3月市議会定例会は3月1日から26日までの26日間の会期で開かれ、平成19年度一般会計予算案など92の議案が審議されました。
議案第56号「長野市立公民館条例の一部を改正する条例」は修正の上、賛成多数で可決、新年度予算案をはじめとする他の議案はすべて原案通り可決しました。主な議案の概要を紹介します。
■成人学校受講料値上げで、修正案を可決!19年ぶりの画期的出来事
3月議会の焦点は「公民館成人学校の受講料値上げ問題」、1学期4300円の受講料を3年間で8000円に値上げする原案に対し、、経過措置期間を5年間とし、19年度5000円、20年度5800円、21年度6500円、22年度7300円、23年度8000円とする修正案を賛成多数で可決しました。修正案の可決は何と19年ぶりとのこと。私は、本会議一般質問でこの問題を取り上げ、「受講生の皆さんの悲鳴に耳を傾け、下方修正すべき」と訴え、安茂里や城山の公民館成人学校受講生有志の皆さんと教育長と市議会議長あての緊急陳情にも取り組みました。修正案に対し、本会議で「賛成討論」を行い、今後の成人学校の運営について注文をつけました。(詳細はこちらのページ)
■可決した一般会計予算の概要
平成19年度一般会計予算は、1314億3000万円で対前年度比0.6%減、3年連続の抑制型予算となりました。歳入では、国から地方への税源移譲や定率減税の廃止による市税の伸びがある一方、国からの所得譲与税や地方特例交付金が廃止・縮減されることなどから、一般財源総額の伸びが見込めず、財政調整基金等から29億2000万円の取り崩し、98億3600万円の市債新規発行等で財源不足を補いました。歳出では、「選択と集中」によって施策を厳選するとともに、子育ち・子育て環境の整備、防災対策の推進、魅力ある教育の推進とスポーツの振興、地域産業の振興と観光交流の推進、中山間地域の活性化など5分野に225億9千万円を投入、重点的に財源が配分されました。主な新規・拡大事業は後記。
■第4次長野市総合計画基本構想を可決
新しく策定された総合計画の基本構想部分は、地方自治法第2条第4項の規定により議会の議決が求められる案件で、賛成多数で可決しました。長野市総合計画は、10年後の長野市の将来設計図で、まちづくりの最も上位にある計画です。また、新年度からは長野市の20年後の土地利用の将来設計図=都市計画マスタープラン改定版がスタートします。総合計画と都市計画マスタープランは車の両輪、概要等は「広報ながの」にも掲載されていますが、自分たちが住むまちが「総合計画」「都市計画」の中でどのように位置づけられているのか、知った上で、都市内分権=住民自治協議会のまちづくり計画に生かしたいものです。
■市職員の給与に関する条例を一部改正、ダブルスタンダードが気がかり
年功的な給与増額の抑制と職務・職責に応じた給料構造に転換するため、国家公務員の昇給制度の改定等に準じて、市条例が改正されました。自治体職員の地域間格差を是正するために導入された「地域手当」について、長野県内は3%と人事院は勧告しましたが、市は1%分を計上しただけ、早期に3%の措置を実現することが必要です。市職員の人件費は、基本的に人事院勧告に沿って決定してきました。賃金を下げるとき、マイナスは人勧通り、でもプラスは人勧通りにしないという進め方は、余りにもダブルスタンダードと言わなければなりません。
■生活保護の「母子加算」の存続を求める意見書案は否決に
政府は07年度から生活保護の母子加算を削減し、09年度には廃止するとしています。母子加算は2万3260円(1級地)から2万20円(3級地)で、この廃止により生活保護費が約16%削減されることになります。OECD(経済協力開発機構)は昨年7月、日本の現状について「学校教育や塾の高さを考慮すると、貧しい家庭の子供は不十分な教育しか受けられず、それゆえ、成長の可能性が阻まれがちで、貧困が次の世代に引き継がれていく危険にされされている」と警告しています。母子加算の廃止は格差の広がりを一層深刻にし、子どもたちにとっては大きなマイナスであると判断し、私は、この意見書案に賛成しましたが、本会議では賛成少数で否決されてしまいました。
■今年度の主な新規・拡大事業
市制110周年記念事業
市制110周年を記念して式典を開くほか、(仮称)長野市公文書館の開館式、地域の魅力再発見事業、「善光寺の森」造成事業、NHK大河ドラマ「風林火山」ゆかりの地観光推進事業、長野市景観大賞の選定表彰など多彩な事業を実施。(5652万8千円)
「NPO夢バンク」を支援
市民自らがNPOへ融資事業を行うため創設した「NPO夢バンク」に対し、融資原資の一部として資金貸付を行い、その自律的な取り組みを支援するための経費が計上。(300万円)
土砂災害ハザードマップの作成
土砂災害防止法によって土砂災害警戒区域等に指定された安茂里、七二会及び小田切地区の土砂災害ハザードマップの作成に要する経費が計上、また、土砂災害警戒区域等の土砂災害が発生する恐れのある地域に災害情報の伝達手段を整備するとともに既存施設を改修する経費、さらに防災備蓄倉庫を2棟新設するなどの経費が計上。(5030万9千円)
市民便利帳、初めて民間企業との協働で作成
概ね4年に一度、作成してきた市民便利帳(暮らしのガイドブック)を、より親しみやすく役に立つ便利帳とするため、今年度は初めて民間企業との協働により作成し、全戸配布されることに。(944万4千円)
都市内分権の推進
都市内分権を推進するため、パンフレットの作成や説明会などの開催により市民の理解促進を図るとともに、各地区の住民自治協議会設立に向けた支援や住民自治協議会の活動・運営を支援するために要する経費が計上されました。(1603万6千円)
中山間地で乗合タクシーによる輸送システム拡大へ
七二会、芋井両地区で実施してきた小型車両による中山間地域輸送システムを、浅川、小田切、信更の3地区に拡大・導入することになりました。この輸送システムの導入にあたっては、各地域が主体となって運行する体制づくりを目指すとされています。(1207万円)
保育所民営化の推進
公立保育所の設置・運営を見直し、民営化を進めるにあたり、安定した保育環境の継続を図り、市の保育方針や保育内容を引き継ぎ、円滑に民営化ができるよう、実践的に引継保育を実施するため等の経費が計上されました。「推進」とはいえ、保護者の皆さんの合意を基本に慎重さが求められる問題です。(1486万9千円)
保育所の耐震診断実施へ
昭和56年以前に建設された保育所園舎の耐震診断を順次実施し、安全な保育環境を確保するための経費が計上されました。今年度は昭和40年代建設の木造園舎8園を対象とします。
(400万円)
老朽化した東部保育園を改築、塩崎保育園の移転改築にも着手
東部保育園を全面改築するための建設工事費、また塩崎保育園の改築の設計委託費等が計上。(3億1768万3千円)
障害者地域生活支援事業で独自軽減策
障害者自立支援法による地域生活支援事業のうち、相談支援など3事業を利用者負担なしで実施するほか、移動支援など4事業で利用者負担を5%とする市独自の利用者負担軽減策を講じることになりました。法定給付サービスではカバーできない部分を支援する地域生活支援事業に要する経費が計上されました。(2億9266万2千円)
幼稚園就園奨励費補助を拡大
幼稚園での同時就園を対象とする第二子以降の優遇措置条件を小学校2年生の兄姉をもつ園児にまで拡大することになりました。(2億6265万2千円)
ごみ処理体制の充実
清掃センターの資源化施設から排出される蒸気を処理するため、脱臭施設を新設する経費、焼却施設改修経費、不燃物最終処分場天狗沢埋立地の延命化を図るため焼却灰処理の一部を民間委託する経費等が計上されました。(6億9662万5千円)
木造住宅の耐震対策を拡充
戸建て木造住宅の耐震診断・耐震補強補助に要する経費が拡充されました。地震に備え、耐震診断を大いに活用したいものです。(1658万円)
大岡地区に小水力発電施設
地球温暖化対策の一環で水力の利用促進を図るため、大岡地区で農業用水を利用した小水力発電施設を設置して大岡小・中学校に電力供給することになります。中山間地で広げたい事業の一つです。(2105万9千円)
長野市版レッドデータブック改訂へ
減少傾向にある動植物のほか地形・地質・湧水などをまとめた「大切にしたい長野市の自然」(長野市版レッドデータブック)を改訂する等の経費が計上されました。(808万4千円)
全中学校にAED(自動体外式除細動器)を配備
部活動等で心臓震とうの危険性が高いと想定される全中学校にAED(自動体外式除細動器)を配備する経費が計上されました。新規に配備される中学校は19校となります。使い方の講習の徹底も必要です。(217万8千円)
基礎学力調査、小学5年生に
小6年生と中2年生を対象に実施してきた基礎学力調査事業に小学校5年生を加え実施するための経費が計上されました。(1332万円)
長野市版放課後子どもプランをスタート
放課後における子どもたちの安全で健やかな活動場所を確保するための新しい国の方針を受け、放課後子どもプランを策定、その一環として放課後子ども教室を拡充することに。(822万2千円)
スポーツ拠点づくりを推進
市民のスポーツへの関心をより高めるため、第63回国民体育大会冬季大会スケート競技会のための経費や全国中学校スケート大会開催のための経費が盛り込まれました。(1億3100万円)
「長野市農業公社」設立へ
農作業支援体制の再構築、多様な担い手の育成・支援、農地の利用集積、都市農村交流事業など、農業農村の活性化を図るため、長野市農業公社が設立スタートします。(5039万3千円)
地域奨励作物支援事業をさらに3年継続へ
小麦・大豆・そばの栽培を奨励し、遊休荒廃農地の有効活用を図る「地域奨励作物支援事業」を引き続き3年継続し、生産組合の規模拡大と経営の安定を図ることになりました。(2585万4千円)
中心市街地の商業の活性化へ
空き店舗活用事業への助成をはじめ、コイン型地域通貨の発行支援、㈱まちづくり長野への活動支援などに要する経費が盛り込まれました。(7747万1千円)
1200万人観光交流の推進へ
2年目となる1200万観光交流推進プランでは、大河ドラマ「風林火山」に関わる川中島の戦いゆかりの地と戸隠地区を集中的にアピール、地域ブランド力を高めていくことになっています。(4533万8千円)
幹線道路・生活道路の整備
地域間を結ぶ幹線道路の整備並びに中山間地域をはじめとする生活道路の整備として、三才若槻北部線、田野口小田原線、豊野平出線、中村田頭線、戸隠東線、椛内大八橋線などの道路新設改良に要する経費が盛り込まれました。(24億7630万円)
長野駅前A-3地区市街地再開発事業を支援
長年の懸案であった「長野駅前A-3地区」を民間活力導入による法定市街地再開発事業として支援する経費が計上されました。(8680万円)
■企業特別会計
17ある特別会計全体では869億3020万円で前年度当初予算に比べ3.1%増、国民健康保険特別会計において、昨年10月から保険財政共同安定化事業が創設されたことに伴い拠出金が増加するほか、介護保険会計においても、サービス利用者の増加などにより予算規模が拡大したことによります。
また、5つある企業会計では、水道・下水道事業会計において高金利の企業債の借換を見込んだことなどより、前年度当初予算に比べ2.0%増となっています。
■平成18年度一般会計補正予算の内容
今議会で決定した補正予算は、歳入歳出それぞれ4億7238万2千円を追加するもので、予算総額は歳入歳出それぞれ1366億4143万4千円となりました。主な内容は次の通り。
?INC長野ケーブルテレビが七二会および豊野地区で行うケーブルテレビ施設整備事業に対し1億3614万円の補助を追加。
?長野大橋保育園など3園の私立保育所施設整備に1億8237万円の補助を追加。
?出荷量の増加に伴う地域奨励作物支援奨励金を1150万円追加。
?八幡原史跡公園および市立博物館における風林火山特別企画展の開催に伴い、駐車場用地を取得する経費8336万円を追加。
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