職務を行うことを促し、もって清潔で民主的な市政の発展に寄与すること」(宇都宮市議会)を「目的」とし、「議員の責務」として「政治的または道義的批判を受けた時は、真摯かつ誠実に事実を解明し、その責任を進んで明確にする義務を負う」(三重県議会)ことを明記しています。さらに「政治倫理規準」(因みに「規準」とは「行動の手本となる規範」とされる)では、地方自治法・公職選挙法・政治資金規正法等の諸規定はもとより、地位利用、地位利用による金品授受、あっせん利得、利益誘導などを事例に挙げています。

さらに、「倫理規準に反する疑いがあると認められる場合」に「審査の請求」を認めているのですが、この「請求者」にはかなりの隔たりがあります。「議員定数の12分の1」(三重県議会)、「市民の1500人以上の連署、議員では4人以上の連署」(宇都宮市議会)、「市民の100分の1以上のものの連署、議員では定数の8分の1」(大分市議会)などです。もちろん、この「審査請求規定」がないものもあります。また、「審査会の設置方法」や「審査結果の公表」についても議会毎に異なります。市民の審査権の保障、市民への情報公開が今後の協議のポイントとなりそうです。

議会基本条例は2県7市11町村、20自治体で制定

H18年5月の北海道栗山町での制定を皮切りに、全国で動き出しているのが議会基本条例の制定です。分権改革によって自治体の権限が拡大し、議会の役割がますます大きくなってきていることを背景にして、議会の活性化の在り方、真の二元代表制の在り方、住民自治を尊重し先導しうる議会の在り方が問われるなかで、議会人としての基本を定めていくものです。議会と議員のあるべき姿、住民や首長との関係などを規定するとともに、議会報告会などの住民との対話のための仕組みを盛り込んだり、議員相互の討論を促進することを定める規定もあります。さらに市長らが議員に逆質問できる「反問権」や、地方自治法に規定のない住民や有識者で構成する「付属機関」の設置を明記した議会もあります。

 我が国における議会制度の改革を担う取り組みであると同時に、住民自治の精神を議会人として体現していく取り組みとなります。

「市民自治基本条例」と合わせた取り組みも

私としては栗山町での初めての制定以来、関心を持っていた課題であり、自ら望んで委員となった経過があります。議会人の改革としての「議会基本条例」、そして住民自治を柱とする「市民自治基本条例」は、これからの自治体における大きな課題です。先進自治体議会の取り組みに学びながら、市民の皆さんと一緒に「形」にしていきたいと思います。


このページのトップへページトップへ