4月1日から道路特定財源の暫定税率が失効し、ガソリンの値下げが始まっています。長野県内では1日からの値下げは困難とし県民に理解を求める広告ポスター等を貼りだしていましたが、いざ蓋を開けるとガソリンスタンドの生き残りをかけた過当競争故か、9割超で値下げに踏み切っていると伝えられています。地域でばらつきが生じていることが新たな問題として浮かび上がっています。
また、県内17市町村で、道路関連工事の入札や予算執行を凍結しているとの報道も。長野市は検討中としていますが、歳入不足を警戒する混乱が広がっていることは事実でしょう。国会を中心とする政治の責任は重いものがあります。
■暫定税率廃止で年間15億円の減収に。道路特定財源35億円を見込んで予算化
3月議会の焦点の一つが道路特定財源の扱いでした。道路特定財源の無駄な使い道が明らかになるにつれ、年度末に向けて暫定税率が維持されるのか否かが国会の焦点になっていたからです。新年度予算案は道路特定財源分35億円の歳入を見込んで策定されています。
暫定税率を見直し、ガソリンが安くなること自体は消費者としては大歓迎なのですが、長野市の道路整備を考えると「まだまだ財源は必要」であると考えます。下表は道路別の改良率をまとめたものですが、市道の改良率は47.3%で全国平均を下回り、都市計画道路でも長野市の整備率は52.9%、全国平均55.6%、中核市平均64.0%をいずれも下回っています。市道の整備を完了させるには100年間かかるとの市の試算も示されています。
道路別改良率の比較(H18年4月1日現在)
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全国平均
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長野県
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長野市
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一般国道
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90.8%
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85.5%
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70.1%
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都道府県道
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66.7%
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57.7%
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52.1%
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国・県道計
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73.8%
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66.3%
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54.5%
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市長村道
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55.0%
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45.9%
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47.3%
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確かに40年前に計画された都市計画道路などは、その必要性についてしっかりと検証し直すことが求められていますし、国レベルでの道路建設の抜本的な見直しが必要であることは間違いありません。しかしながら、長野市内の道路状況をみると、国道・県道・市道ともに歩道や自転車道の整備、渋滞緩和を含め、安全で便利な交通環境の整備は必要です。
■会期中の3月11日に「道路特定財源諸税の暫定税率延長を求める意見書」が可決
11日の本会議で、標記の意見書が賛成多数で可決されました。市民ネットとして賛成する立場を確認していましたが、私自身は残念ながらインフルエンザでダウンし採決に加われませんでしたが…。
この意見書については、「現行の暫定税率の水準を維持し、関連法案を今年度内に成立されるよう強く要請」とする原案に対し、自治体の混乱を避けるため2008年度に限り「当面」維持する、1年間かけて議論をし直すという意味で、「当面」の2文字を挿入するよう新友会や政信会に働きかけましたが、実現しませんでした。
■国会はもっと本質的な議論を
道路特定財源が公務員の保養施設や野球のクラブなどに化けている、そんな使われ方にはあきれるばかりです。また全国には必要性が疑われる高速道路や高規格道道路が存在することも事実です。ここにはしっかりとメスを入れなければなりません。
議会閉会後、年度末ぎりぎりの段階での福田首相の「2009年度からの一般財源化、道路整備中期計画の抜本的な見直し」とする提案も「功を奏する」ことなく、時間切れで新年度に突入しています。暫定税率は一旦失効し、4月1日からはガソリンの値下げが始まっています。政府与党は「衆議院での再議決」を睨んでいますから、いずれ暫定税率は復活することになるのでしょう。
私自身は、「暫定」という以上、税率のあり方の見直しは必要であり、税金の使い道の自由度を高めるという点で将来的に一般財源化することも必要であると考えていますが、まずは道路整備中期計画の是非を地方から積み上げていく本質的な議論がなされなければなりません。また車やガソリンのユーザーによって賄われている財源であることを注視し、CO2排出削減に向けた環境税等への切り替えもしっかりと検討すべきだと考えています。社民党の一員ですが、国会審議はどうも与野党の駆け引き、党利党略に映ります。
■税金の話であれば、格差と税負担にこそ着目すべき
広がる格差、重くなる税負担を解決することが政治の責任です。税制全般についても国民の暮らし向きに注目し、不公平税制の抜本的な見直しが必要です。高額所得者の所得税の見直しや企業優遇減税の見直しが、現段階でこそ必要であると考えますが、どうでしょうか?
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