3月6日、本会議で一般質問を行いました。質問内容を掲載します。なお、4番目の「受益者・利用者負担の見直し」については、再質問の際にポイントだけ質問しました。
長野市ホームページ「市議会中継放送」「過去の放送」でご覧になれます。
13番、市民ネット・布目裕喜雄です。
市長をはじめ理事者の皆さんには、新年度にあたり、市民の暮らし向きの不安と期待に応えられる、わかりやすい施策の「選択と集中」、日々の営みに温かみを実感できる市政運営を心から願い、市民ネットを代表して、通告に従い質問します。
1.まずは「地域公共交通の活性化・再生について」です。
(1)川中島バスを含むアルピコグループの私的整理による事業再建、そして信南交通の路線バス直営からの撤退、運行主体の自治体への移管表明は、長野市のみならず県内公共交通網の危機を浮上させる衝撃です。とりわけ長野市民の「生活の足」である川中島バスの事業再生への動向は、バス部門の会社統合、不採算路線からの撤退を含む事業再生計画が伝えられているだけに、市内公共交通の根幹を揺るがしかねない問題であると同時に、地域経済を支える安定した雇用にも深刻な影響が懸念されるところです。
(2)市長は所信表明冒頭において、この問題について強い危機感を表明するとともに、「地域の公共交通のあり方を見直す一つの良い機会としてとらえ、持続可能な公共交通システムの再構築に向けて調査・研究を進める」とした上で、市民に公共交通機関の積極的な利用を訴えるメッセージを発信しました。2月下旬には「地域住民の移動手段である公共交通網を維持してもらいたい」「地域経済や地域雇用に影響を与えないよう最大限、配慮してもらいたい」とした2万5269人の住民署名が第1次分としてアルピコグループに提出されたところでもあります。そこで市長にお願いかたがた提案します。市民の足と暮らしを守るため、地域経済と市民生活に与える影響を最小限にするために、地域公共交通の維持・再生と雇用の確保に向けて、関係・近隣首長と連携し、あるいは商工団体とも連携し、アルピコグループの経営陣、または新経営陣に対し、具体的なアクションを起こしてもらいたいと思います。所見をうかがいます。
(3)さて、市長が持論とするように、地域の公共交通はその地域の経済社会活動の基盤、すなわち都市インフラであり、公共財です。少子高齢・人口減少時代の到来、地方分権、地域の自立・活性化、地球温暖化をはじめとする環境問題などへの対応を考えたとき、地域公共交通の活性化・再生は喫緊の課題です。バス事業者が当事者意識をもって主体的に役割分担することはもとよりですが、今日、都市インフラ・公共財としての公共交通を整備することは、行政自身が正面から向き合わざるをえないところとなっています。
(4)そこで具体的に伺います。一つは「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(以下「活性化法」とする)を受けての対応です。既に昨日、「地域公共交通総合連携計画」を策定するため、活性化法が求める「法定協議会」を早期に発足させる考えが示されました。関係機関と連携し、早期に軌道に乗せてもらいたいと思います。その上で、協議会の構成団体に、地域公共交通会議と同様に「一般旅客自動車運送事業者の運転手が組織する団体」の代表も組み入れるよう求めます。いかがですか。
(5)二つは、策定することになる「地域公共交通総合連携計画」は、JRやしなの鉄道、長野電鉄など鉄軌道の活用・活性化の課題もありますが、既に策定した「バス路線網再編基本計画」をベースにバス交通を主軸としつつ、市民の足としての利便性を高めるため、重要基幹バス路線のあり方の再構築、地域循環コミュニティバスやデマンドタクシーとの組み合わせの再構築、利用料金・運賃のあり方の検討を急ぐとともに、ICカードやバスロケーションシステムの導入、バス専用レーンの拡大、トランジットモールの具体化、パークアンドバスライドの拡大、バス停・上屋の整備等を検討すべきと考えます。いずれも事業者の基礎体力の問題はさけられませんが、市としての所見をうかがいます。
(6)三つに、持続可能なバス公共交通網を再整備し、市民に安心できる「生活の足」を提供することをめざし、市が主体となって、バス事業者の参画・連携のもとに、生活路線バスの運行管理を担い、市民に責任を負う「長野市交通公社」(仮称)の創設を検討してもよいのではと考えます。構想として検討すべき課題であると思いますが、所見をうかがいます。
(7)四つは、地球温暖化防止の取り組みとする公共交通の利用促進策についてです。
CO2排出量は、バスがマイカーの約3分の1、鉄道では約9分の1です。公共交通の利用促進がC2排出量削減の有効な手立てとなっています。先の議会で国際的な取り組みとなっている「カーフリーデー」の提案もしましたが、企業や市民の協力のもと、せめて「ノーマイカーデー推進市民会議」などを改めて再構築し、新しい市民運動を主導すべきと考えます。いかがですか。また、金沢市などの「公共交通利用促進条例」を参考にして、市はもとより市民・企業事業者、公共交通事業者の規範となる仕組みをつくり、総合的な公共交通利用促進を図るべきであると思いますが、いかがですか。
2.次に、「信州新町・中条村との合併について」質問します。
(1)「長野市との合併の賛否を問う住民意向調査」で、信州新町が賛成7割、中条村が賛成9割という結果は、長野市民として重く受け止める必要があります。3市町村の合同研究会の立ち上げにあたり、住民への情報開示、住民合意の形成に絞って質問します。
(2)この合併について、長野市民からは複雑な思いを込めた声、冷めた声を耳にします。「やむを得ないだろうけれど、財政的にはどうなるの。旧4町村と合併したばかりだし、また大きくなればいいってもんじゃない。自分は聞かれていないしね」といった声です。この現実からスタートしなければならないことを強調したいのです。新合併特例法では、地方交付税の優遇措置があるとはいえ不透明ですし、合併特例債(有利な借金)による国の支援もなくなります。地方財政がひっ迫している中で、2町村がどんな財政状況なのか、独自の住民サービスはどのように継続できるのか、借金が増えて大丈夫なのか、長野市民の負担は増えないのか、全体の市民サービスは後退しないのか、などなどのことが市民に情報公開され、市民の議論となることが大切です。豊野・戸隠・鬼無里・大岡との合併が長野市民のプラスになったのか、という検証も必要です。
(3)こうした点が合同研究会の課題になるのだと思いますが、合併するか否かの判断材料をつくるわけですから、合同研究会の調査・研究の段階に応じて、きめ細かな情報開示を行うことは不可欠です。その際、私は、合同研究会の段階で、長野市民に合併に関するアンケートなどを実施し市民の期待や不安を把握し、法定協議会設置の議論に生かしていくことが大事だと考えます。合同研究会は任意協議会と違い、議会や住民の代表がはいっていないわけですから尚更です。また、市では合併に関する市民会議を前回同様開催する方向性を示していますが、前回の合併では、市長自身が述べているように「低調」でした。低調な市民の議論を克服していく手立て、市民の関心を喚起していく手立てとしてアンケートなどを位置づける必要があると思います。前向きな所見をうかがいます。
(4)市長は「合併は最大の行政改革」としスケールメリットを強調しますが、広がる中山間地域、そして面積を考えると、市民の福祉の向上のための公共サービスを市民に等しく持続的に提供していくという点で、先行き見通しがつかない大きな課題を背負うことになります。スケール・デメリットにもしっかりと着目し、対応されることを強く願います。
(5)さらに、前回の合併協議では、「サービスは高いほうに、負担は低いほうに」を基本に事業のすりあわせが進められましたが、結果は「当面現行どおり、合併後に見直し」とされ、結局は経過期間をおいて長野市水準への統合が図られています。町村の独自サービスを尊重し大切にしていくスタンスを明確にして検討・協議を進めるべきです。どのように対応されますか。
3.次に「長野市版放課後子どもプランについて」伺います。
(1)すべての子どもたちに、放課後、安心して遊び憩うことができる居場所を確保するという点で、放課後子どもプランが有効な手立てとなることを期待しています。まとめられたプランでは校外施設を「子どもパーク」、校内施設を「子どもプラザ」と命名し、学校を基本に内外を区別し、これまでの二つの事業を統合し全児童対策の事業として拡充を図るとしました。しかしながら、人材の確保、子どもの育成、地域の協力、学校の協力体制など課題を抱えながらのスタートです。子どもたちにとって良いプランとなるよう、確認の意味を込めて質問します。
(2)一つは、「親の就労の違いで、子どもの処遇が変わってはならない」としている点です。厚労省と文科省のそれぞれの放課後子ども対策事業を「一体的にあるいは連携」して取り組むにしても、両者の役割がもともと違うことを忘れてはなりません。両省ともに二つの事業を行うにあたり、「学童保育の対象児童に対しては、現在と同様のサービスを提供すること」としています。共働き世帯の子どものために児童館・児童センターが果たしてきた役割を、すべての子どもに普遍し、学校の施設も活用して拡充していく施策であること、これを基本に質・量ともに適切な人員配置と施設・設備を充実させる施策なのだということを確認したいと思います。いかがですか。
(3)二つは、「児童館・児童センターは新設しない」としている点です。厚労省がまとめた「放課後児童クラブガイドライン」は、「生活の場」である児童センターの質の向上を図るために、センター等の規模は40人が望ましいものの最大70人までとすること、児童のための専用の部屋または区切られた専用スペースを設けること、児童一人当たり概ね1.65u以上の面積を確保すること、体調不調時の静養スペースを確保することを打ち出し、他にも職員体制や指導員の役割について重要な方向性を示しました。児童館・児童センターでは42施設のうち32の施設で70人を超えています。待機児童を抱える地区も多いわけですから、放課後子どもプランの具体化にあたり、このガイドラインに沿って具体化・充実させていくのだということ、児童館・児童センターは増改築を含め施設整備を図るのだということをはっきりと示してもらいたいと思います。いかがですか。
(4)三つに、「同じ児童館・児童センターの事業でも小学校区によって格差がある。小学校区の実情に合わせてプランを推進する」としている点です。地域ごとに運営が異なるため、現状としての格差はやむを得ないところがありますが、プランの推進にあたっては、子どもたちの放課後の居場所に機会均等がしっかり保障されることが大切です。そのためにも、先の厚労省のガイドラインに沿った対応と、放課後子どもプランにあたり、おやつの継続を含め、長野市版の最低限度の水準・基準をつくり、具体化していくことが必要です。どのように対応されますか。
4.次に「受益者・利用者負担の見直しについて」です。
(1)行政改革審議会のもとで、行政サービスの適正な対価の支払い、経費の削減を目的に受益者負担の見直しが進められています。「税負担の公平性」と「利用者が負担すべき経費」について質問します。
(2)まず、「サービスを利用する人としない人の税負担の公平性が確保され、市民全体が納得できるものとするために受益に応じて負担を求める」という基本的な考えについてです。私は受益者負担そのもの及び基準作りを一概に否定するものではありませんが、機械的に受益者負担が決まっていくことについては疑問があります。税金の使い方に市民合意が必要なことは言うまでもありません。一番大事なところです。しかし、例えば「児童センター」や「公民館成人学校」に税金が投入されていることに、「それは不公平だ」とする市民がどれだけいるのでしょうか。私は「サービスを直接享受していないけれど、必要なことには税金を投入していいですよ」と考えている市民が圧倒的だと思います。問題は市民の必要度・満足度・許容度、そして支え合う共助の理念に応じて、税金の使い方にそれこそ「選択と集中」がなされ、市民合意を図る市の姿勢こそが問われているのだと思います。基本的な所見をうかがいます。
(3)このことに関連して、「利用者が負担すべき経費」の中に、「施設建設費と施設維持運営費」が組み込まれている点についてです。施設利用の提供と役務の提供、すなわちハードとソフトは区別して考えるべきです。ハードもソフトも「総コストで負担を」では市民に二重の負担を強いることになります。建設経費は税によって負担すべきであり、利用者に負担を転嫁すべきではないと考えます。過度な受益者負担を求めないために転換を強く求めます。明快な答弁を求めます。
5.次は「指定管理者の更新・選定にあたっての課題について」です。
(1)指定管理者制度の導入から3年、新年度では140の施設で2順目の更新を迎えます。「豊野温泉りんごの湯」のケースでは、指定管理者としてのスキルとノウハウに優れる県外企業に、地元企業はまだまだかなわないことが明らかになりました。市は「地元民間企業には勉強してもらうしかない」としますが、地元企業の育成・活用という視点がなければ、地域振興につながりません。何よりも県外企業が選定されていくことで、指定管理者への参入にあたり、地元企業のやる気をそいでしまうことが強く懸念されるからです。市長は所信表明で「地元事業者の活用にも配慮しつつ、制度の定着と拡大を図る」方針を示しました。問題は「地元事業者の活用に配慮」をどんな仕組みで担保するのかです。
(2)公募資格、選定基準について地域振興の観点からと法令順守の観点から質問します。地域振興の観点から、私は、指定管理者の選定にあたり、地元事業者の指定管理者としての実績や地元事業者の育成の観点を加味した選定基準を設け、地元事業者の活用を図ること。地元事業者に対し、指定管理者としてのノウハウ、スキルアップに向け、指導・育成を行うこと。指定管理者の変更にあたっては従業員の雇用の継続が図られるよう指導・監督することを強く求めます。また、法令順守に関して、社会保険や労働保険の加入を定める労働法順守条項(広島市、千代田区などで実施)、スキル・経験の継続性をもって雇用の安定化を図る雇用継続条項(明石市、高知市などで実施)を確立すべきと考えます。また、障害者雇用、母子家庭の雇用、男女平等参画の取り組みを評価する明確な基準の設定も必要です。どのように考えますか。
(3)次に選定過程の情報の公表・公開についてです。県ではこのほど「指定管理者制度に関するガイドライン」をまとめ、H21年度から適用する方針を明らかにしました。この中で「選定基準・点数」「選定結果の選定理由・各応募者の点数」を公表することとし、また「申請時における各応募者の事業計画書」を情報公開の対象と定め、透明性を高める見直しを行いました。市においても同様の見直しを速やかに実施し、透明性の高い指定管理者の選定システムをつくるべきと考えます。いかかですか。
6.次に「家庭ごみ処理手数料の有料化について」伺います。
(1)家庭ごみ処理手数料の有料化制度の導入は、素案に対するパブリックコメントを踏まえ案をまとめ、今後、6月議会で条例を改訂、21年度中の実施をめざし住民説明会を行う計画となっています。有料化そのものはやむを得ないと考える一人ですが、税負担が重くのしかかってきているだけに、ごみ有料化の負担はなお重いというのが市民の現実ではないでしょうか。
(2)今後、広域連合のごみ処理施設の建設には長野市負担分として228億円余の経費がかかり、さらに維持経費もかかることを考えると、ここは原点の「ごみをいかに減らすか」に立ち返り、有料化でごみを減らすという発想ではなく、「これだけごみを減量できれば有料化は凍結できる」という計画を示し、市民にとってのごみ減量へのインセンティブを働かせること、市民をあげての協力を求めることが必要だと思います。本来、税金で賄うべき事業であるだけに、市民への負担を軽減し、緊急に新しいごみ減量計画・達成水準をまとめ、ごみ減量を推進する運動を今一度、市がそして議会が主導すべきだと思います。基本的なことだけ質問しましたが、前向きな検討と対応を求めるものです。
7.最後に「文化芸術の振興策について」質問します。
(1)市では、H13年に制定された文化芸術振興基本法に基づき、遅ればせながらの感があるものの、H18年度のまちづくりアンケートで「芸術文化振興について」を取り上げ、今年度、文化芸術振興方針策定委員会を立ち上げました。委員会は全くの白紙からスタートと聞いていますが、まずは法の精神にのっとった文化芸術の振興に関するビジョンをまとめ、プラン化していくことを求めたいと思います。
(2)市が策定すべき文化芸術振興ビジョンに関連し、美術館の建設について質問します。この件については、以前から美術関係団体の皆さんから強く要望され、市への陳情も重ねられ、また過去の市議会においても度々具体的な提案がされながらも、残念ながら実っていません。市内には県立信濃美術館、北野美術館、水野美術館などがあり、それぞれに優れた文化芸術の拠点になっていること、そして今日の市の財政状況も踏まえつつ、二つの問題を指摘し、市の率直で前向きな対応を求めたいと思います。
(3)一つは、北信美術会など地場で活動する美術家・愛好家の皆さんの作品展、展覧会を開く場所の確保がままならないことです。市民ギャラリー構想が生涯学習センターに転換したこと、信濃美術館が公募展などの開催に消極的なこと、結果、ビッグハットなどの大規模施設を利用せざるを得ず財政的な負担が限界を超えていることなどによります。市民が参画する展覧会・公募展・企画展にあたり、開催会場の確保や団体への助成を含め、市としての具体的な支援策の拡充を求めますがいかがですか。
(4)二つは、振興法に定める自治体の責務にかかわり、いわゆる市立美術館そのものの建設構想についてです。第4次総合計画では「心豊かな人と多彩な文化が輝くまち」を政策の柱とし、施策として「芸術文化活動の拠点となる施設の整備や発表する機会の充実を図り、市民の自主的で創造的な芸術文化活動を支援する」ことを謳っています。そこで、市長に期待を込めて伺います。長野市内に美術館の建設拡充が必要であると考えていらっしゃいますか。率直な想いをお願いします。また、市が所蔵する芸術作品はどの程度あり、またその保管・管理はどのように行われ、公開する計画はどのようになっているのか、伺います。その上で、現実的な対応策として、市民にとって利用しやすく、かつ優れた文化芸術に広く接する機会を充実させるため、県立信濃美術館の改築・増築などの今後を見据え、県としっかり連携・協働して、美術館建設構想を位置づけること、即ち「県・市共同の美術館」を提案し、実現を求めたいと考えます。前向きな答弁をお願いします。
以上で質問を終わります。
|